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司法書士の過去問 平成28年度 午後の部 問37

問題

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当事者適格に関する次のアからオまでの記述のうち、判例の趣旨に照らし正しいものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。


ア  共同相続人のうち自己の相続分の全部を他の共同相続人に対し譲渡した者は、遺産確認の訴えの当事者適格を有しない。

イ  共同相続人のうちの一人が、遺言執行者の定めがある遺言の無効を主張して、相続財産につき共有持分権を有することの確認を求める訴えを提起するときは、他の共同相続人全員が被告適格を有し、遺言執行者は被告適格を有しない。

ウ  権利能力のない社団Xの構成員全員に総有的に帰属する不動産につき、当該不動産の所有権の登記名義人が第三者である場合には、Xは、その代表者Yの個人名義への所有権移転登記手続請求訴訟の原告適格を有さず、Yのみが当該訴訟の原告適格を有する。

エ  現在の給付の訴えについて、その訴えを提起する者の主張自体から、給付義務者であると主張されている者が給付義務者になり得ないことが明らかであるときは、当該訴えは、被告適格を欠くものとして却下される。

オ  甲土地の所有者Xが甲土地に隣接する乙土地の所有者Yに対し提起した甲土地と乙土地の筆界についての筆界確定の訴えにおいては、Yが甲土地の一部分であって甲土地のうち当該筆界の全部に接続している部分を時効取得したとしても、Xは当事者適格を失わない。
   1 .
アウ
   2 .
アオ
   3 .
イウ
   4 .
イエ
   5 .
エオ
( 平成28年度 司法書士試験 午後の部 問37 )
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この過去問の解説 (3件)

8
正解は 2 です。

正しい選択肢はア及びオなので、2が正解となります。

各選択肢の解説は、以下のとおりです。

ア. 判例は、共同相続人のうち、自己の相続分の全部を譲渡した者は、遺産確認の訴えの当事者適格を有しないとするのが相当である、と規定しています(最高裁平成26年2月14日判決)。従って、本選択肢は正しいです。

イ. 判例は、遺言につき遺言執行者がある場合には、遺言に関係のある財産については、相続人は処分の権能を失い、一人遺言執行者のみが遺言に必要な一切の行為をする権利義務を有するのであって、遺言執行者はその資格において、自己の名を持って他人のために訴訟の当事者となりうるものといわなければならない、と規定しています(最高裁昭和31年9月18日判決)。従って、本選択肢は誤りです。

ウ. 判例は、権利能力のない社団は、構成員全員に総有的に帰属する不動産について、その所有権の登記名義人に対して、当該社団の代表者の個人名義に所有権移転登記手続きをすることを求める訴訟の原告適格を有すると解するのが相当である、としています(最高裁平成26年2月27日判決)。従って、本選択肢は誤りです。

エ. 判例は、給付の訴えにおいては、その訴えを提起する者が給付義務者であると主張している者に被告適格があり、その者が当該義務を負担するかどうかは、本案請求の当否に関わる事柄であると解すべきである、としています(最高裁61年7月10日判決)。従って、本選択肢は誤りです。

オ. 判例は、土地の一部が隣接地所有者によって時効取得されても、隣接地所有関係が認められる限りは、境界確定訴訟の当事者適格が認められる、としています(最高裁昭和58年10月18日)。従って、本選択肢は正しいです。

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3
正しい肢はアとオで2が正解です

ア. 自己の相続分の全部を他の共同相続人に対し譲渡した者は遺産確認の訴えの当事者適格を有しない、という判例があります。

イ. 遺言執行者を被告とすることができる、とする判例があります。

ウ. 権利能力のない社団は、構成員全員に総有的に帰属する不動産につき、当該不動産の所有権の登記名義人に対して、その代表者の個人名義への所有権移転登記手続請求訴訟の原告適格を有する、という判例があります。

エ. 原告によって義務者と主張されているものに被告適格がある、という判例があります。

オ. 隣接所有者に土地の一部が時効取得されても、各所有者は筆界確定訴訟の原告適格を有する、とする判例があります。

0
正解は2です。

ア…正しいです。共同相続人のうち、自己の相続分の全部を他の共同相続人に譲渡した者は、遺産確認の訴えの当事者適格を有しません(最判平26・2・14)。固有必要的共同訴訟である遺産確認の訴えにおいて、相続分全部を譲渡した者は、訴えの利益を有さない、とされるためです。

イ…誤りです。特定不動産の遺贈を受けた者がその遺言の執行として目的不動産の所有権移転を訴えた裁判において、遺言執行者のみが被告適格を有し、他の相続人全員は被告適格を有しないとされた判例があります(最判昭43・5・31)。本問と同様、遺言執行人が指定されており、かつその執行に異議を訴える場合には、遺言執行者のみが相続財産ならびに特定財産に対して処分の権限を有するのであり、他の相続人は相続財産の処分その他遺言の執行を妨げることはできないためです。

ウ…誤りです。権利能力なき社団は、その構成員に総有的に帰属する不動産につき、その所有権の登記名義人である第三者に対し、当該社団の代表者の個人名義に所有権移転の登記手続を求める原告適格を有します(最判平26・2・27)。権利能力なき社団の総有である不動産については、代表者が原告となり、肩書きをつけない代表者自身の個人名義に所有権移転の登記を求めることができますが(最判昭和47・6・2)、その事実をもって権利能力なき社団が訴えの原告となることを妨げるものではないと解されています。

エ…誤りです。給付訴訟においては、給付義務者であると原告が主張している者に被告適格があります(最判昭61・7・10)。ただし実際の判決では、原審において、原告および被告らの主張・立証を経た上で、被告とされた者が給付義務者でないことが明らかにされていますので、その論旨を採用しつつ上告人の利益を害さないために、上告を(却下ではなく)棄却するという結果になっています。

オ…正しいです。甲土地に隣接する乙土地の所有者が、甲土地のうち境界の全部に接続している部分を時効取得したとしても、甲乙両土地の所有者は、境界確定の訴えの当事者適格を失いません(最判平7・3・7)。境界確定の訴えは、当事者の主張に拘束されず、裁判所がこれを確定させることができるため、土地の一部について時効取得が認められても、当事者はなお相隣する土地の所有者であることに変わりがないからです。これに対し、甲土地に隣接する乙土地の所有者が甲土地の全部を時効取得した時は、甲土地の所有者は境界確定の訴えの原告適格を失います(最判平7・7・18)。

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