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司法書士の過去問 平成30年度 午前の部 問28

問題

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譲渡による株式の取得について取締役会の承認を要する旨の定款の定めを設けている取締役会設置会社における株式の取得に関する次のアからオまでの記述のうち、判例の趣旨に照らし正しいものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。

ア  相続により譲渡制限株式を取得した者は、株式会社に対し、当該譲渡制限株式を取得したことについて承認するか否かを決定することを請求し、その承認を受けない限り、当該株式会社に対し、株主の地位を主張することができない。

イ  株主が譲渡制限株式を株式会社の株主でない者に対して譲渡した場合において、当該譲渡制限株式の譲渡人以外の株主全員が当該譲渡を承認していたときは、当該譲渡は、取締役会の承認がないときであっても、当該株式会社に対する関係においても有効である。

ウ  株券が発行されている譲渡制限株式を取得した者は、株式会社に対し、当該株券を提示して、当該譲渡制限株式を取得したことについて承認するか否かを決定することを単独で請求することができる。

エ  取締役会が譲渡制限株式の取得について承認をしない旨の決定をし、株式会社が当該譲渡制限株式を買い取らなければならないときは、当該譲渡制限株式を買い取る旨及び当該株式会社が買い取る当該譲渡制限株式の数を取締役会の決議によって定めなければならない。

オ  株式会社が、譲渡制限株式の取得について承認をしない旨の決定をした場合において、当該譲渡制限株式を買い取る旨及び当該株式会社が買い取る当該譲渡制限株式の数を決定したときは、当該株式会社は、譲渡等承認請求者に対し、これらの事項を通知した上で、当該譲渡等承認請求者と当該譲渡制限株式の売買価格についての協議が調わないときは、1株当たり純資産額に当該株式会社が買い取る当該譲渡制限株式の数を乗じて得た額を供託所に供託しなければならない。
   1 .
アエ
   2 .
アオ
   3 .
イウ
   4 .
イオ
   5 .
ウエ
( 平成30年度 司法書士試験 午前の部 問28 )
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この過去問の解説 (3件)

14
正しい肢はイとウで【正解は3】です。

ア × 定款による株式の譲渡制限は、譲渡による取得について会社の承認を要求するにとどまっており、相続や合併といった一般承継によって譲渡制限株式を取得する場合には会社の承認は必要ありません(会社法134条4号)。

イ ○ 判例(最判平9.3.27)は「有限会社の社員がその持分を社員でない者に対して譲渡した場合において、右譲渡人以外の社員全員がこれを承認していた時は、右譲渡は、社員総会の承認がなくても、譲渡当事者以外の者に対する関係においても有効と解する」としています。この判例は有限会社についてですが、株式会社においても同様と解されています。社員総会の承認を要するとする趣旨は、会社にとって好ましくない者が社員となることを防止し、社員の利益を保護することにあるので、全員の承認でもこの趣旨は満たされると考えることができます。

ウ ○ 譲渡制限株式を取得した株式取得者は、株式会社に対し、当該譲渡制限株式を取得したことについて承認するか否かの決定をすることを請求することができます(会社法137条1項)。この請求は、利害関係人の利益を害するおそれがないものとして法務省令で定める場合を除き、その取得した株式の株主として株主名簿に記載された者と共同してしなければなりません(会社法137条2項)。株券を提示している場合は会社法施行規則24条2項1号により「この害するおそれがないもの」に該当します。よって、共同でではなく単独で請求することができます。

エ × 取締役会が譲渡制限株式の取得について承認をしない旨の決定をし、株式会社が当該譲渡制限株式を買い取らなければならないときは、当該譲渡制限株式を買い取る旨及び当該譲渡制限株式の数を、株主総会の特別決議によって定めなければなりません(会社法140条1項、2項、309条2項1号)。取締役会ではなく株式総会の特別決議になります。

