司法書士の過去問
平成28年度
午後の部 問50
このページは閲覧用ページです。
履歴を残すには、 「新しく出題する(ここをクリック)」 をご利用ください。
問題
平成28年度 司法書士試験 午後の部 問50 (訂正依頼・報告はこちら)
登記記録に次のような記録(抜粋)のある土地についてされる登記の申請に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。
ア 甲区3番の所有権移転の登記の抹消の登記を申請する場合、Eは、登記上の利害関係を有する第三者に該当しない。
イ 甲区4番の仮登記に基づく本登記を申請する場合、H、I及びJは、いずれも登記上の利害関係を有する第三者に該当する。
ウ 乙区1番の抵当権の抹消の登記を申請する場合、Hは、登記上の利害関係を有する第三者に該当する。
エ 乙区2番の賃借権について、賃料を減額する旨の変更の登記を申請する場合、Cは、登記上の利害関係を有する第三者に該当しない。
オ 乙区4番の根抵当権の極度額を増額する旨の変更の登記を申請する場合、Jは、登記上の利害関係を有する第三者に該当する。
ア 甲区3番の所有権移転の登記の抹消の登記を申請する場合、Eは、登記上の利害関係を有する第三者に該当しない。
イ 甲区4番の仮登記に基づく本登記を申請する場合、H、I及びJは、いずれも登記上の利害関係を有する第三者に該当する。
ウ 乙区1番の抵当権の抹消の登記を申請する場合、Hは、登記上の利害関係を有する第三者に該当する。
エ 乙区2番の賃借権について、賃料を減額する旨の変更の登記を申請する場合、Cは、登記上の利害関係を有する第三者に該当しない。
オ 乙区4番の根抵当権の極度額を増額する旨の変更の登記を申請する場合、Jは、登記上の利害関係を有する第三者に該当する。
- アイ
- アエ
- イオ
- ウエ
- ウオ
正解!素晴らしいです
残念...
この過去問の解説 (3件)
01
誤っている選択肢はア及びエで、2が正解となります。
各選択肢の解説は、以下のとおりです。
ア. 先例は、AからFへ、所有権移転登記前にEの根抵当権が設定されていたが、当該移転登記後に、根抵当権の極度額の増額の登記がなされている場合において、Fの所有権を抹消するときは、根抵当権者Eは、登記上の利害関係人に該当する、としています(昭和39年8月12日民甲2789)。従って、本選択肢は誤りです。
イ. 所有権に関するG名義への仮登記に基づく本登記を申請する場合において、仮登記後に設定された抵当権の抵当権者H、及び根抵当権者Jは、いずれも登記上の利害関係人となります(不動産登記法109条1項参照)。また、先例は、仮登記後に登記された仮登記債権者Iも、当該本登記における登記上の利害関係人となる、としています(昭和36年2月7日付民甲355)。従って、本選択肢は正しいです。
ウ. 先例は、登記された抵当権者Cから、後順位抵当権者Hへの順位譲渡の登記がある場合において、Cの抵当権の抹消登記を申請するときは、Hは登記上に利害関係人に該当する、としています(昭和37年8月1日民甲2206)。従って、本選択肢は正しいです。
エ. 先例は、登記された賃借権につき、民法387条1項の規定による同意の登記がなされている場合において、賃借人に有利となる賃料を減額する旨の変更登記を申請するときは、当該同意を与えた先順位抵当権者Cは、登記上の利害関係人に該当する、としています(平成15年12月25日民2.3817)。従って、本選択肢は誤りです。
オ. 登記されたEの根抵当権の極度額の増額の登記を申請する場合における後順位の根抵当権者はJは、登記上の利害関係人に該当します(民法398条の5、不動産登記令7条1項5号ハ参照)。従って、本選択肢は正しいです。
参考になった数14
この解説の修正を提案する
02
ア…誤りです。Eを根抵当権者とする根抵当権の設定がされた(乙区4番)のはFの所有権移転(甲区3番)の前ですが、Eの根抵当権の極度額の増額変更がされた(乙区4番付記1号)のは、Fの所有権移転の後です。この場合、極度額の増額分につき、根抵当権設定者(F)と根抵当権者(E)との間で新たに根抵当権を設定したのと同じ効果が生じます。よって、所有権移転の前に根抵当権を設定し、移転後に極度額の増額変更をした根抵当権者がいる場合、当該所有権移転の登記の抹消に際しては、(極度額の増額変更登記も抹消する必要があるため)根抵当権者が利害関係を有する第三者に該当します(昭和39・8・12民甲2789号)。
イ…正しいです。仮登記の本登記をすることにより、登記上の権利を失う者はすべて利害関係を有する第三者に該当します。よって、Gが土地の所有者になる本登記がされた場合(甲区4番)、その後に、当該土地に抵当権を設定したH(乙区5番)、当該土地に差押えを行ったI(甲区5番)、当該土地に根抵当権を設定したJ(甲区6番)はいずれも利害関係を有する第三者(以下、利害関係人)です。また、抵当権の順位譲渡は当事者間でのみ効力を生じますので、Cは利害関係人にはあたりません(乙区5番付記1号)。
ウ…正しいです。先順位抵当権者Cから後順位抵当権者Hに順位譲渡がされた後、Cの抵当権の抹消を行う場合、Hは利害関係人にあたります(昭37・8・1民甲2206号)。Cの抵当権の放棄により、Cの配当額がなくなるので、Cの配当額に按分比例してHが受け取れるはずだった配当額につき、Hが損をする可能性があるからです。
エ…誤りです。賃借権の設定された土地について、民法387条1項に基づき当該賃借権が抵当権に優先する旨の登記がなされているときには、賃料を減額する旨の登記の申請を行おうとする場合について、当該土地の後順位の担保権者は利害関係人にあたります(平15・12・25民二3817号通達)。よって、Dの賃借権の登記(乙区2番)の前に設定された抵当権(乙区1番)の抵当権者Cは利害関係人です。
オ…正しいです。先順位根抵当権者Eの根抵当権の増額変更をする旨の変更の登記を申請する場合、後順位根抵当権者Jは利害関係人にあたります。
参考になった数3
この解説の修正を提案する
03
ア. Fへの所有権移転後にEの根抵当権の極度額の変更の登記がなされています。この場合Eは利害関係人に該当します。
イ. HIJはGの仮登記に遅れるので利害関係人にあたります。
ウ. HはCから順位譲渡をうけているので、Cの登記を抹消する際の利害関係人にあたります。
エ. 賃料を減額することにより賃借権の存続期間が長くなれば抵当権者であるCを害することになります。よってCは登記上の利害関係人にあたります。
オ. 根抵当権の極度額の増額の登記を申請する場合は、後順位の根抵当権者にとって不利益な変更ですので、Jは登記上の利害関係人に該当します。
参考になった数3
この解説の修正を提案する
前の問題(問49)へ
平成28年度問題一覧
次の問題(問51)へ