司法書士の過去問
平成30年度
午前の部 問33

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問題

平成30年度 司法書士試験 午前の部 問33 (訂正依頼・報告はこちら)

社債管理者に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。

ア  社債管理者は、社債権者が、社債権者集会の決議によって社債管理者を定め、社債の管理を行うことを委託することによって設置される。

イ  各社債の金額が1億円以上である場合には、社債管理者を設置することを要しない。

ウ  社債管理者は、社債権者集会の決議によらなければ、社債の償還の請求をすることができない。

エ  社債の管理を行うことの委託に係る契約においては、社債管理者が社債権者に対し善良な管理者の注意をもって社債の管理を行う義務を負わないものとすることができる。

オ  銀行は、社債発行会社に対して貸付債権を有している場合であっても、社債管理者となることができる。
  • アウ
  • アオ
  • イエ
  • イオ
  • ウエ

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この過去問の解説 (3件)

01

正解:4

ア:誤
会社は、社債を発行する場合には、社債管理者を定め、社債権者のために、弁済の受領、債権の保全その他の社債の管理を行うことを委託しなければなりません(会702)。したがって、社債発行会社が社債管理者を定め、弁済の受領、社債の管理を委託します。

イ:正
会社は、社債を発行する場合には、社債管理者を定め、社債権者のために、弁済の受領、債権の保全その他の社債の管理を行うことを委託しなければなりません(会702)。ただし、各社債の金額が1億円以上である場合その他社債権者の保護に欠けるおそれがないものとして法務省令で定める場合は、社債管理者を定めることを要しません(会702但書)。
社債権者の保護に欠けるおそれがないものとして法務省令で定める場合とは、ある種類の社債の総額を当該種類の各社債の金額の最低額で除して得た数が50を下回る場合です。

ウ:誤
社債管理者は、社債権者のために社債に係る債権の弁済を受け、又は社債に係る債権の実現を保全するために必要な一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限を有します(会705Ⅰ)。社債の償還の請求は、社債権者に不利益となるおそれがないので、社債権者集会の決議によらずに行使することができます。

エ:誤
社債管理者は、社債権者に対し、善良な管理者の注意をもって社債の管理を行わなければなりません(会704Ⅱ)。社債管理者は、社債権者の利益を優先し、保護する役割を担っているため、善管注意義務の免除・軽減するような定めを設けることは許されません。

オ:正
社債管理者は、銀行、信託銀行、又はこれらに準ずるものとして法務省令で定める者でなければなりません(会703①②③)。社債発行会社に対し貸付債権を有している銀行であっても、社債管理者となることができます。

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02

正解は4です。


ア…誤りです。社債管理者の設置は、会社が、社債管理者に社債の管理を行うことを委託することによって設置されます(702条)。設置自体を社債権者決議によらなければならないとする規定はありません。


イ…正しいです。各社債の金額が1億円以上その他債権者の保護に欠けるおそれがないと法務省令で定められる場合は、社債管理者を設置する必要はありません(702条ただし書)。


ウ…誤りです。社債管理者が社債に係る債権の弁済を受けた場合には、社債権者は、社債の償還額及び利息の支払を請求することができます(705条2項)。


エ…誤りです。社債管理者は、社債権者に対し、善良な管理者の注意をもって社債の管理を行わなければなりません(704条2項)。


オ…正しいです。社債管理者は、➀銀行、②信託会社、③銀行や信託会社に準ずる者として法務省令で定められた者、のいずれかしかなることができません(703条)。社債発行会社に債権を有する者が社債管理者になることも認められていますが、社債管理者自身の債権回収を優先させないように、損害賠償規定が設けられています(710条2項)。

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03

正しい肢はイとオで【正解は4】です。

ア × 会社は、社債を発行する場合には、社債管理者を定め、社債権者のために、弁済の受領、債権の保全その他の社債の管理を行うことを委託しなければなりません(会社法702条)。社債管理者への委託は社債権者ではなく、会社がするものです。

イ ○ 社債を発行する場合には、社債管理者への委託が必要です。ただし。各社債の金額が1億円以上である場合その他社債権者の保護に欠けるおそれがないものとして法務省令で定める場合は、この限りではありません(会社法702条)。

ウ × 会社は、その発行する社債を引き受ける者の募集をしようとするときは、その都度、募集社債の償還方法を定めなければなりません(会社法676条4号)。募集するときに償還の請求方法は定められています。

エ × 社債管理者は、社債権者に対し、善良な管理者の注意をもって社債の管理を行わなければなりません(会社法704条2項)。

オ ○ 社債管理者は、銀行、信託会社、これらに準ずるものとして法務省令で定める者でなければなりません(会社法703条)。貸付債権があるときは排除するという規定はありません。

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