司法書士の過去問
平成29年度
午前の部 問10

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問題

平成29年度 司法書士試験 午前の部 問10 (訂正依頼・報告はこちら)

地上権又は地役権に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。なお、別段の慣習の有無を考慮する必要はない。

ア 地上権の目的である土地とその隣地との境界線上に地上権設定後に設けられたブロック塀は、地上権者と隣地の所有者の共有であると推定される。
イ 地上権者が土地の所有者に対し定期に地代を支払わなければならない場合において、設定行為で存続期間を定めていないときは、当該地上権者は、その地上権を放棄することができない。
ウ 竹木の所有を目的とする地上権の地上権者が、その目的である土地に作業用具を保管するための小屋を建てた場合において、当該地上権が消滅したときは、当該地上権者は、その土地の所有者に対し、当該小屋を時価で買い取るよう請求することができる。
エ 地役権は、要役地と承役地が隣接していない場合には設定することができない。
オ 設定行為により、承役地の所有者が自己の費用で地役権の行使のために工作物の修繕をする義務を負担したときは、当該承役地の所有者は、いつでも、当該地役権に必要な土地の部分の所有権を放棄して地役権者に移転し、その義務を免れることができる。
  • アイ
  • アオ
  • イウ
  • ウエ
  • エオ

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この過去問の解説 (3件)

01

正解は2です。

正しい選択肢は、アとオなので、2が正解となります。

各選択肢の解説は、以下のとおりです。

ア. 自地と隣地との境界線上に設けられたブロック塀は、地上権者と隣地の所有者の共有であると推定されます。従って、本選択肢は正しいです。

イ. 民法第268条第1項によると、設定行為で地上権の存続期間を定めなかった場合において、別段の慣習がないときは、地上権者は、いつでもその権利を放棄することができる。ただし、地代を支払うべきときは、一年前に予告をし、又は期限の到来していない一年分の地代を支払わなければならないとされています。従って、本選択肢は誤りです。

ウ. 民法第269条第1項によると地上権者は、その権利が消滅した時に、土地を原状に復してその工作物及び竹木を収去することができる。ただし、土地の所有者が時価相当額を提供してこれを買い取る旨を通知したときは、地上権者は、正当な理由がなければ、これを拒むことができないとされています。従って、地上権者が土地の所有者に対して買い取りを請求することについては規定されていないため、本選択肢は誤りです。

エ. 要役地と承役地は隣接することを成立要件としていません。従って、本選択肢は誤りです。

オ. 民法第287条によると、承役地の所有者は、いつでも、地役権に必要な土地の部分の所有権を放棄して地役権者に移転し、これにより前条の義務を免れることができるとされており、民法第286条で定める承役地の所有者の工作物の設置義務を免れることができます。従って、本選択肢は正しいです。

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02

正解は2です。

ア…正しいです。境界線上に設けた境界標、意匠、障壁、溝および堀は、相隣者の共有に属するものと推定されます(292条)。

イ…誤りです。定期的に地代を払う定めはあるが、存続期間の定めのない地上権については、地上権者は、1年前に予告をするか、または期限の到来していない1年分の地代を払うことで地上権を放棄することができます(268条1項)。

ウ…誤りです。地上権が消滅したときに、目的である土地上の工作物を時価で買取るよう申出ができるのは、土地の所有者であり、地上権者は正当な理由がなければこれを拒めません(269条)。

エ…誤りです。地役権は、所有権の限界に関する規定に違反しない限り、どのような土地でも設定することができます(280条)。よって、要役地と承役地が隣接していない場合でも、設定できます。

オ…正しいです。設定行為または設定行為後の契約により、承役地の所有者が自己の費用で地役権の行使のために工作物を設け、またはその修繕をする義務を負担したときは、いつでも、地役権に必要な土地の部分の所有権を放棄して地役権者に移転し、これによりその義務を免れることができます(286条、287条)。

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03

正解は 2 です。

正しい選択肢はアとオであり、2が正解となります。

各選択肢の解説は以下のとおりです。

ア 境界線上に設けられた境界標、囲障、障壁、溝及び塀は、相隣者の共有に属するものと推定されます。従って、本選択肢は正しいです。

イ 設定行為で地上権の存続期間を定めなかった場合において、地上権者は地代を支払うべき時でも、1年前に予告をし、又は期限の到来していない1年分の地代を払えば、その権利を放棄することができます。従って、本選択肢は誤りです。

ウ 民法269条1項但書は、地上権が消滅したときに、土地の所有者が時価相当額を提供して土地の工作物を買い取る旨を通知したときは、地上権者は正当な理由がなければ、これを拒むことができないと規定しています。土地の工作物の買取請求権の主体は土地所有者であって、地上権者でないので、本選択肢は誤りです。

エ 地役権は、要役地と承役地が隣接していない場合にも設定できます。従って、本選択肢は誤りです。

オ 承役地の所有者は、何時でも、地役権に必要な土地の部分の所有権を放棄して地役権者に移転し、これにより、承役地の所有者が自己の費用で地役権行使のために工作物を設け、又は修繕をする義務を免れることができます。従って、本選択肢は正しいです。

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