司法書士の過去問
平成29年度
午後の部 問45
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問題
平成29年度 司法書士試験 午後の部 問45 (訂正依頼・報告はこちら)
執行供託に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。
ア 第三債務者は、取立訴訟に係る訴状の送達を受ける時までに、差押えに係る金銭債権のうち差し押さえられていない部分を超えて発せられた差押命令の送達を受けたときは、その債権の全額に相当する金銭を供託しなければならない。
イ 第三債務者は、金銭債権の一部に対して仮差押えの執行がされた後、当該金銭債権のうち仮差押えの執行がされていない部分を超えて発せられた仮差押命令の送達を受けたときは、その債権の全額に相当する金銭供託しなければならない。
ウ 第三債務者は、金銭債権に対して滞納処分による差押えのみがされたときは、その債権の全額に相当する金銭を供託することができる。
エ 第三債務者は、金銭債権である給与に係る債権につき差押可能額の限度で差し押さえられたときは、その債権の全額に相当する金銭を供託することはできない。
オ 第三債務者は、金銭債権の一部が差し押さえられたことを原因としてその債権の全額に相当する金銭を供託するときは、供託書の「被供託者の住所氏名」欄には執行債務者の氏名又は名称及び住所を記載しなければならない。
ア 第三債務者は、取立訴訟に係る訴状の送達を受ける時までに、差押えに係る金銭債権のうち差し押さえられていない部分を超えて発せられた差押命令の送達を受けたときは、その債権の全額に相当する金銭を供託しなければならない。
イ 第三債務者は、金銭債権の一部に対して仮差押えの執行がされた後、当該金銭債権のうち仮差押えの執行がされていない部分を超えて発せられた仮差押命令の送達を受けたときは、その債権の全額に相当する金銭供託しなければならない。
ウ 第三債務者は、金銭債権に対して滞納処分による差押えのみがされたときは、その債権の全額に相当する金銭を供託することができる。
エ 第三債務者は、金銭債権である給与に係る債権につき差押可能額の限度で差し押さえられたときは、その債権の全額に相当する金銭を供託することはできない。
オ 第三債務者は、金銭債権の一部が差し押さえられたことを原因としてその債権の全額に相当する金銭を供託するときは、供託書の「被供託者の住所氏名」欄には執行債務者の氏名又は名称及び住所を記載しなければならない。
- アウ
- アオ
- イウ
- イエ
- エオ
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この過去問の解説 (3件)
01
正解 2
ア 正しい
第三債務者は、取立訴訟に係る訴状の送達を受ける時までに、差押えに係る金銭債権のうち差し押さえられていない部分を超えて発せられた差押命令の送達を受けたときは、その債権の全額に相当する金銭を、債務の履行地の供託所に供託しなければなりません(民事執行法156条2項)。
イ 誤り
金銭債権のうち仮差押えの執行がされていない部分を超えて発せられた仮差押命令の送達を受けた場合、第三債務者は、その債権の全額に相当する金銭を供託することができます(民事保全法50条5項による民事執行法156条1項の準用)。
もっとも、民事保全法50条5項で民事執行法156条2項は準用されていないため、この供託は義務ではありません。
ウ 誤り
第三債務者は、滞納処分による差押えがされている金銭債権について強制執行による差押命令等の送達を受けたときは、その債権の全額に相当する金銭を供託することができます(滞納処分と強制執行等との手続の調整に関する法律20条の6第1項)。
このように、債権の全額について供託が許されるのは、滞納処分と差押えが競合した場合であって、滞納処分による差押えのみがされた場合は、債権の全額について供託することはできません。
エ 誤り
第三債務者は、差押えに係る金銭債権の全額に相当する金銭を供託することができます(民事執行法156条1項)。
これは、給与債権が差押可能額の限度で差し押さえられた場合であっても同じです。
オ 正しい
金銭を供託をしようとする者は、供託書を供託所に提出しなければならず(供託規則13条1項)、供託書には、執行債務者(被供託者)の氏名及び住所を記載しなければなりません(同条2項6号)。
よって、正しい肢はアとオとなり、2が正解となります。
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02
正しい選択肢は、アとオなので、2が正解となります。
各選択肢の解説は、以下のとおりです。
ア.民事執行法第156条第2項によると「第三債務者は、次条第1項に規定する訴えの訴状の送達を受ける時までに、差押えに係る金銭債権のうち差し押さえられていない部分を超えて発せられた差押命令、差押処分又は仮差押命令の送達を受けたときはその債権の全額に相当する金銭を、配当要求があった旨を記載した文書の送達を受けたときは差し押さえられた部分に相当する金銭を債務の履行地の供託所に供託しなければならない。」とされています。従って、本選択肢は正しいです。
オ.「被供託者の住所氏名」欄について、金銭債権の一部について差押えを受けて金銭債権の全額に相当する金額を供託する場合には,被供託者として差押えを受けた債権の債権者(差押債務者)の住所氏名を記載することとされています。従って、本選択肢は正しいです。
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03
正解は2です。
ア…正しいです。第三債務者は、取立訴訟に係る訴状の送達を受ける時までに、差押えに係る金銭債権のうち、差し押さえられていない部分を超えて発せられた差押命令の送達を受けたときは、その債権の全額に相当する金銭を債務の履行地の供託所に供託しなければなりません(民事執行法156条2項)。
イ…誤りです。民事執行法156条2項に規定する第三債務者による供託の義務は、差押と差押、または、差押と仮差押、が競合する場合にのみ適用されます。本問のように仮差押が競合しても、(差押による執行があるまでは取立ができないため)第三債務者による供託は義務ではありません(H12過去問)。ただし、各仮差押命令の効力は債権全額に及んでいるため(民事執行法149条)、第三債務者が任意で債権全額を供託した場合には、執行裁判所に対し、供託した旨の届出(=事情届)が必要です(民事執行法156条2項、民事保全法50条5項)。
ウ…誤りです。第三債務者は、差押命令によって差し押さえられた金銭債権に対してのみ、その債権の全額に相当する金銭を供託することができます(民事執行法156条1項ただし書)。なお、滞納処分による差押えの後、強制執行による差押命令または差押処分がされたときは、第三債務者はその金銭債権の全額を供託できます(滞納処分と強制執行等との手続の調整に関する法律20条の6第1項)。
エ…誤りです。給与など継続的給付に係る債権については、差押債権者の債権額及び執行費用の額を限度として、差押えの効力が及びます(民事執行法151条)。しかし、債権全部に差押の効力が及んでいないときでも、第三債務者が債権全額を供託することはできます(弁済供託)。
オ…正しいです。金銭債権の一部が差し押さえられ、その債権の全額に相当する金銭を供託する場合は、差し押さえられていない部分については弁済供託をすることになります。したがって、当該弁済供託となる部分については、執行債務者(=被供託者)が還付を請求できるため、執行債務者の住所氏名を記入しなければなりません(供託規則13条2項6号)。
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