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司法書士の過去問 平成28年度 午後の部 問61

問題

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次の対話は、登録免許税に関する司法書士と補助者との対話である。司法書士の質問に対する次のアからオまでの補助者の解答のうち、正しいものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。なお、租税特別措置法等の特例法による税の減免規定の適用はないものとし、また、複数の申請方法や複数の登録免許税の計算方法が考えられる場合は、登録免許税の額が最も低額となるよう申請するものとする。


司法書士 : A及びBが所有権の登記名義人である地積1000平方メートルの甲土地があり、甲土地の登記記録上、A及びBの持分がそれぞれ2分の1ずつ登記されているものとします。
この甲土地から、地積300平方メートルの乙土地を分筆する分筆の登記をした直後、Aのみが乙土地の所有権の登記名義人に、Bのみが分筆後の甲土地(以下「丙土地」という。)の所有権の登記名義人になるよう、両土地について、共有物分割を登記原因として、持分の移転の登記を同時に申請することにしました。
分筆前の甲土地の不動産の価額が1000万円、乙土地の不動産の価額が300万円、丙土地の不動産の価額が700万円であるとき、乙土地について当該持分の移転の登記をする場合の登録免許税は、いくらですか。

補助者 : ア  3万円です。

司法書士 : では、丙土地について当該持分の移転の登記をする場合の登録免許税は、いくらですか。

補助者 : イ  7万円です。

司法書士 : 乙土地における当該持分の移転の登記後、Aが住所を甲市乙町1番地の1から丙市丁町2番2号に移転し、さらにその後、区制施行により丙市丁町2番2号が丙市中央区丁町2番2号に変更されたとします。乙土地につきAの住所の変更の登記をする場合の登録免許税は、いくらですか。

補助者 : ウ  登録免許税は、かかりません。

司法書士 : 丙土地における当該持分の移転の登記後、丙土地の乙区1番に、BのC株式会社及びD株式会社に対する売買取引上の債務を担保するため、C株式会社及びD株式会社を根抵当権の登記名義人とする極度額500万円の根抵当権の設定の登記をしたとします。
その後、当該根抵当権を、C株式会社のみを根抵当権者とする極度額200万円の順位1番の根抵当権と、D株式会社のみを根抵当権者とする極度額300万円の順位1番の根抵当権にするために、放棄を登記原因とする当該根抵当権の共有者の権利の移転の登記をした後、当該根抵当権の分割譲渡の登記をすることにしました。この2件の登記をする場合の登録免許税は合計でいくらになりますか。

補助者 : エ  1万4000円です。

司法書士 : では、先の2件の登記の順序を入れ替え、当該根抵当権の分割譲渡の登記をした後、当該分割譲渡の登記後の根抵当権につき放棄を登記原因とする当該根抵当権の共有者の権利の移転の登記をする場合、登録免許税は合計でいくらになりますか。

補助者 : オ  7000円です。
   1 .
アイ
   2 .
アエ
   3 .
イウ
   4 .
ウオ
   5 .
エオ
( 平成28年度 司法書士試験 午後の部 問61 )
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この過去問の解説 (3件)

9
正解は 4 です。

正しい選択肢はウとオなので、4が正解です。

各選択肢の解説は以下のとおりです。

ア. 共有物分割を原因とする持分移転登記の申請が、分筆登記に係る他の土地の全部又は一部の所有権の持分の移転登記(当該共有物の分割によるものに限る)と同時に申請された場合において、分筆登記前に有していた持分の価額に対応する部分についての登録免許税は4/1,000となります。従って、本選択肢の登録免許税は6,000円(=150万円×4/1,000)となるので、本選択肢は誤りです。

