司法書士の過去問
平成30年度
午後の部 問36

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問題

平成30年度 司法書士試験 午後の部 問36 (訂正依頼・報告はこちら)

訴訟の承継に関する次のアからオまでの記述のうち、判例の趣旨に照らし正しいものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。

ア  貸金返還請求訴訟の係属中に原告の死亡によって訴訟手続が中断した場合においても、その相続人は、相続の放棄をすることができる間は、当該訴訟手続を受け継ぐことができない。

イ  訴訟引受けの申立ては、上告審においてもすることができる。

ウ  所有権に基づく動産引渡請求訴訟の係属中に被告である占有者が当該動産を第三者に売却し引き渡した場合において、裁判所が当該第三者に当該訴訟を引き受けさせる決定をしたときは、当該第三者は、当該決定に対し、抗告をすることができる。

エ  貸金返還請求訴訟の係属中に訴訟物とされている貸金債権が譲渡された場合において、当該貸金債権の譲受人が参加承継をしたときは、その参加は、その申出をした時に時効の中断の効力を生ずる。

オ  貸金返還請求訴訟の係属中に訴訟物とされている貸金債権が譲渡された場合において、当該貸金債権の譲受人が参加承継をしたときは、参加前の原告は、相手方の承諾を得て当該訴訟から脱退することができる。
  • アウ
  • アオ
  • イウ
  • イエ
  • エオ

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この過去問の解説 (3件)

01

民事訴訟法 正しい肢はアとオで【正解は2】です。

ア ○ 当事者の死亡のときは、訴訟手続は、中断します。この場合においては、相続人、相続財産管理人その他法令により訴訟を続行すべき者は、訴訟手続を受け継がなければなりません(民訴法124条1項1号)。この場合でも、相続人は、相続の放棄をすることができる間は、訴訟手続を受け継ぐことができません(民事訴訟法124条3項)。

イ × 判例(最決昭37.10.12)は、「訴訟引受けの申立てについて事実審の口頭弁論終結前に限られる」として、「上告審における申立ては許されない」としています。

ウ × 判例(大決昭16.4.15)は、「訴訟引受けを是認する決定に対しては、不服申立てを許す規定がなく、これを許容すべき根拠がないことを理由に抗告をすることができない」としています。

エ × 訴訟の係属中その訴訟の目的である権利の全部又は一部を譲り受けたことを主張して、第三者が訴訟参加をしたときは、その参加は、訴訟の係属の初めにさかのぼって時効の中断、又は法律上の期間の遵守の効力を生じます(民事訴訟法49条)。

オ ○ 当事者として自己の権利を主張するため訴訟に参加した者(第三者)がある場合には、参加前の原告又は被告は、相手方の承諾を得て訴訟から脱退することができます(民事訴訟法48条)。

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02

正解:2

ア:正
訴訟当事者が死亡した場合、訴訟手続は中断し、死亡した当事者の相続人、相続財産管理人その他法令により訴訟を続行すべき者は、訴訟手続を受け継がなければなりません(民訴124Ⅰ①)。しかし、相続人は、相続の放棄をすることができる間は、訴訟手続を受け継ぐことができません(民訴124Ⅲ)。

イ:誤
判例は、「訴訟引受の申立ては、事実審の口頭弁論終結前に限ってなされるべきものであり、上告審において右申立をなすことは許されない(最決昭37.10.12)」としています。

ウ:誤
訴訟の係属中第三者がその訴訟の目的である義務の全部又は一部を承継したときは、裁判所は、当事者の申立てにより、決定で、その第三者に訴訟を引き受けさせることができます(民訴50Ⅰ)。裁判所は、訴訟の引受けの申立てを却下する決定に対しては抗告ができます(民訴328Ⅰ)が、訴訟を引き受けさせる決定に対して抗告はできません(大決昭 16.4.15 )。

エ:誤
訴訟の係属中その訴訟の目的である権利の全部又は一部を譲り受けたことを主張する者が第47条第1項の規定により訴訟参加をしたときは、時効の完成猶予に関しては、当該訴訟の係属の初めに、裁判上の請求があったものとみなされます(民訴49Ⅰ)。

オ:正
第47条第1項の規定により自己の権利を主張するため訴訟に参加した者がある場合には、参加前の原告又は被告は、相手方の承諾を得て訴訟から脱退することができます(民訴48)。

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03

正解は2です。


ア…正しいです。訴訟の当事者が死亡した場合、訴訟は中断され、相続人、相続財産管理人その他法令により訴訟を続行すべき者は、訴訟手続を受け継がなければなりませんが、相続人が相続の放棄をすることができる間は、訴訟手続きを引き継ぐことはできません(民事訴訟法124条3項)。


イ…誤りです。訴訟の継続中に第三者が裁判の目的である義務の全部または一部を承継したときは、裁判所は、当事者の申立てにより、承継された第三者に訴訟を引き受けさせることができますが(民事訴訟法50条)、訴訟引受けの申立てを上告審で行うことは認められていません(最判昭37・10・12)。事実審の口頭弁論終結前に限って、訴訟引受けの申立てができます。


ウ…誤りです。民事訴訟法50条における第三者に訴訟を引き受けさせる決定については、抗告ができないとされています(大判昭16・4・15)。なお、訴訟引受けを却下する決定については、抗告をすることができます(民事訴訟法328条1項)。


エ…誤りです。訴訟の目的の全部もしくは一部が自己の権利であることを主張する第三者は、当事者の双方または一方を相手方として、当事者としてその訴訟に参加することができます(民事訴訟法47条1項)。


オ…正しいです。民事訴訟法47条1項における第三者が訴訟に参加した後は、参加前の原告または被告は、相手方の同意を得て、訴訟から脱退することができます(民事訴訟法48条)。

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