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司法書士の過去問 平成28年度 午前の部 問28

問題

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次の対話は、株式の担保化に関する教授と学生との対話である。教授の質問に対する次のアからオまでの学生の解答のうち、正しいものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。


教授:株主名簿に質権についての記載がされている登録株式質と質権についての記載がされていない略式株式質とでは、剰余金の配当によって株主が受けることのできる財産に質権が存在するかどうかについて違いがありますか。

学生:ア登録株式質の場合には、質権は、剰余金の配当によって株主が受けることのできる財産についても存在しますが、略式株式質の場合には、質権は、当該財産については存在しません。

教授:株券発行会社が、その株式に係る株券を発行する旨の定款の定めを廃止し、当該株券が無効となった場合には、略式株式質はどうなりますか。

学生:イ  その場合には、質権は消滅します。

教授:では、株券発行会社が、その株式に係る株券を発行する旨の定款の定めを廃止しようとする場合に、略式株式質権者としてできることはありますか。

学生:ウ略式株式質権者は、定款の変更がその効力を生ずる日の前日までの間、株券発行会社に対し、自己の氏名等を株主名簿に記載することを請求することができます。

教授:株券発行会社の株式の担保化の方法としては、質権の設定のほか、譲渡担保の設定がありますね。譲渡による株式の取得について株式会社の承認を要する旨の定款の定めが設けられている場合には、株式会社の承認を得ていない譲渡担保の設定は、当事者間でその効力を生じますか。

学生:エはい。判例の趣旨によれば、株式を譲渡担保に供することは、株式の譲渡に当たると解すべきであるから、株式の譲渡につき定款による制限のある場合に、株式が譲渡担保に供されることにつき株式会社の承認を得ていなくとも、当事者間では、有効なものとして、株式の権利移転の効力を生じます。

教授:では、株券発行会社が、自己の株式について質権の設定を受ける場合と譲渡担保の設定を受ける場合とでは、何か違いがありますか。

学生:オ質権の設定を受ける場合には、自己の株式の取得には該当しません。これに対し、譲渡担保の設定を受ける場合には、自己の株式の取得に該当することから、株主総会の決議が必要となります。
   1 .
アイ
   2 .
アエ
   3 .
イオ
   4 .
ウエ
   5 .
ウオ
( 平成28年度 司法書士試験 午前の部 問28 )
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この過去問の解説 (3件)

8
正解は 4 です。

正しい選択肢はウ及びエなので、4が正解となります。

各選択肢の解説は、以下のとおりです。

ア. 略式株式質でも、物上代位権が認められています。(会社法151条1項8号参照)。これにより、略式株式質の質権は、剰余金の配当によぅて株主が受けることができる財産について存在することになるので、本選択肢は誤りです。

イ. 会社法では、株券発行会社が、その株式に係る株券を発行する旨の定款の定めを廃止した場合に、株券が無効になることに備えて、略式株式質権者が、質権設定者の協力なしに質権の第三者対抗要件を保全するための措置について規定しています。(会社法218条5項参照)。従って、株券が無効となった場合に、当然に質権まで無効となるわけではなく、本選択肢は
誤りです。

ウ. 会社法218条5項では、株券発行会が、その株式に係る株券を発行する定款の定めを廃止する場合に、略式株式質権者は、定款の変更がその効力を生じる日の前日までの間、株券発行会社に対して、自己の氏名等を株主名簿に記載することを請求できる、と規定しています。従って、本選択肢は正しいです。

エ. 判例は、株式を譲渡担保に供することは、商法旧204条1項(現・会社法127条)にいう株式の譲渡に当たるものと解すべきであるから、株式が譲渡担保に供されることにつき取締役会の承認を得ていなくても、当事者間では、有効なものとして、株式の権利移転の効力を生じるものというべきである、としています。(最高裁昭和48年6月15日判決)。従って、本選択肢は正しいです。

オ. 株券発行会社が、自己の株式について譲渡担保の設定を受けても、自己株式の取得には該当しないため、本選択肢は誤りです。

付箋メモを残すことが出来ます。
7
正解は4です。

ア…誤りです。登録株式質も略式株式質も質権ですので、取得請求権付株式の取得・株式の無償割当・残余財産の分配などで、株式が金銭等に変わったと認められる場合、その金銭等に対しての物上代位性が認められます。登録株式質であるか、略式株式質であるかにかかわらず、質権の目的となっている株式に対し、剰余金の配当があった際には、株主が受け取ることができる金銭等についても質権は存在します(会社法151条1項8号)。

イ…誤りです。略式株式質は、➀株主と質権者の合意、および、②株主から質権者への株券の交付(146条2項)、だけで成立するので、質権者が会社および第三者に対抗するには、株券発行会社の株券を継続して占有する必要があります(147条2項)。株券が無効になった場合は、略式株式質権者は会社および第三者に対抗できませんが、株主(質権設定者)との間では質権は当然に消滅するわけではありません。

ウ…正しいです。株券発行株式会社が、株券を発行する旨の定款の定めを廃止する定款の変更をしようとするときは、株券を所持している略式株式質権者は、定款の変更が効力を生ずる日の前日までに、株券発行会社に➀質権者の氏名または名称および住所、②質権の目的である株式、を株主名簿に記載しまたは記録することを請求することができます(会社法218条5項)。ただし、略式株式質権者に対しては、会社は当該定款の変更に関する通知の義務がないことに注意が必要です。

エ…正しいです。株式を譲渡担保に供することは、株式の譲渡に当たると解されています。一方、株式の譲渡制限がある場合、その主旨はもっぱら会社にとって好ましくない者が株主になることを防止することにあると解されるので、取締役会の承認を経ずになされた株式の譲渡は、会社に対しては効力を生じないが、譲渡当事者間では有効であるとされています(最判昭48・6・15)。

オ…誤りです。株券発行株式会社が、自己の株式について質権の設定を受ける場合、株券の所有権は元の所有者から移動していないので、自己の株式の取得にはあたりません。また同様に、自己の株式について譲渡担保権の設定を受ける場合、当該株式会社に株券の所有権が移転するとも考えられますが、設定時には会社の資産に変動はないことから、自己の株式を元の所有者から無償取得したのと同じ状態とみなすことができます(会社法施行規則27条1号参照)。よって自己株式を有償で取得した場合と異なり、株主総会の決議は不要です。

6
ウとエが正しい肢なので4が正解です。

ア. 登録株式質も略式株式質も共に質権の効力が及びます。

イ. 略式株式質権者は、効力発生日の前日までに、株式会社に対して質権の登録事項を株主名簿に記載することを会社に請求できます。
請求しなければ対抗要件を失いますが消滅はしません。

ウ. イの解説のとおり株主名簿に記載することを請求できます。

エ. 会社の承認なくしてされた株式の譲渡担保は当事者間においては有効である、とする判例があります。

オ. 自己株式に譲渡担保の設定をうけることは自由です。無償で取得したことと同視されます。

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