司法書士の過去問
平成30年度
午後の部 問50
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問題
平成30年度 司法書士試験 午後の部 問50 (訂正依頼・報告はこちら)
代位による登記に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。
ア Aを所有権の登記名義人とする甲土地について、Bを債務者、Cを抵当権者とする抵当権の設定の登記がされている場合には、Cは、単独で、Aを代位して、Bが住所を移転したことによる抵当権の変更の登記を申請することができる。
イ 買戻しの特約の付記登記がされているAからBへの所有権の移転の登記及びCを抵当権者とする抵当権の設定の登記がされている甲土地について、当該抵当権の担保不動産競売開始決定に基づく差押えの登記がされている場合には、Cは、Bに代位して、Aと共同して買戻しの特約の登記の抹消を申請することができる。
ウ 受託者Aが信託財産である金銭をもってBから甲土地を買い受け、甲土地が信託財産に属することとなったにもかかわらず、甲土地について売買を原因とする所有権の移転の登記のみを申請し、信託の登記を申請しない場合には、委託者Cは、Aに代位して、Bと共同して信託財産の処分による信託の登記を申請することができる。
エ Aを所有権の登記名義人とする甲土地について、Bを根抵当権者とする根抵当権の設定の登記がされている場合において、AのBに対する元本の確定請求によって元本が確定した後、Cが当該根抵当権の被担保債権を代位弁済したときは、Cは、単独で、Bに代位して、元本の確定の登記を申請することができる。
オ Aを所有権の登記名義人とする甲土地について、Bを抵当権者とする抵当権の設定の登記がされている場合において、Aの債権者であるC及びDが詐害行為取消しによる当該抵当権の設定の登記の抹消を求める訴えを提起し、Cについてその請求を認容する判決が確定したときは、Dについて当該訴えに係る訴訟が係属中であっても、Cは、単独で、Aに代位して、当該抵当権の設定の登記の抹消を申請することができる。
ア Aを所有権の登記名義人とする甲土地について、Bを債務者、Cを抵当権者とする抵当権の設定の登記がされている場合には、Cは、単独で、Aを代位して、Bが住所を移転したことによる抵当権の変更の登記を申請することができる。
イ 買戻しの特約の付記登記がされているAからBへの所有権の移転の登記及びCを抵当権者とする抵当権の設定の登記がされている甲土地について、当該抵当権の担保不動産競売開始決定に基づく差押えの登記がされている場合には、Cは、Bに代位して、Aと共同して買戻しの特約の登記の抹消を申請することができる。
ウ 受託者Aが信託財産である金銭をもってBから甲土地を買い受け、甲土地が信託財産に属することとなったにもかかわらず、甲土地について売買を原因とする所有権の移転の登記のみを申請し、信託の登記を申請しない場合には、委託者Cは、Aに代位して、Bと共同して信託財産の処分による信託の登記を申請することができる。
エ Aを所有権の登記名義人とする甲土地について、Bを根抵当権者とする根抵当権の設定の登記がされている場合において、AのBに対する元本の確定請求によって元本が確定した後、Cが当該根抵当権の被担保債権を代位弁済したときは、Cは、単独で、Bに代位して、元本の確定の登記を申請することができる。
オ Aを所有権の登記名義人とする甲土地について、Bを抵当権者とする抵当権の設定の登記がされている場合において、Aの債権者であるC及びDが詐害行為取消しによる当該抵当権の設定の登記の抹消を求める訴えを提起し、Cについてその請求を認容する判決が確定したときは、Dについて当該訴えに係る訴訟が係属中であっても、Cは、単独で、Aに代位して、当該抵当権の設定の登記の抹消を申請することができる。
- アエ
- アオ
- イウ
- イエ
- ウオ
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この過去問の解説 (3件)
01
ア:誤
抵当権の債務者が住所を移転した場合、抵当権の登記名義人が設定者に代位して、単独で抵当権の債務者の住所の変更の登記を申請することはできません(昭36.8.30民三717号)。
イ:正
買戻特約の登記をしたあとに登記された抵当権の実行による差押えの登記があるとき、抵当権者が所有権登記名義人に代位して買戻権者と共同して買戻特約の登記の抹消を申請することができます(平8.7.29民三1368号)。
ウ:正
信託の登記は、受託者が単独で申請することができます(不登98Ⅱ)が、受託者が信託の登記を申請しない場合には、受益者又は委託者は、受託者に代わって信託の登記を申請することができます(不登99)。
エ:誤
