司法書士の過去問
平成30年度
午前の部 問32

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問題

平成30年度 司法書士試験 午前の部 問32 (訂正依頼・報告はこちら)

持分会社に関する次の1から5までの記述のうち、正しいものは、どれか。
  • 持分会社を設立するには、その社員になろうとする者は、定款を作成し、その定款に公証人の認証を受けなければならない。
  • 合同会社においては、その社員が破産手続開始の決定を受けたことによっては退社しない旨を定款で定めることができない。
  • 合名会社の社員は、当該社員以外の社員の過半数の承諾があれば、その持分を他人に譲渡することができる。
  • 合資会社が資本金の額を減少する場合には、当該合資会社の債権者は、当該合資会社に対し、資本金の額の減少について異議を述べることができる。
  • 合名会社の成立後に加入した社員であっても、その加入前に生じた当該合名会社の債務について、これを弁済する責任を負う。

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この過去問の解説 (3件)

01

正解:5

1:誤
持分会社を設立するには、その社員になろうとする者が定款を作成し、その全員がこれに署名し、又は記名押印しなければなりません(会575Ⅰ)。しかし、株式会社設立時の定款の場合とは異なり、公証人の認証を受ける必要はありません(会30Ⅰ)。

2:誤
持分会社の社員の法定退社事由の一つとして、社員の破産手続開始の決定があります(会607Ⅰ⑤)が、持分会社は、その社員が破産手続開始の決定によっては退社しない旨を定めることができます(会607Ⅱ)。

3:誤
持分会社の社員は、業務を執行しない有限責任社員を除いて、他の社員の全員の承諾がなければ、その持分の全部又は一部を他人に譲渡することができません(会585ⅠⅡ)。合名会社の社員は、全員が無限責任社員なので、原則通り、他の社員の全員の承諾がなければ、その持分の全部又は一部を他人に譲渡することができません。

4:誤
合同会社が資本金の額を減少する場合には、当該合同会社の債権者は、当該合同会社に対し、資本金の額の減少について異議を述べることができます(会627Ⅰ)。合資会社及び合名会社が資本金の額を減少する場合には、債権者異議手続きは不要です。合資会社及び合名会社には無限責任社員が存在する(会576ⅡⅢ)ので、債権者は当該無限責任社員に対して責任を追及できるからです。

5:正
持分会社の成立後に加入した社員は、その加入前に生じた持分会社の債務についても、これを弁済する責任を負います(会605)。

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02

正しい肢は5で【正解は5】です。

1 × 持分会社の定款は、公証人の認証を受ける必要はありません(会社法575条~577条参照)。

2 × 持分会社の社員は死亡によって退社します(会社法607条1項3号)。これは持分会社の種類を問いません。

3 × 合名会社の社員はその全員が無限責任社員です(会社法576条2項)。そのため、社員は、他の全員の全員の承諾がなければ、その持分の全部又は一部を他人に譲渡することができません(会社法585条1項)。

4 × 持分会社は、損失のてん補のために、その資本金の額を減少することができます(会社法620条1項)。合同会社は無限責任社員がいないので、資本金の額を減少する場合には、当該合同会社の債権者は、当該合同会社に対し、資本金の額の減少について異議を述べることができます(会社法627条1項)。しかし、合名・合資会社は無限責任社員が存在するため、異議を述べることはできません。

5 ○ 持分会社の成立後に加入した社員は、その加入前に生じた持分会社の債務についても、これを弁済する責任を負います(会社法605条)。

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03

正解は5です。


1.…誤りです。持分会社を設立するには、その社員になろうとする者が、定款を作成する必要がありますが、株式会社とは異なり、公証人の認証を受ける必要はありません(H23過去問)。


2.…誤りです。社員が破産手続開始の決定を受けたことは、法定退社事由に当たります(607条1項5号)。しかし、例外として、合同会社含む持分会社では、➀社員の破産手続開始の決定、②会社の合併ないし破産以外の理由での解散、③社員の後見開始の審判を受けたこと、によっては、それぞれ社員の退社事由から外すように定めることができます(607条2項)。


3.…誤りです。合名会社の社員はすべて無限責任社員ですので、他の社員全員の承諾がなければ、他人への持分の譲渡はできません(585条1項)。


4.…誤りです。合名会社および合資会社では、損失填補のためにのみ資本金の額の減少が認められています(620条1項)。したがって債権者保護手続は必要ありません。


5.…正しいです。持分会社の成立後に加入した社員は、その加入前に生じた持分会社の債務についても、弁済する責任を負います(605条)。

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