司法書士の過去問
平成29年度
午後の部 問41

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問題

平成29年度 司法書士試験 午後の部 問41 (訂正依頼・報告はこちら)

民事保全に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。

ア 不動産の仮差押命令は目的物を特定して発しなければならないが、動産の仮差押命令は目的物を特定しないで発することができる。
イ 仮差押命令においては、仮差押えの執行の停止を得るため、又は既にした仮差押えの執行の取消しを得るために債務者が供託すべき金銭の額を定めることを要しない。
ウ 抵当権の実行を禁止する仮処分命令は、係争物に関する仮処分命令であり、その現状の変更により、債権者が権利を実行することができなくなるおそれがあるとき、又は権利を実行するのに著しい困難を生ずるおそれがあるときに発することができる。
エ 保全命令の申立ては、その趣旨並びに保全すべき権利又は権利関係及び保全の必要性を明らかにして、これをしなければならないところ、保全すべき権利又は権利関係については証明を要するが、保全の必要性については疎明で足りる。
オ 保全命令の申立てについての決定には、理由を付さなければならないが、口頭弁論を経ないで決定をする場合には、理由の要旨を示せば足りる。

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この過去問の解説 (3件)

01

正解は2です。


ア…正しいです。仮差押えの目的物は特定されていなければなりませんが、目的物が動産である場合には、目的物を特定しないで仮差押命令を発することができます(民事保全法21条)。


イ…誤りです。仮差押えにおいては、仮差押の執行の停止を得るため、又は既にした仮差押の執行の取消を得るために債務者が供託すべき金銭の額を定めなければなりません(仮差押解放金、民事保全法22条1項)。


ウ…誤りです。係争物に関する仮処分命令は、その現状の変更により、債権者が権利を実行することができなくなるおそれがあるとき、又は権利を実行するのに著しい困難を生ずるおそれがあるときに発することができるものであり(民事保全法23条1項)、仮処分後の強制執行が前提です。しかし、抵当権の実行を禁止する仮処分命令は、抵当権の存否に争いがある場合など、強制執行を前提としない仮処分ですので、仮の地位に関する仮処分命令(同条2項)となります。


エ…誤りです。保全命令の申立ては、その趣旨並びに保全すべき権利又は権利関係及び保全の必要性を明らかにしてしなければなりません(民事保全法13条1項)。そして、保全すべき権利又は権利関係及び保全の必要性は、疎明しなければなりません(民事保全法13条2項)。


オ…正しいです。保全命令の申立てについての決定には、理由を付さなければなりませんが、口頭弁論を経ないで決定をする場合には、理由の要旨を示せば足ります(民事保全法16条)。

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02

正解は2です。

正しい選択肢は、アとオなので、2が正解となります。

各選択肢の解説は、以下のとおりです。

ア.民事保全法第21条によると、「仮差押命令は、特定の物について発しなければならない。ただし、動産の仮差押命令は、目的物を特定しないで発することができる」とされています。従って、本選択肢は正しいです。

オ.民事保全法第16条によると、「保全命令の申立てについての決定には、理由を付さなければならない。ただし、口頭弁論を経ないで決定をする場合には、理由の要旨を示せば足りる」とされています。従って、本選択肢は正しいです。

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03


正解 2

ア 正しい
仮差押命令は、特定の物について発しなければなりませんが、動産の仮差押命令は、目的物を特定しないで発することができます(民事保全法21条)。
これによれば、不動産の仮差押命令は目的物を特定して発しなければなならないということになります。

イ 誤り
仮差押命令においては、仮差押えの執行の停止を得るため、又は既にした仮差押えの執行の取消しを得るために債務者が供託すべき金銭の額を定めなければなりません(民事保全法22条1項)。

ウ 誤り
係争物に関する仮処分命令は、その現状の変更により、債権者が権利を実行することができなくなるおそれがあるとき、又は権利を実行するのに著しい困難を生ずるおそれがあるときに発することができるとされています(民事保全法23条1項)。
ここでいう「係争物に関する仮処分命令」とは、物に関する給付請求権(たとえば、移転登記手続請求権など)を実現するための強制執行を保全するために、目的物の現状を維持する処分のことをいい、抵当権の実行を禁止する仮処分命令も含まれると解されています。

エ 誤り
保全命令の申立ては、その趣旨並びに保全すべき権利又は権利関係及び保全の必要性を明らかにして、これをしなければなりません(民事保全法13条1項)。
そして、保全すべき権利又は権利関係及び保全の必要性は、疎明で足りるとされています(同法2項)。

オ 正しい
保全命令の申立てについての決定には、理由を付さなければなりませんが、口頭弁論を経ないで決定をする場合には、理由の要旨を示せば足りるとされています(民事保全法16条)。

よって、正しい肢はアとオとなり、2が正解となります。

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