司法書士の過去問
平成30年度
午後の部 問51

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問題

平成30年度 司法書士試験 午後の部 問51 (訂正依頼・報告はこちら)

次のアからオまでの記述のうち、書面申請による第1欄の登記の申請を却下するに当たって、第2欄に掲げる却下の事由が正しいものの組合せは、後記1から5までのうち、どれか。
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  • アイ
  • アオ
  • イエ
  • ウエ
  • ウオ

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この過去問の解説 (3件)

01

正解:3

ア:誤
利息制限法の所定の利率を超える部分については無効とされるので、利息制限法違反の利息の定めを申請情報の内容とした抵当権設定の登記申請は却下されます(昭29.6.2民甲1144号)。却下事由としては、申請に係る登記が民法その他の法令の規定により無効とされることが申請情報若しくは添付情報又は登記記録から明らかであるとき(不登25⑬、不登令20⑧)に該当します。

イ:正
インクを消すことができるボールペンで記入された申請情報を提供してする登記申請は、申請情報又はその提供の方法がこの法律に基づく命令又はその他の法令の規定により定められた方式に適合しないとき(不登25⑤)に該当し却下されます。

ウ:誤
所有権保存登記の抹消を申請するとき、所有権登記名義人の印鑑証明書を添付しなければならない(不登令16)ところ、これを提供せずになされた登記申請は、申請情報と併せて提供しなければならないものとされている情報が提供されないとき(不登法25⑨)に該当し却下されます。

エ:正
民法上の組合は、権利能力を有しない団体なので、民法上の組合を登記名義人とする登記申請は、申請に係る登記をすることによって表題部所有者又は登記名義人となる者が権利能力を有しないとき(不登25⑬、不登令20②)に該当し却下されます。

オ:誤
民法第398条の8第1項又は第2項の合意の登記は、当該相続による根抵当権の移転又は債務者の変更の登記をした後でなければすることができません(不登92)ので、相続による根抵当権の債務者の変更の登記をしないでする、民法第398条の8第2項の合意の登記申請は、不動産登記法第92条の規定により登記することができないとき(不登25⑬、不登令20③)に該当し却下されます。

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02


正解 3

ア 誤り 
申請に係る登記が民法その他の法令の規定により無効とされることが申請情報若しくは添付情報又は登記記録から明らかであるときは、登記の申請は却下されます(不動産登記法25条13号、不動産登記令20条8号)。
利息制限法に違反する利息の定めは無効であるため(利息制限法1条)、利息制限法違反の利息の定めを登記事項とする抵当権設定の登記申請は却下されることになります(昭和29年6月2日民甲1144号)。
よって、本肢における却下事由は「申請に係る登記が民法その他の法令の規定により無効とされること」であって、「申請が登記事項以外の事項の登記を目的とするとき」ではありません。

イ 正しい
申請情報又はその提供の方法が不動産登記法に基づく命令又はその他の法令の規定により定められた方式に適合しないときは、登記の申請は却下されます(不動産登記法25条5号)。
本肢のように、インクを消すことができるボールペンで記載された手書きの申請情報を提供してする登記の申請は、「申請情報又はその提供の方法が法令の規定により定められた方式に適合しないとき」にあたるため、これが却下事由となります。

ウ 誤り
申請情報と併せて提供しなければならないものとされている情報を提供しない場合、登記の申請は却下されます(不動産登記法25条9号)。
登記申請人は、申請情報を記載した書面に印鑑証明書を添付しなければなりません(不動産登記令16条2項)。
本肢のように、所有権の登記名義人の印鑑証明書を提供しないでする、所有権の保存登記の抹消申請は、「申請情報と併せて提供しなければならないものとされている情報を提供しない場合」にあたるため、これが却下事由となります。

エ 正しい
申請に係る登記をすることによって登記名義人となる者が権利能力を有しないときは、登記の申請は却下されます(不動産登記法25条13号、不動産登記令20条2号)。
民法上の組合は、権利能力なき団体であるため、「賃借権の設定登記をすることによって登記名義人となる者が権利能力を有しないとき」にあたり、これが却下事由となります。

オ 誤り
民法398条の8第2項の合意の登記は、相続による債務者の変更登記をした後でなければ、することができません(不動産登記法92条)。
本肢のように、相続による根抵当権の債務者の変更の登記をしないでする、民法398条の8第2項の合意の登記は、そして、経ないでする指名債務者の合意の登記の申請は、「申請が不動産登記法92条の規定により登記することができないとき(不動産登記法25条13号、不動産登記令20条3号)」にあたり、これが却下事由となります。

よって、正しい肢はイとエとなり、3が正解となります。

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03

正解:3

<解説>

ア:却下の事由は誤りです。

利息制限法違反の利息の定めは無効であり、本肢の第1欄の場合には、「申請に係る登記が民法その他の法令の規定により無効とされることが申請情報若しくは添付情報又は登記記録から明らかであるとき。」に該当し、却下の申請を却下しなければなりません(不動産登記法25条13号、不動産登記令20条8号)。

したがって、本肢の却下事由は誤りです。

イ:却下の事由は正しいです。

申請書は、直接パソコンを(ワープロ)を使用して入力するか、黒色インク、黒色ボールペン、カーボン紙等(摩擦等により消える又は見えなくなるものは不可)ではっきりと書き、鉛筆は使用できません。

このことから、本肢第1欄の「インクを消すことができるボールペンで記載された手書きの申請情報を提供すること」は、「申請情報又はその提供の方法が不動産登記法に基づく命令又はその他の法令の規定により定められた方式に適合しないとき。」に該当し、登記の申請を却下しなければなりません(不動産登記法25条5号)。

したがって、本肢の却下事由は正しいです。

ウ:却下の事由は誤りです。

所有権の保存の登記の抹消をするときには、所有権の登記名義人の印鑑証明書を提供する必要があります(不動産登記令16条2項、18条2項、不動産登記規則48条、49条2項)。

所有権の登記名義人の印鑑証明書を提供しないでする、所有権の保存の登記の抹消は、「不動産登記法若しくはその他の法令の規定により申請情報と併せて提供しなければならないものとされている情報が提供されないとき。」に該当し、登記の申請を却下しなければなりません(不動産登記法25条9号)。

したがって、本肢の却下事由は誤りです。

エ:却下の事由は正しいです。

民法上の組合は権利能力を有しません。

申請に係る登記をすることによって表題部所有者又は登記名義人となる者が権利能力を有しないときは、これにより登記の申請を却下しなければなりません (不動産登記令20条2項、不動産登記法25条13項)。

したがって、本肢の却下事由は正しいです。

オ:却下の事由は誤りです。

民法398条の8第2項の合意の登記は、当該相続による根抵当権の移転又は債務者の変更の登記をした後でなければすることができません(不動産登記法92条)。

この不動産登記法92条の規定により登記することができないときに、これにより登記の申請を却下しなければなりません(不動産登記令20条3項、不動産登記法25条13項)。

したがって、本肢の却下事由は誤りです。

以上により、却下の事由が正しいものは肢イ・エであり、正解は3となります。

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