司法書士の過去問
平成30年度
午後の部 問41

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問題

平成30年度 司法書士試験 午後の部 問41 (訂正依頼・報告はこちら)

民事保全に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。

ア  貸金債権を被保全債権とする仮差押命令は、本案の管轄裁判所又は仮に差し押さえるべき物の所在地を管轄する地方裁判所が管轄する。

イ  占有移転禁止の仮処分命令の執行後に係争物を占有した者は、その執行がされたことを知って占有したものとみなされる。

ウ  保全命令は、保全すべき権利若しくは権利関係又は保全の必要性の疎明がない場合であっても、これらに代わる担保を立てさせて発することができる。

エ  保全執行は、申立てにより又は職権で、裁判所又は執行官が行う。

オ  保全執行は、保全命令が債務者に送達される前であっても、これをすることができる。
  • アウ
  • アオ
  • イウ
  • イエ
  • エオ

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この過去問の解説 (3件)

01

正しい肢はアとオで【正解は2】です。

ア ○ 保全命令事件は、本案の管轄裁判所又は仮に差し押さえるべき物、若しくは係争物の所在地を管轄する地方裁判所が管轄します(民事保全法12条1項)。

イ × 占有移転禁止の仮処分命令の執行後に当該係争物を占有した者は、その執行がされたことを知って占有したものと推定されます(民事保全法62条2項)。みなされるわけではありません。

ウ × 保全すべき権利又は権利関係及び保全の必要性は、疎明しなければなりません(民事保全法13条2項)。この疎明がない場合、保全命令の申立ては却下されます。

エ × 民事保全の執行は、申立てにより、裁判所又は執行官が行います(民事保全法2条2項)。職権で行うことはできません。

オ ○ 保全執行は、保全命令が債務者に送達される前であっても、これをすることができます(民事保全法43条3項)。

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02

正解:2

ア:正
保全命令事件は、本案の管轄裁判所又は仮に差し押さえるべき物若しくは係争物の所在地を管轄する地方裁判所が管轄します(民保12Ⅰ)。

イ:誤
占有移転禁止の仮処分命令の執行後に当該係争物を占有した者は、その執行がされたことを知って占有したものと「推定」されます(民保62Ⅱ)。

ウ:誤
保全命令の申立ては、その趣旨並びに保全すべき権利又は権利関係及び保全の必要性を明らかにしてしなければならず、保全すべき権利又は権利関係及び保全の必要性は、疎明しなければなりません(民保13ⅠⅡ)。また、疎明をする代わりとして、宣誓しあるいは保証金を提供する等、担保を立てることは認められていません。

エ:誤
民事保全の執行は、申立てにより、裁判所又は執行官が行います(民保2Ⅱ)。職権で行われることはありません。

オ:正
保全執行は、保全命令が債務者に送達される前であっても、これをすることができます(民保43Ⅲ)。

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03

正解:2

<解説>

ア:正しいです。

保全命令(仮差押命令及び仮処分命令)事件は、本案の管轄裁判所又は仮に差し押さえるべき物若しくは係争物の所在地を管轄する地方裁判所が管轄します(民事保全法12条①)。

したがって、本肢は正しいです。

イ:誤りです。

占有移転禁止の仮処分命令の執行後に係争物を占有した者は、その執行がされたことを知って占有したものと推定するとしています (民事保全法62条②)。

この規定は、「みなされる」ではなく「推定する」としています。

したがって、本肢は誤りです。

ウ:誤りです。

保全命令の申立ては、その趣旨並びに保全すべき権利又は権利関係及び保全の必要性を明らかにして、これをしなければなりません。

そのとき、保全すべき権利又は権利関係及び保全の必要性については、疎明しなければならないとしています。

(民事保全法13条)

保全すべき権利又は権利関係及び保全の必要性の疎明に代わり、担保を立てさせて保全命令を発することはできません。

したがって、本肢は誤りです。

エ:誤りです。

保全執行は、申立てにより、裁判所又は執行官が行います(民事保全法2条②)。

職権によっては行われません。

したがって、本肢は誤りです。

オ:正しいです。

保全執行は、保全命令が債務者に送達される前であっても、これをすることができます(民事保全法43条③)。

したがって、本肢は正しいです。

以上により、正しいものは肢ア・オであり、正解は2となります。

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