司法書士の過去問
平成28年度
午後の部 問56

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問題

平成28年度 司法書士試験 午後の部 問56 (訂正依頼・報告はこちら)

次のアからオまでの記述のうち、Yを所有権の登記名義人とする甲土地について、第1欄に掲げる事由が生じた場合に、第2欄に掲げる事項を申請情報の内容とする抵当権の設定の登記の申請をすることができないものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。
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  • アイ
  • アオ
  • イエ
  • ウエ
  • ウオ

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この過去問の解説 (3件)

01

抵当権の設定登記ができないのはウとエで4が正解です。

ア. 保証金返還債権を被担保債権として抵当権を設定することは可能です。登記原因は「年月日賃貸借契約の保証金返還債権年月日設定」になります。

イ. 非金銭債権も抵当権の被担保債権とすることができます。この場合は債権価格が登記事項となります。

ウ. 債権の一部を被担保債権とすることはできますが、その場合は「年月日金銭消費貸借金400 万円のうち金200万円年月日設定」が登記原因となります。

エ. 元本債権と利息債権を合わせた債権額で抵当権設定登記をすることができますが、その場合、債権額とその内訳を記載する必要があります。

オ. 抵当権者が銀行の場合は取扱店を登記することが可能です。

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02

正解は 4 です。

第1欄に掲げる事由が生じた場合に、第2欄に掲げる事項の申請情報を内容とする抵当権の設定登記ができないのは、ウ及びエなので、4が正解となります。

各選択肢の解説は、以下のとおりです。

ア. 先例は、賃借権契約を定める保証金返還請求権を担保するための抵当権は、普通抵当権によるべきであり、その場合の登記原因は「年月日賃貸借契約の保証金返還請求権の年月日設定」とするべきである、としています(昭和51年10月15日民3.5414)。従って、第1欄に掲げる事由が生じた場合に、第2欄に掲げる事項の申請情報を内容とする抵当権の設定登記ができます。

イ. 先例は、石炭売買の引渡債権を目的とした抵当権の設定の登記について「年月日石炭売買の引渡債権年月日設定 債権価額 石炭何千トン 価額金何万円」とする登記ができるとしています(記録例368)。従って、第1欄に掲げる事由が生じた場合に、第2欄に掲げる事項の申請情報を内容とする抵当権の設定登記ができます。

ウ. 先例は、貸借額1億円のうち5,000万円について抵当権を設定した場合の登記の登記原因は、「年月日金銭消費貸借金1億円のうち金5,000万円年月日設定」となる、としています(昭和30年4月8日民甲683、記録例364)。従って、第1欄に掲げる事由が生じた場合に、第2欄に掲げる事項の申請情報を内容とする抵当権の設定登記ができません。

エ. 先例は、いわゆるアドオン方式による金銭消費貸借契約に基づく抵当権設定登記の申請をする場合、債権額は前払いの利息相当額と交付額の合計額を持って記載し、利息は支払済と記載して差し支えない、としています(昭和39年10月15日民甲3395)。従って、第1欄に掲げる事由が生じた場合に、第2欄に掲げる事項の申請情報を内容とする抵当権の設定登記ができません。

オ. 先例は、申請書に取扱店の表示をして抵当権又は根抵当権の設定の申請の登記があった場合には、その登記において取扱店を表示して差し支えない、としています(昭和36年5月17日民甲1134)。従って、第1欄に掲げる事由が生じた場合に、第2欄に掲げる事項の申請情報を内容とする抵当権の設定登記ができます。

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03

正解は4です。

ア…設定できます。賃借人から賃貸人に差し入れた保証金の返還請求権を担保として、抵当権を設定することができ、この場合の登記原因は「年月日賃貸借契約の保証金返還債権年月日設定」とします(昭51・10・15民三5414号回答)。

イ…設定できます。抵当権には、金銭債権以外の債権も設定することができ、将来発生する予定の債権も設定できます(大判昭7・6・1)。物の引渡債権を抵当権の目的とする場合の登記原因は「年月日(原因)の引渡債権年月日設定」とします。

ウ…設定できません。債権の一部を被担保債権として抵当権を設定することもできます(昭30・4・8民甲683号通達)。しかし、この場合、債権の一部であることがわかるように、登記原因を「年月日金銭消費貸借金○円のうち金○円年月日設定」とする必要があります。

エ…設定できません。元本と将来発生する利息の両方を被担保債権として抵当権を設定する(=アドオン方式の)場合、債権額の記載を、(内訳のない)元本と利息の合計額とするほか、利息の記載を「支払済」とする必要があります(昭39・10・15民甲3395号通達)。

オ…設定できます。抵当権者が銀行などの金融機関であるときは、抵当権者を「○銀行(取扱店 ○支店)」のようにして設定することができます(昭36・5・17民甲1134号通達)。

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