司法書士の過去問
平成29年度
午後の部 問60
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問題
平成29年度 司法書士試験 午後の部 問60 (訂正依頼・報告はこちら)
Aが所有権の登記名義人である甲土地についての根抵当権の設定の仮登記に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。
ア AがBを権利者とする根抵当権の設定の仮登記をすることに承諾したが、その承諾後、Aについて破産手続開始の決定がされ、その旨が登記された場合には、Bは、当該承諾を証する情報を提供して、当該承諾の日を登記原因の日付とする根抵当権の設定の仮登記を単独で申請することができる。
イ 甲土地とAが所有権の登記名義人である乙土地とが同一の登記所の管轄区域内にある場合において、権利者並びに根抵当権の設定の登記原因及びその日付が同一であるときは、Aは、当該権利者と共同して、甲土地及び乙土地を目的とする根抵当権の設定の仮登記の申請を一の申請情報によってすることができる。
ウ Bを権利者とし、担保すべき元本の確定すべき期日の定めのない根抵当権の設定の仮登記がされている場合において、当該設定の日から5年後にAがBに対して当該根抵当権の元本の確定の請求をしたときは、AとBは、共同して、当該根抵当権について元本の確定の登記を申請することができる。
エ Bを権利者とする根抵当権の設定の仮登記がされている場合において、BとCとが共同して譲渡を登記原因とする当該根抵当権の移転の仮登記を申請するときは、Aの承諾を証する情報を提供しなければならない。
オ Bを権利者とする根抵当権の設定の仮登記がされた後、Bが住所を移転した場合において、当該仮登記に基づく本登記を申請するときは、当該本登記の申請に先だって、Bの住所についての変更の登記を申請しなければならない。
ア AがBを権利者とする根抵当権の設定の仮登記をすることに承諾したが、その承諾後、Aについて破産手続開始の決定がされ、その旨が登記された場合には、Bは、当該承諾を証する情報を提供して、当該承諾の日を登記原因の日付とする根抵当権の設定の仮登記を単独で申請することができる。
イ 甲土地とAが所有権の登記名義人である乙土地とが同一の登記所の管轄区域内にある場合において、権利者並びに根抵当権の設定の登記原因及びその日付が同一であるときは、Aは、当該権利者と共同して、甲土地及び乙土地を目的とする根抵当権の設定の仮登記の申請を一の申請情報によってすることができる。
ウ Bを権利者とし、担保すべき元本の確定すべき期日の定めのない根抵当権の設定の仮登記がされている場合において、当該設定の日から5年後にAがBに対して当該根抵当権の元本の確定の請求をしたときは、AとBは、共同して、当該根抵当権について元本の確定の登記を申請することができる。
エ Bを権利者とする根抵当権の設定の仮登記がされている場合において、BとCとが共同して譲渡を登記原因とする当該根抵当権の移転の仮登記を申請するときは、Aの承諾を証する情報を提供しなければならない。
オ Bを権利者とする根抵当権の設定の仮登記がされた後、Bが住所を移転した場合において、当該仮登記に基づく本登記を申請するときは、当該本登記の申請に先だって、Bの住所についての変更の登記を申請しなければならない。
- アイ
- アオ
- イエ
- ウエ
- ウオ
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この過去問の解説 (3件)
01
正しい選択肢はウとオなので、5が正解です。
各選択肢の解説は次のとおりです。
ア 破産の登記がある不動産に対して、破産宣告前に得た破産者の承諾を証する情報を提供して、破産宣告前の日を原因日付とする根抵当権設定の仮登記の申請は受理することができないとされています。従って、本選択肢は誤りです。
イ 共同根抵当権設定の仮登記の申請はできないとされています。従って、本選択肢は誤りです。
ウ 根抵当権設定者は、根抵当権設定の時から3年を経過したときは、担保すべき元本の確定を請求することができます。仮登記根抵当権においても、元本確定の登記をすることは可能であり、その場合の登記形式は付記の本登記となります。従って、本選択肢は正しいです。