イ. 共有物分割を原因とする持分移転登記の申請が、分筆登記に係る他の土地の全部又は一部の所有権の持分の移転登記(当該共有物の分割によるものに限る)と同時に申請された場合において、分筆登記前に有していた持分の価額に対応する部分についての登録免許税は4/1,000となりますが、分筆登記前に有していた持分の価額を超える分については20/1,000となります。従って、本選択肢の登録免許税は46,000円(=150万円×4/1,000+200万円×20/1,000)となるので、本選択肢は誤りです。

ウ. 先例は、区制施行により地番変更を伴わない行政区画の変更が行われた場合の登記名義人の住所の変更の登記を申請する場合、添付情報として、当該行政区画の変更に係る市区町村長の証明書が提供された時は、登録免許税はかからない、としています(平成22年11月1日民2.2759)。従って、本選択肢は正しいです。

エ. 先例は、放棄を原因とする根抵当権の共有者の権利移転の登記の登録免許税は、極度額を譲渡前の根抵当権の共有者の数で除した額の2/1,000としています(昭和46年10月4日民甲3230他)。従って、本選択肢の登録免許税は9,000円(=500万円÷2×2/1,000+200万円×2/1,000)となるので、本選択肢は誤りです。

オ. 先例は、根抵当権の分割譲渡の登記の登録免許税は譲渡額の2/1,000、放棄を原因とする根抵当権の共有者の権利移転の登記の登録免許税は、極度額を譲渡前の根抵当権の共有者の数で除した額の2/1,000としています(昭和46年10月4日民甲3230他)。従って、本選択肢の登録免許税は、根抵当権の分割譲渡については200万円×2/1,000=4,000円、放棄を原因とする根抵当権の共有者の権利移転の登記については、300万円÷2×2/1,000=3,000円、合計7,000円となり、本選択肢は正しいです。

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5
正解は4です。

ア…誤りです。本問前半のように、元の共有不動産甲土地が乙土地と丙土地に分かれ、共有者A、Bそれぞれの単有になる場合には、➀甲土地の分筆の登記、②乙土地のB持分につき、Aへの持分全部移転の登記、③丙土地のA持分につき、Bへの持分全部移転の登記、が必要です(最判昭42・8・25)。②における課税標準額は、持分を基準として算出します(登録免許税法10条2項)。乙土地においては、(乙土地の価額300万円)×(B持分割合1/2)=150万円となります。また、共有物分割による持分移転の場合の定率は、当該分割による損失を超えない範囲で4/1000、超える範囲では20/1000とされます。丙土地に関してAが失う不動産の価額は(丙土地の価額700万円)×(丙土地のA持分1/2)=350万円であり、Aが乙土地に関して取得する土地の価額を超えません。よって課税標準額に一律に4/1000を乗じ、登録免許税は150万円×4/1000=6000円となります(不動産登記規則189条1項、登税法別表一1(ニ)ロ)。

イ…誤りです。選択肢アと同様に考えます。上記③における課税標準額は、(丙土地の価額700万円)×(A持分割合1/2)=350万円です。乙土地に関してBが失う不動産の価額は150万円ですので、分割における定率は350万円-150万円=200万円につき20/1000、150万円につき4/1000となります。よって登録免許税は(200万円×20/1000)+(150万円×4/1000)=46000円となります(不動産登記規則189条1項、登税法別表登税法別表一1(ニ)ロ、ハ)。

ウ…正しいです。登記名義人が、登記記録上の住所から他の住所に移転した後、区政施行などの地番の変更を伴わない行政区画変更がされた場合、登記原因を「年月日住所移転、年月日区政変更」とし、区政変更に係る市区町村長登の証明書が添付された際は、登録免許税法5条5号の規定により、登録免許税は非課税となります(平22・11・1民二2759号)。同一申請では後の方の登記の登録免許税が適用されるため、申請は非課税で良いことになります。なお、本問では住所移転があるため、必ず住所に関する変更登記が必要ですが、住所移転がなく、地番の変更を伴わない行政区画変更であれば、(行政区画変更は公知の事実であるので)登記自体が必要ではありません。

