司法書士の過去問
平成30年度
午前の部 問21

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問題

平成30年度 司法書士試験 午前の部 問21 (訂正依頼・報告はこちら)

認知に関する次のアからオまでの記述のうち、判例の趣旨に照らし正しいものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。

ア  父は、子が出生した後でなければ、その子を認知することができない。

イ  認知された子は、その認知が真実に反することを理由として、認知無効の訴えを提起することができる。

ウ  成年の子を認知するためには、その承諾を得なければならない。

エ  血縁上の親子関係がない者を認知した者は、認知の時にそのことを知っていたときは、自らした認知の無効を主張することができない。

オ  嫡出でない子の出生後にその血縁上の父母が婚姻し、その婚姻中に父が子を認知したときは、子はその出生の時に遡って嫡出子の身分を取得する。
  • アウ
  • アオ
  • イウ
  • イエ
  • エオ

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この過去問の解説 (3件)

01

正しい肢はイとウで【正解は3】です。

ア × 父は、胎内に在る子でも、認知することができます。この場合においては、母の承諾を得なければならなりません(民法783条1項)。

イ ○ 子その他の利害関係人は、認知に対して反対の事実を主張することができます(民法786条)。

ウ ○ 成年の子は、その承諾がなければ、これを認知することができません(民法782条)。

エ × 判例(最判平26.1.14)は、「認知者は民法786条に規定する利害関係人に当たり、自らした認知の無効を主張することができる」としています。これは認知者が血縁上の父子関係がないことを知りながら認知をした場合においても当てはまります。

オ × 婚姻中父母が認知した子は、その認知の時から、嫡出子の身分を取得します(民法789条)。

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02

正解:3

ア:誤
父は、胎児である間でも認知をすることができます。しかし、母親の承諾が必要です(民783Ⅰ)。

イ:正
子その他の利害関係人は、認知に対して反対の事実を主張することができます(民786)。
認知者と被認知者とが血縁上の親子関係でない真実に反する認知に対しては、認知無効の訴えにより無効主張できます。

ウ:正
成年の子を認知するためには、その承諾を得ることが必要です(民782)。養育期に扶養をしなかった親が、老後、成人した子に扶養を求めようとする利己的な認知を排除する趣旨です。

エ:誤
判例は、「認知者は、民法786条に規定する利害関係人に当たり、自らした認知の無効を主張することができるというべきである。この理は、認知者が血縁上の父子関係がないことを知りながら認知をした場合においても異なるところはない(最判平26.1.14)」としています。したがって、血縁上の親子関係がない者を認知した者は、認知の時にそのことを知っていたときであっても、自らした認知の無効を主張することができます。

オ:誤
婚姻中の父母が認知した子は、認知の時から嫡出子の身分を取得しますが(認知準正)、先例は、婚姻準正と同じく、婚姻のときから嫡出子たる身分を取得するとしています(昭42.3.8民甲373号)。

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03

正解 3

ア 誤り
父は、胎内にある子でも、母の承諾を得て認知することができます。

イ 正しい
子は、認知に対して反対の事実を主張することができます(民法786条)。
この場合、反対の事実を主張して、認知無効の訴えを提起することが可能です。

ウ 正しい
成年の子は、その承諾がなければ、これを認知することができません(民法782条)。

エ 誤り
判例(最判平成26年1月14日)は、本肢と同様の事案において、「認知者は,民法786条に規定する利害関係人に当たり、自らした認知の無効を主張することができ、この理は、認知者が血縁上の父子関係がないことを知りながら認知をした場合においても異ならない。」としています。

オ 誤り
婚姻中父母が認知した子は、その認知の時から、嫡出子の身分を取得します(民法789条2項)。

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