エ 仮登記の申請の場合には、仮登記原因について第三者の許可、同意又は承諾を要する場合であっても、第三者の許可、同意又は承諾を証する情報の提供は不要とされています。従って、本選択肢は誤りです。
オ 仮登記に基づく本登記の申請に際し、仮登記権利者の住所又は氏名に変更(又は錯誤)がある場合には、仮登記名義人の表示の変更(又は更正)の登記を省略することはできません。従って、本選択肢は正しいです。
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02
ア…誤りです。仮登記においては、仮登記義務者の承諾証明情報(書類申請の場合はこれに加えて印鑑証明書)があれば、仮登記権利者の単独申請が認められます(不動産登記令19条2項)。しかし、破産手続開始前に生じた登記原因につき、破産手続開始後にされた登記又は仮登記は、破産手続きの関係においては、その効力を主張することができません(破産法49条1項)。
イ…誤りです。共同根抵当権は、登記によってその効力が生じます(398条の16)。したがって共同根抵当権設定仮登記は、1号仮登記としても2号仮登記としても意味をなさないので、存在しません。
ウ…正しいです。根抵当権の元本の確定期日を定める場合には5年以内の期日でなくてはなりませんが(398条の6第3項)、相対的登記事項ですので定めないこともできます。定めがない場合、根抵当権設定者(本問のA)は、根抵当権設定後3年が経過してから、元本の確定請求を行うことができ、元本が確定します(398条の19第1項)。また、根抵当権の元本確定は、登記によって保全されるものではありませんので、すでに設定された根抵当権の仮登記に関して、元本確定の変更はすることができません。したがって仮登記ではない元本確定の登記をすることができます。
エ…誤りです。元本確定前に、根抵当権者が全部譲渡を原因として根抵当権移転の登記を行う際には、根抵当権設定者(所有権登記名義人)の承諾証明情報が必要です(398条の12第1項)。しかし、1号仮登記では添付書類がなくても、本登記の際に提出することを前提にして申請ができます。
オ…正しいです。根抵当権に関わらず、仮登記名義人の氏名若しくは名称又は住所に変更が生じているときは、本登記の前提として、仮登記名義人の氏名若しくは名称又は住所変更の登記が必要です(先例)。
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03
ア 誤り
先例(平成5年2月4日民三1182号)は、「破産手続開始の登記がある不動産に対して、破産手続開始前に得た破産者の承諾を証する情報を提供してなされた、当該承諾の日を登記原因の日付とする根抵当権の設定の仮登記の申請を受理することはできない。」としています。
イ 誤り
共同根抵当権は登記が効力要件とされているため、仮登記をすることは認められていません。
根抵当権の設定の仮登記をするのであれば、共同根抵当権ではなく、各不動産に個別に根抵当権の設定の仮登記を申請することになります。
ウ 正しい
担保すべき元本の確定すべき期日の定めのない根抵当権の場合、根抵当権設定者は、根抵当権の設定の時から3年を経過したときは、担保すべき元本の確定を請求することができます(民法398条の19第1項前段)。この場合、担保すべき元本は、その請求の時から2週間を経過することによって確定することになります(同項後段)。
そして、先例(平成14年5月30日民二1309号)は、「仮登記された根抵当権の元本が確定した場合、当該仮登記について元本確定の登記を申請することができる。」としています。
エ 誤り
元本の確定前においては、根抵当権者は、根抵当権設定者の承諾を得て、その根抵当権を譲り渡すことができます(民法398条の12第1項)。
もっとも、当該根抵当権の移転の仮登記を申請する場合には、根抵当権設定者の承諾を証する情報を提供する必要はありません。
オ 正しい
仮登記に基づく本登記を申請する場合において、仮登記と本登記の登記事項に不一致が生じているときは、本登記の申請に先立って、仮登記についての変更の登記を申請しなければなりません。
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