司法書士の過去問
平成28年度
午後の部 問57
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問題
平成28年度 司法書士試験 午後の部 問57 (訂正依頼・報告はこちら)
次のアからオまでの記述のうち、次の①又は②のいずれか一方のみに当てはまるものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。
①建物を新築する際に不動産工事の先取特権の保存の登記を申請する場合
②所有権の保存の登記がある建物の不動産売買の先取特権の保存の登記を申請する場合
ア 2名以上の先取特権者が申請人となるときは、先取特権者の持分を申請情報の内容としなければならない。
イ 違約金の定めがあるときは、その定めを申請情報の内容としなければならない。
ウ 添付情報として、登記原因を証する情報を提供しなければならない。
エ 添付情報として、建物の設計書の内容を証する情報を提供しなければならない。
オ 所有権の移転の登記の申請と同時に申請しなければならない。
①建物を新築する際に不動産工事の先取特権の保存の登記を申請する場合
②所有権の保存の登記がある建物の不動産売買の先取特権の保存の登記を申請する場合
ア 2名以上の先取特権者が申請人となるときは、先取特権者の持分を申請情報の内容としなければならない。
イ 違約金の定めがあるときは、その定めを申請情報の内容としなければならない。
ウ 添付情報として、登記原因を証する情報を提供しなければならない。
エ 添付情報として、建物の設計書の内容を証する情報を提供しなければならない。
オ 所有権の移転の登記の申請と同時に申請しなければならない。
- アイ
- アウ
- イオ
- ウエ
- エオ
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この過去問の解説 (3件)
01
①又は②のいずれか一方のみに当てはまるの組み合わせは、エ及びオなので、5が正解となります。
各選択肢の解説は、以下のとおりです。
ア. ①不動産工事の先取特権の保存の登記を申請する場合には、登記名義人となる者が2名以上であるときは、当該登記名義人となる者ごとの持分を申請情報の内容としなければなりません(不動産登記令3条9号)。②不動産売買の先取特権の保存の登記を申請する場合には、登記名義人となる者が2名以上であるときは、当該登記名義人となる者ごとの持分を申請情報の内容としなければなりません(不動産登記令3条9号)。従って、本選択肢は①②の双方に当てはまります。
イ. ①不動産工事の先取特権の保存の登記を申請する場合に、違約金の定めを申請情報の内容としなければならない旨の規定は存在しません(不動産登記法59条、83条、85条、86条参照)。②不動産売買の先取特権の保存の登記を申請する場合には、違約金の定めを申請情報の内容としなければならない旨の規定は存在しません(不動産登記法59条、83条)。従って、本選択肢は①②のいずれにも当てはまりません。
ウ. ①不動産工事の先取特権の保存の登記を申請する場合に、添付情報として、登記原因証明情報を提供しなくてはなりません(不動産登記法61条、不動産登記令別表43添付情報イ)。②不動産売買の先取特権の保存の登記を申請する場合には、添付情報として、登記原因証明情報を提供しなくてはなりません(不動産登記法61条、不動産登記令別表42添付情報)。従って、本選択肢は①②の双方に当てはまります。
エ. ①不動産工事の先取特権の保存の登記を申請する場合に、添付情報として、新築する建物の設計書(図面を含む)の内容を証する情報を提供しなければなりません(不動産登記令別表43添付情報ロ)。②不動産売買の先取特権の保存の登記を申請する場合には、添付情報として、新築する建物の設計書(図面を含む)の内容を証する情報を提供しなければなならいという規定は存在しません(不動産登記令別表42添付情報参照)。従って、本選択肢は①のみに当てはまります。
オ. 不動産の工事の先取特権の効力を保存するためには、工事を始める前にその費用の予算額を登記しなければなりません(民法338条1項本文参照)。従って、この場合の不動産工事の先取特権の保存の登記は、工事着手前に申請することが必要です。従って、本選択肢の記述は①には当てはまりません。一方、②不動産の売買の先取特権の効力を保存するには、売買契約と同時に、不動産の代価又はその利息の弁済がされていない旨を登記しなければなりません(民法340条)。つまり、この場合の不動産売買の先取特権の保存の登記は、当該売買による所有権移転の登記と同時に申請する必要があり、本選択肢の記述は②に当てはまります。従って、本選択肢は②のみに当てはまります。
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02
ア. 両方にあてはまります。根質権、根抵当権、信託登記を除いて持分は申請情報の内容となります。
イ. いずれにおいても、違約金は申請情報の内容とはなりません。
ウ. いずれにおいても、登記原因証明情報は添付情報になります。
エ. 不動産工事の先取特権の保存の登記においては、建物の設計書が添付情報になります。一方、不動産売買先取特権保存登記においては、設計書は添付情報になりません。よっていずれか一方にあてはまります。
オ. 不動産売買先取特権保存登記は、売買による所有権移転登記と同時に申請しなければなりません。一方、不動産工事の先取特権の場合は工事着手前に申請をする必要があります。よっていずれか一方にあてはまります。
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03
ア…➀も②も当てはまります。保存の登記では、表題部所有者が新たに設定されます。表題部所有者が二人以上であるときは、当該表題部所有者となる者ごとの持分の登記が必要です(不動産登記令3条9号)。
イ…➀も②も当てはまりません。不動産工事の先取特権の保存の登記事項は、➀債権額、②工事費用の予算額、③債務者の氏名または名称及び住所、です(不動産登記法83条、85条)。いずれも絶対的登記事項であり、相対的登記事項はありません。一方、不動産売買の先取特権の保存の登記事項は、➀債権額、②債務者の氏名または名称及び住所、です(不動産登記法83条)。相対的登記事項には、利息があります(民法328条)。いずれも、違約金の定めを登記することはできません。
ウ…➀も②も当てはまります。不動産工事の先取特権の保存、不動産売買の先取特権の保存、いずれも登記原因証明情報の添付が必要です(不動産登記令別表43イ、42)。
エ…➀のみ当てはまります。不動産工事の先取特権の保存の登記には、新築する建物の設計書及び図面の内容を証する書面が必要です(不動産登記令別表43ロ)。一方、不動産売買の先取特権の保存の登記には、建物の設計書等は必要とされていません。
オ…②のみ当てはまります。不動産工事の先取特権の保存の登記は、工事を始める前に登記する必要がありますが(民法338条)、所有権移転の登記と同時にする必要はありません。一方、不動産売買の先取特権の保存の登記は、売買における所有権移転の登記(不動産の価格及び利息についての登記)と同時に登記しなければいけません(民法340条)。
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