根抵当権の元本の確定の登記は、根抵当権者からの元本確定請求によって元本が確定した場合においては、根抵当権者が単独で申請できます(民398の19Ⅱ、不登93)が、設定者からの元本確定請求によって元本が確定した場合には、根抵当権者と設定者との共同申請によらなければなりません。したがって、根抵当権の元本が確定した後、根抵当権の被担保債権を代位弁済した者は、根抵当権者に代位して、設定者と共同で根抵当権の元本の確定の登記を申請することができます。また、代位弁済者が、根抵当権の元本の確定の登記手続を命ずる判決を得た場合は、代位弁済者は根抵当権者に代位して単独でその登記の申請をすることができます(昭55.3.4民三1196号)。
オ:正
抵当権の設定を詐害行為として取り消し及び抵当権設定登記の抹消を求めた訴えにおいて、共同原告のうちの1人について勝訴の判決が確定したときは、他の原告について訴訟が係属中であっても、勝訴判決を得た原告は、当該判決に基づいて単独で所有権の登記名義人に代位して抵当権の登記の抹消を申請することができます(昭35.5.18民甲1118号)。
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02
ア × 抵当権の債務者の住所に変更が生じたことによる表示の変更の登記は、債権者代位による場合でも共同で申請しなければならず、抵当権者が単独で申請することはできません(昭36.8.60 民3.717)。
イ ○ 抵当権者から所有権の登記名義人に代位して、買戻権者と共同でする買戻の特約の登記の抹消の申請をすることができます(平8.7.29民3.1368)。
ウ ○ 信託の登記は、受託者が単独で申請することができます(不登法98条2項)。そして、受益者又は委託者は、受託者に代わって信託の登記を申請することができます(不登法99条)。
エ × 代位弁済者が元本確定の登記を単独で申請するためには、根抵当権設定者に対し、元本確定の登記手続を命ずる判決を得なければなりません(昭55.3.4民3.1196)。
オ ○ 抵当権設定を詐害行為とする取消訴訟において、共同原告のうちの1名についてのみ勝訴の判決が確定し、その確定証明書及び判決正本を添付してその1名から同判決に基づく抵当権設定登記の抹消登記の代位申請があった場合は、他の共同原告の控訴の結果いかんにかかわらず、その登記を受理しても差し支えありません(昭35.5.18 民甲1118)。
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03
正解:1
<解説>
ア:誤りです。
抵当権の債務者の住所が移転したことによる抵当権の変更登記は、本来抵当権者を登記権利者、抵当権設定者を登記義務者として共同申請するものであるので、抵当権者が抵当権設定者に代位して単独で申請することはできません(昭36・8・30民三717号)。
したがって、本肢は誤りです。
イ:正しいです。
抵当権の実行による競売開始決定に基づく差押えの登記がされている不動産について、抵当権者は、所有権の登記名義人に代位して買戻権者と共同して買戻特約の登記の抹消を申請することができます(平8・7・29民三1368号)。
したがって、本肢は正しいです。
ウ:正しいです。(一部例外有り)
受益者又は委託者は、受託者に代位して信託の登記を申請することができます(不動産登記法99条)。
信託の登記は、受託者が単独で申請することができるので(不動産登記法98条②)、受託者に代位して委託者が申請する場合も単独申請することができます。
したがって、「Bと共同して」申請するとする本肢は誤りです。
エ:誤りです。
根抵当権設定者は、根抵当権の設定の時から3年を経過したときには、担保すべき元本の確定を請求することができるのに対して、根抵当権者は、いつでも、担保すべき元本の確定を請求することができます(ただし、担保すべき元本の確定すべき期日の定めがあるときは、適用しません。民法398条の19)。
そして、根抵当権設定者の請求により担保すべき元本が確定した場合の登記は、原則通り根抵当権設定者を登記権利者、根抵当権者を登記義務者として共同申請をしなければならない(不動産登記法60条)のに対して、根抵当権者の請求により担保すべき元本が確定した場合の登記は、当該抵当権の登記名義人が単独で申請することができます(不動産登記法93条)。
本肢は、根抵当権設定者の請求による元本確定であり、その登記は代位によっても共同申請でなければならず、単独で申請することはできません。
したがって、本肢は誤りです。
オ:正しいです。
共同原告の一部の者についてのみ詐害行為取消判決が確定したとき、それ以外の者について訴えに係る訴訟が係属中であっても、その判決が確定した一部の者のみで、当該詐害行為取消判決に基づく抵当権設定登記の抹消登記を単独で代位申請することができます(昭35・5・18民甲1118号)。
したがって、本肢は正しいです。
以上により、誤っているものは肢ア・エであり、正解は1となります。
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