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司法書士の過去問 平成29年度 午前の部 問23

問題

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次の事例における次のアからオまでの記述のうち、判例の趣旨に照らし正しいものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。

【事例】
Aは、平成27年4月1日、死亡したが、その生前に、以下のとおり、財産の処分をしていた。なお、Aの相続人は、子であるC及びDの2名のみであり、Bは、Aの相続人ではない。また、各不動産の価額は、Aの死亡時における評価額であり、その後に価額の変動はないものとし、Aの死亡当時、Aには他に遺産はなく、債務もなかったものとする。
·Aは、平成20年4月1日、Bに対し、現金1000万円を贈与した。Bは、この当時、この贈与が遺留分権利者に損害を加えることを知らなかった。
·Aは、平成24年4月1日、Cに対し、自己の所有する甲土地(2000万円)を贈与した。Cは、この当時、この贈与が遺留分権利者に損害を加えることを知らなかった。
·Aは、平成25年5月1日、Cに対し、自己の所有する乙土地(1000万円)及び丙土地(1000万円)を遺贈する旨の遺言をした。

ア Dは、Bに対し、遺留分減殺請求権を行使して、贈与を受けた金銭のうち250万円の返還を求めることができる。
イ Dは、Cに対し、遺留分減殺請求権を行使して、甲土地の2分の1の持分について所有権の移転の登記を求めることができる。
ウ Dは、Cに対し、遺留分減殺請求権を行使して、乙土地の2分の1の持分及び丙土地の2分の1の持分についてそれぞれ所有権の移転の登記を求めることができる。
エ Cが、Aの死亡後に乙土地及び丙土地をEに譲り渡し、それぞれについて所有権の移転の登記をしていた場合には、Eが譲渡の時に遺留分権利者に損害を加えることを知っていたかどうかにかかわらず、Dは、Cに対し、遺留分減殺請求権を行使して、1000万円の支払を求めることができる。
オ Aが、遺言により、乙土地及び丙土地の遺贈については、これらの財産の価額を相続財産に算入することを要しない旨の意思表示(持戻し免除の意思表示)をしていた場合には、Dは、Cに対し、当該遺贈について遺留分減殺請求権を行使することができない。
   1 .
アイ
   2 .
アオ
   3 .
イエ
   4 .
ウエ
   5 .
ウオ
※ 平成30年の民法改正により「遺留分減殺請求権」は「遺留分侵害額請求権」に変更されました。
この問題は平成29年(2017)に出題された問題となります。
<参考>
( 平成29年度 司法書士試験 午前の部 問23 )
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この過去問の解説 (3件)

7
正解は 4 です。

正しい選択肢はウとエであり、4が正解です。

各選択肢の解説は、以下のとおりです。

ア 民法1030条は「贈与は、相続開始前の1年間にしたものに限り、前条の規定によりその価額を算入する。当事者双方が遺留分権利者に損害を与えることを知って贈与をした時は、1年前の日より前にしたものについても同様とする」と規定しています。BがAから遺贈を受けた際に当該贈与が遺留分権利者に損害を与えることを知らなかったわけですから、DはBに対して遺留分減殺請求をすることができないので、本選択肢は誤りです。

イ 民法1033条は「贈与は、遺贈を減殺した後でなければ、減殺することができない」と規定しています。従って、本選択肢は誤りです。

ウ Dは被相続人Aの財産の価額4,000万円(2,000万円+1,000万円+1,000万円)のうち、その4分の1(2分の1×2分の1)の1,000万円分を減殺行使できるので、Cに対して、遺留分減殺請求権を行使して乙土地の2分の1の持分(500万円)及び丙土地の2分の1の持分(500万円)について、それぞれの所有権移転の登記を求めることができます。従って、本選択肢は正しいです。

エ 民法1040条1項本文は、減殺を受けるべき受贈者が贈与の目的物を他人に譲り渡した場合には、遺留分権利者にその価額を弁償しなければならない、と規定しています。従って、本選択肢は正しいです。

オ 判例(最高裁平成24年1月26日)は、「遺留分減殺請求により特別受益に当たる贈与についてされた持ち戻し免除の意思表示が減殺された場合、持ち戻し免除の意思表示は、遺留分を減殺する限度で失効し、当該贈与に係る財産の価額は、上記の限度で、遺留分権利者である相続人の相続分に加算され、当該贈与を受けた相続人の相続分から控除されるものと解するのが相当である」としています。従って、本選択肢は誤りです。

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4
正解 4

ア 誤り
贈与は、相続開始前の一年間にしたものに限り、遺留分の算定にあたりその価額を算入します(民法1044条1項前段)。
もっとも、当事者双方が遺留分権利者に損害を与えることを知って贈与をした時は、一年前の日より前にしたものについても、遺留分の算定にあたりその価額を算入します(同項後段)。
本肢におけるBは、贈与を受けた当時、この贈与が遺留分権利者に損害を加えることを知らなかったため、遺留分の算定にあたりその価額を算入することはできません。
したがって、Dは、Bに対し、遺留分侵害額を請求することはできません。

イ 誤り
負担すべき遺留分侵害額につき、受遺者と受贈者とがあるときは、受遺者が先に負担することになります(民法1047条1項1号)。

ウ 正しい
本肢において、遺留分を算定するための財産の価額は、甲土地と乙土地、丙土地の価額を合計した4,000万円です(民法1043条1項、同1044条1項)。
その4分の1にあたる1,000万円がDの遺留分となり(同1042条1項2号)、Dは、1,000万円を上限として遺留分侵害額の請求をすることができます。
したがって、Dは、Cに対し、遺留分侵害額を請求して、乙土地の2分の1の持分及び丙土地の2分の1の持分についてそれぞれ所有権の移転の登記を求めることができます。

エ 正しい
改正前民法1040条では、減殺を受けるべき受贈者が贈与の目的物を他人に譲り渡したときは、遺留分権利者にその価額を弁償しなければならないとされていました。
民法改正により、同条文は削除されましたが、受贈者・受遺者が遺留分侵害額請求の対象物を第三者に譲渡した場合、遺留分権利者は受贈者・受遺者に価額賠償を請求できると解されています。
したがって、本肢の場合、Dは、Cに対し、Eが譲渡の時に遺留分権利者に損害を加えることを知っていたかどうかにかかわらず、遺留分侵害額請求権を行使して、1000万円の支払を求めることができます。

オ 誤り
判例(最決平成24年1月26日)は、本肢と同様の事案において、「特別受益に当たる贈与についてされた当該贈与に係る財産の価額を相続財産に算入することを要しない旨の被相続人の意思表示が遺留分減殺請求により減殺された場合、当該贈与に係る財産の価額は、上記意思表示が遺留分を侵害する限度で、遺留分権利者である相続人の相続分に加算され、当該贈与を受けた相続人の相続分から控除される。」としています。

3
正解は4です。

正しい選択肢は、ウ、エなので、4が正解となります。

各選択肢の解説は、以下のとおりです。

ウ. 民法第1028条によると、兄弟姉妹以外の相続人は被相続人の財産の二分の一を遺留分として受け取ることができるとされています。被相続財産である4000万円に対するDの遺留分である1000万円について、遺留分減殺請求権を行使することにより、Cに対して乙土地の2分の1の持分及び丙土地の2分の1の持分について、それぞれ所有権の移転の登記を求めることができるため、本選択肢は正しいです。

エ. 民法第1040条第1項によると減殺を受けるべき受贈者が贈与の目的を他人に譲り渡したときは、遺留分権利者にその価額を弁償しなければならないとされています。従って、本選択肢は正しいです。

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