問題
教授:任期の満了前に退任した監査役の補欠として選任された監査役の任期を退任した監査役の任期の満了する時までとする旨の定款の定めがない場合であっても、この補欠の監査役の任期を退任した監査役の任期の満了する時まで短縮することができますか。
学生:ア そのような補欠の監査役の任期についての定款の定めがない場合には、株主総会の決議によっても、その補欠の監査役の任期を退任した監査役の任期の満了する時まで短縮することはできません。
教授:それでは、そのような補欠の監査役の任期についての定款の定めがある場合には、この補欠の監査役の任期はどうなりますか。
学生:イ そのような補欠の監査役の任期についての定款の定めがある場合において、選任の際に、株主総会の決議によって、その監査役が補欠であってその任期を退任した監査役の任期の満了する時までとする旨が定められたときは、その補欠の監査役の任期は、退任した監査役の任期の満了する時までとなります。
教授:次に、株主総会の決議によって、会社法又は定款で定めた監査役の員数を欠くこととなるときに備えて補欠の監査役を選任することができますが、例えば、5名以内の監査役を置くという定款の定めがある監査役会設置会社であるA株式会社(以下「A社」という。)の5名の監査役のうち、3名が社外監査役である場合において、社外監査役ではなく、かつ、常勤の監査役でもない監査役1名が死亡したときは、補欠の監査役は、監査役に就任することができますか。
学生:ウ いいえ。会社法で定めた監査役の員数及び定款で定めた監査役の員数をいずれも満たしているので、補欠の監査役は、監査役に就任することができません。
教授:それでは、A社の5名の監査役のうち、3名が社外監査役である場合において、常勤の監査役ではない社外監査役1名が死亡したときは、補欠の社外監査役は、社外監査役に就任することができますか。
学生:エ はい。会社法で定めた社外監査役の員数を満たしていないので、補欠の社外監査役は、社外監査役に就任することができます。
教授:最後に、A社の5名の監査役のうち、1名だけが社外監査役ではなく、かつ、常勤の監査役である場合において、その常勤の監査役が死亡したときは、補欠の監査役は、監査役に就任することができますか。
学生:オ はい。会社法上、監査役会は、監査役の中から常勤の監査役を選定しなければならないので、補欠の監査役は監査役に就任することができます。