司法書士の過去問
平成28年度
午後の部 問62

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問題

平成28年度 司法書士試験 午後の部 問62 (訂正依頼・報告はこちら)

商業登記の申請又は嘱託に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。


ア  後見人の登記において、未成年被後見人が成年に達したことによる消滅の登記は、登記官が職権ですることができる。

イ  未成年者の登記において、未成年者の営業の許可の取消しによる消滅の登記は、法定代理人のほか未成年者自身も申請することができる。

ウ  支配人の登記において、会社以外の商人(小商人を除く。)が複数の支配人を選任したときは、各支配人はそれぞれその登記を別個に申請しなければならない。

エ  外国会社の登記については、日本における代表者が外国会社を代表して申請しなければならず、本国における代表者が申請することはできない。

オ  後見人の登記において、家庭裁判所の審判によって後見人が解任されたことによる消滅の登記は、裁判所書記官の嘱託によって行われる。
  • アイ
  • アオ
  • イエ
  • ウエ
  • ウオ

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この過去問の解説 (3件)

01

正解は 3 です。

正しい選択肢はイとエなので、3が正解です。

各選択肢の解説は、以下のとおりです。

ア. 後見人の登記は、後見人が行うのが原則です。ただし、未成年被後見人が成年に達したことによる消滅の登記は、未成年被後見人であった者からすることができますが、この登記を登記官が職権で行うことはできません(商業登記法41条1項2項参照)。従って、本選択肢は誤りです。

イ. 未成年者の登記は、未成年者の申請によって行います。これに加えて、営業許可取消しによる消滅の登記又は営業の許可の制限による変更の登記の申請は未成年者のみならず、その法定代理人も申請できます(商業登記法36条1項2項参照)。従って、本選択肢は正しいです。

ウ. 商人が支配人を選任したときは、その登記を申請しなければなりません。つまり、会社以外の商人(小商人を除く)の支配人の選任の登記は、商人の申請によってなされます。支配人自らは当該登記の申請をすることはできません(商業登記法22条参照)。従って、本選択肢は誤りです。

エ. 外国会社の登記の申請については、日本における代表者が会社を代表して申請します。外国会社の本国における代表者は、登記の申請をすることができません(商業登記法128条、昭和44年1月14日付民甲32参照)。従って、本選択肢は正しいです。

オ. 後見人の登記は、後見人が行うのが原則です。そして、後見人の退任による消滅の登記は、新後見人もすることができます。これは、家庭裁判所の審判によって後見人が解任された場合も同様です(商業登記法41条1項、3項参照)。従って、本選択肢は誤りです。

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02

ア 誤り。
未成年者が成年に達したことによる未成年者の消滅の登記は、未成年者の登記において生年月日が登記事項となっているため、登記官が職権ですることができます(商業登記法36条4項)。

しかし、後見人の登記では、未成年被後見人の生年月日は登記事項となっていないため、未成年被後見人が成年に達したことによる後見人の消滅の登記は、登記官が職権ですることはできません。
この場合、後見人若しくは未成年者被後見人が消滅の登記を申請することになります(商業登記法41条1項、2項)。

イ 正しい。
未成年者の登記は、未成年者の申請によって行われるのが原則です(商業登記法36条1項)。

もっとも、営業の許可の取消しによる消滅の登記又は営業の許可の制限による変更の登記は、法定代理人も申請することができます(商業登記法36条2項)。

よって、営業の許可の取消しによる消滅の登記は、法定代理人のほか未成年者自身も申請することができます。

ウ 誤り。
会社以外の者から数人の支配人の登記の申請があったときは、各支配人について各別の登記記録に登記をする必要があります(商業登記規則56条)。

もっとも、登記申請については、数人の支配人の登記をまとめて申請することも可能です。

エ 正しい。
外国会社の登記は、日本における代表者が外国会社を代表して申請する必要があります(商業登記法128条)。

オ 誤り。
後見人の登記は、後見人の申請によって行うのが原則です(商業登記法41条1項)。
また、後見人の退任による消滅の登記については、新後見人も申請することができます(商業登記法41条3項)。

よって、家庭裁判所の審判によって後見人が解任された場合であっても、消滅の登記をすることができるのは、後見人もしくは新後見人に限られ、裁判所書記官の嘱託によって登記をすることはできません。

よって、正しい肢はイとエとなり、3が正解となります。

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03

正解は3です。

ア…誤りです。後見人の登記がされていた場合において、未成年被後見人が成年に達したとき、または、被後見人につき後見開始の審判が取り消されたときは、後見人または被後見人が、後見人の消滅の登記を申請する必要があります(商業登記法41条2項、42条5項)。登記官による後見人消滅の登記はありません。

イ…正しいです。法定代理人により、未成年者の営業の許可が取り消された場合、その消滅の登記は、法定代理人と未成年者自身が申請することができます(商業登記法36条2項)。

ウ…誤りです。会社でない個人事業主でも、支配人を選任することができます。そして、個人事業主が支配人を選任した場合には、個人事業主もしくは代理人による支配人の登記が必要です(商法22条)。登記事項からもわかる通り、会社以外の者から数人の支配人の登記の申請があったときは、各支配人について各別の登記記録に登記をしなければなりません(商業登記規則56条)。しかし、申請自体は同時にすることができ、支配人につき複数人の申請をする場合でも、登録免許税は一人の申請と変わらず3万円(支店において申請するときは9000円)です(先例、登税法別表二十九(一)ロ、(二)イ)。

エ…正しいです。外国会社の登記の申請については、日本における代表者が当該外国会社を代表して申請します(商業登記法128条)。

オ…誤りです。後見人に関する登記は、原則として後見人自身が行うことになっています(商業登記法41条1項)。例外として、後見人が死亡や解任などにより退任した場合、その後見人の消滅の登記は、新後見人もすることができます(同条3項)。

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