オ × 株式会社が、譲渡制限株式の取得について承認をしない旨の決定をした場合において、当該譲渡制限株式を買い取る旨及び当該株式会社が買い取る当該譲渡制限株式の数を決定したときは、当該株式会社は譲渡等承認請求者に対し、これらの事項を通知しなければなりません(会社法141条1項)。株式会社はこの通知をしようとするときは、売買価格について協議が調うか否かにかかわらず、一株あたり純資産額に当該株式会社が買い取る当該譲渡制限株式の数を乗じて得た額を供託所に供託しなければなりません(同条2項)。調わないときだけではなく、どんな場合にも供託することになります。

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4
正解:3

ア:誤
譲渡制限株式を取得した株式取得者は、株式会社に対し、当該譲渡制限株式を取得したことについて承認をするか否かの決定をすることを請求することができます(会137Ⅰ)。ただし、相続その他の一般承継により譲渡制限株式を取得した者については、当該承認を要しません(会134④)。

イ:正
株主がその譲渡制限株式を株式会社の株主でない者に対して譲渡する場合に当該株式会社の承認を要するものと規定している趣旨は、専ら会社にとって好ましくない者が株主となることを防止し、もって譲渡人以外の株主の利益を保護するところにあると解され、以って、当該株式会社の株主がその譲渡制限株式を株主でない者に対して譲渡した場合において、譲渡人以外の株主全員がこれを承認していたときは、取締役会による承認がなくても、当該譲渡は当該株式会社との関係でも有効です(最判平9.3.27)。

ウ:正
原則として、株式取得者からの承認の請求は、その取得した株式の株主として株主名簿に記載され、若しくは記録された者又はその相続人その他の一般承継人と共同してしなければなりません(会137Ⅱ)。ただし、現に株券を発行している株券発行会社の譲渡制限株式を取得した者については、株券を提示して、単独で、当該譲渡制限株式を取得したことについて承認するか否かを決定することを請求することができます。

エ:誤
株式会社が、譲渡等承認請求に係る譲渡制限株式を買い取る場合、対象株式を買い取る旨及び株式会社が買い取る対象株式の数(種類株式発行会社にあっては、対象株式の種類及び種類ごとの数)を定めなければなりません(会140Ⅰ ①②)。そして、それら事項の決定は、株主総会の特別決議によらなければなりません(会140Ⅱ)。

オ:誤
株式会社が譲渡制限株式を買い取る場合、対象株式を買い取る旨及び株式会社が買い取る対象株式の数(種類株式発行会社にあっては、対象株式の種類及び種類ごとの数)を決定し、譲渡等承認請求者に対し、これらの事項を通知しなければなりません(会141Ⅰ)。この通知をするときは、1株当たり純資産額(1株当たりの純資産額として法務省令で定める方法により算定される額をいう)に株式会社が買い取る対象株式の数を乗じて得た額をその本店の所在地の供託所に供託し、かつ、当該供託を証する書面を譲渡等承認請求者に交付しなければなりません(会141Ⅱ)。したがって、当該譲渡等承認請求者と当該譲渡制限株式の売買価格についての協議が調ったときであるか否かを問わず供託が必要となります。

3
正解 3

ア 誤り
株式譲渡制限において、相続や合併などの一般承継による株式の取得については承認を必要としません(会社法134条4号)。

イ 正しい
株式の譲渡制限は他の株主の利益を守るものであることから、承認の決定機関である取締役会の承認がなくても、株主全員の同意があれば承認があったのと同視して、その譲渡が会社との関係でも有効となります(最判平成9年3月27日)。

ウ 正しい
株式会社が株券発行会社である場合において、株式取得者が株券を提示して承認請求をする場合は、単独で請求することができます(会社法137条2項、同施行規則24条2項1号)。

エ 誤り
会社が承認しない旨の決定をしたときにおいて、会社自身が買い取る場合には、株主総会の特別決議を要します(会社法140条2項、309条2項1号)。

オ 誤り
会社が買い取る場合、株主に対し、対象株式を買い取る旨および当該会社が買いとる対象株式の数を通知しなければならず(会社法141条1項)、その通知に際し、1株あたりの純資産額に買い取る対象株式の数を乗じて得た額を、会社の本店の所在地の供託所に供託しなければなりません(同条2項)。
この場合、対象株式の売買価格についての協議が調ったかどうかを問いません。

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