エ…誤りです。本問後半のように、共有根抵当権を共有者C、D間で分割譲渡しても、直ちにそれぞれの単有とすることはできませんので(昭46・12・27民三960号)、【案1:➀Cが共有根抵当権を放棄し、②DからCに原根抵当権の分割譲渡をする】、もしくは、【案2:➀Cに共有根抵当権を分割譲渡し、②Cが原根抵当権の放棄をする】、のいずれかの方法による必要があります。案1の場合、➀Cの共有根抵当権移転の登記における課税標準額は、極度額を放棄前の共有者で除した額ですので(先例)、500万円/2=250万円です。放棄を原因とする抵当権移転の登記の定率は2/1000ですから(登税法別表一1(六)ロ)、登録免許税は250万円×2/1000=5000円です。②DからCへの根抵当権の分割譲渡の登記における課税標準額は、分割譲渡した根抵当権の極度額ですので、200万円です。定率は同様に2/1000であり(登税法別表一1(六)ロ)、登録免許税は200万円×2/1000=4000円となります。よって、案1では5000円+4000円=9000円かかります。

オ…正しいです。選択肢エと同様に考えます。上記の案2の場合、➀DからCへの分割譲渡の登記について、課税標準額は200万円であり、定率は2/1000であることから、登録免許税は200万円×2/1000=4000円です。②Cの原根抵当権移転の登記における課税標準額は、300万円/2=150万円であり、定率2/1000ですから、登録免許税は150万円×2/1000=3000円です。よって、案2では4000円+3000円=7000円かかります。なお、案1と案2のいずれも、CとDを逆にして申請することもできますが、登録免許税が高くなるため、Cを分割譲渡者として考えます。

1

正解 4

ア 誤り
土地の分筆による共有物の分割の登記申請が、分筆登記に係る他の土地の全部又は一部の所有権の持分の移転登記と同時に申請された場合において、その共有物について有していた持分に応じた価額に対応する部分を移転する場合は、登録免許税の税率は1000分の4になります(登録免許税法別表第一、一(二)ロ、登録免許税法施行令9条1項)。
よって、乙土地について当該持分の移転の登記をする場合の登録免許税は、150(万円)×4/1000=6000円となります。

イ 誤り
土地の分筆による共有物の分割の登記申請が、分筆登記に係る他の土地の全部又は一部の所有権の持分の移転登記と同時に申請された場合において、分筆登記前に有していた持分の価額を超える部分については、登録免許税の税率は1000分の20になります(登録免許税法別表第一、一(二)ハ)。
よって、 丙土地について当該持分の移転の登記をする場合の登録免許税は、150(万円)×4/1000+200(万円)×20/1000=46000円となります。

ウ 正しい
住所について区制施行による変更があった場合の登記名義人の住所の変更の登記を申請する場合、当該行政区画の変更に係る市区町村長の証明書が添付情報として提供されたときは、登録免許税はかかりません(平成22年11月1日民二2759号)。

エ 誤り
放棄による根抵当権の共有者の権利移転の登記の登録免許税は、極度額を譲渡前の根抵当権の共有者数で除した額に1000分の2を乗じた額となります(昭和46年10月4日民甲3230号)。
本肢において、2件の登記をする場合の登録免許税は、500(万円)÷2×2/1000+200(万円)×2/1000=9000円となります。

オ 正しい
根抵当権の分割譲渡の登記にかかる登録免許税は、譲渡額の1000分の2となり、権利放棄による根抵当権の共有者の権利移転の登記にかかる登録免許税は、極度額を譲渡前の根抵当権の共有者数で除した額に1000分の2を乗じた額となります(昭和46年10月4日民甲3230号)。
本肢の場合、登録免許税は、200(万円)×2/1000=4000円(根抵当権の分割譲渡)、300(万円)÷2×2/1000=3000円(権利放棄による根抵当権の共有者の権利移転登記)となり、合計は7000円です。

よって、正しい肢はウとオとなり、4が正解となります。

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