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司法書士の過去問 平成31年度 午前の部 問2

問題

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立法に関する次のアからオまでの記述のうち、判例の趣旨に照らし正しいものの組合せは、どれか。

ア  国民は、法律の制定、廃止又は改正を請願することができるが、法人は、法律の制定、廃止又は改正を請願することができない。
イ  内閣総理大臣は、法律案を国会に提出することができない。
ウ  法律案は、憲法に特別の定めがある場合を除いては、両議院で可決したときに法律となるが、衆議院で可決し、参議院でこれと異なった議決をした法律案は、衆議院で出席議員の3分の2以上の多数で再び可決したときに法律となる。

工  法律は、国民一般がその内容について知り得る状態に置かれたときに公布されたものとなるが、新聞報道やニュース番組により、ある法律の内容について国民一般が事実上知り得る状態に置かれたとしても、当該法律の公布があったとはいえない。

オ  立法不作為については国会には広範な立法裁量が認められることから、違憲であるとの判断をされることはない。
   1 .
アイ
   2 .
アエ
   3 .
イオ
   4 .
ウエ
   5 .
ウオ
( 平成31年度 司法書士試験 午前の部 問2 )
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この過去問の解説 (3件)

10
正解は4です。国会について問われることはあまりありませんが、合憲性に関する判例などがたまに問われます。

ア…誤りです。何人も、法律、命令又は規則の制定、廃止又は改正その他の事項に関し、平穏に請願する権利を有します(16条、請願権)。ここにいう「何人」は自然人(人間)、法人を含むどのような人であっても、という意味に解されます。なお、請願権は外国人にも及ぶとされています。

イ…誤りです。内閣総理大臣は、内閣を代表して議案を国会に提出しなければなりません(72条)。「議案」に法律案を含むかどうかは議論がありますが(昭22・7・5、平11・3・23衆院本会議答弁参照)、内閣法では、内閣総理大臣は内閣を代表して法律案その他の議案を国会に提出できる(内閣法5条)と書かれているように、内閣総理大臣による法律案の提出を認めた形となっています。したがって、「提出できない」とするのは誤りです。

ウ…正しいです。憲法に特別の定めがある場合を除き、法律案は両議院で可決したときに法案となります(59条1項)。衆議院で可決し、参議院でこれと異なる議決をした場合の法律案は、衆議院の出席議員の3分の2以上の多数をもって再び可決したときは、法律となります(59条2項)。

エ…正しいです。法令の公布は、国家が官報に代わる他の方法をもって行うのが適当であることが明らかでない限り、官報をもってされるものと解するのが相当であるとしています(最判昭32・12・28)。たとえ事実上法令の内容が一般国民の知り得る状態に置かれえたとしても、いまだ法令の交付があったとすることはできない、とも明記されています。

オ…誤りです。平成8年当時の衆議院総選挙において、公職選挙法が在外日本人に選挙権を認めていなかった問題について、判例は、国外に居住していて国内の市町村に住所を有していない日本人が国政選挙について投票をする権利を全く認めていなかったことは、憲法15条1項、3項、43条1項、44条ただし書に違反するとしました(最大判平17・9・14)。また同判決では、立法不作為も、憲法上保障されている権利を明白に侵害する場合や、権利行使の機会を確保するために立法措置を執ることが必要不可欠な場合などには、国家賠償法1条1項に違反し賠償請求が認められるとしています。

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8
正解:4

ア:誤
憲法第16条に「何人も、損害の救済、公務員の罷免、法律、命令又は規則の制定、廃止又は改正その他の事項に関し、平穏に請願する権利を有し、何人も、かかる請願をしたためにいかなる差別待遇も受けない」と定められており、文中の「何人も」には、外国人や未成年者、法人やその他の団体も含まれています。

イ:誤
内閣総理大臣の職務に関しては、憲法第72条に「内閣総理大臣は、内閣を代表して議案を国会に提出し、一般国務及び外交関係について国会に報告し、並びに行政各部を指揮監督する。」と定められており、文中の「議案」には法律案も含まれると解されています。

ウ:正
法律案は、この憲法に特別の定のある場合を除いては、両議院で可決したとき法律となり(憲59Ⅰ)、衆議院で可決し、参議院でこれと異なった議決をした法律案は、衆議院で出席議員の3分の2以上の多数で再び可決したときに、法律となります(憲59Ⅱ)。

エ:正
判例は、法令の公布は、国家が官報に代わる他の適当な方法をもって行うものであることが明らかな場合でないかぎり、公式令廃止後も通常官報をもつてされるものと解するのが相当であり、たとえ事実上、発令の内容が一般国民の知り得る状態に置かれたとしても、未だ法令の公布があったとすることはできない(最判昭32.12.28)としています。

オ:誤
判例は、立法の内容又は立法不作為が憲法の規定に違反するものであるとしても、それゆえに国会議員の立法行為又は立法不作為が直ちに違法の評価を受けるものではないとしながらも、立法の内容又は立法不作為が国民に憲法上保障されている権利を違法に侵害するものであることが明白な場合や、国民に憲法上保障されている権利行使の機会を確保するために所要の立法措置を執ることが必要不可欠であり、それが明白であるにもかかわらず、国会が正当な理由なく長期にわたってこれを怠る場合などには、例外的に、国会議員の立法行為又は立法不作為は、違法の評価を受ける(最判昭60.11.21、最大判平17.9.14)としています。

5
正解:4

ア:誤
憲法16条は、「何人も、損害の救済、公務員の罷免、法律、命令又は規則の制定、廃止又は改正その他の事項に関し、平穏に請願する権利を有し、何人も、かかる請願をしたためにいかなる差別待遇も受けない」と定めています。
つまり、請願の主体、ある主体が請願をすることができる事項について何らの制限もしていません。
したがって、法人も法律の制定、廃止又は改正を請願することができます。
よって、誤った記述です。

イ:誤
憲法72条は、内閣総理大臣は、内閣を代表して「議案」を国会に提出すると定めていますが、この「議案」に法律案も含まれると考える有力説があります。
憲法73条1号は、内閣の事務として「国務を総理すること」を掲げているため、内閣は国政のあり方に全般的な配慮をなすべきであり、その配慮の一環として、内閣が立法の提案をすべきことが要請されていると考えることができるからです。
また、内閣法5条は、「内閣総理大臣は、内閣を代表して内閣提出の法律案、予算その他の議案を国会に提出し、一般国務及び外交関係について国会に報告する」と規定しおり、内閣総理大臣に法律案の提出権があることを前提としています。
よって、誤った記述です。

ウ:正
憲法59条1項は、「法律案は、この憲法に特別の定めがある場合を除いては、両議院で可決したとき法律となる」と規定しているため、前段は正しいです。そして同条2項は「衆議院で可決し、参議院でこれと異なった議決をした法律案は、衆議院で出席議員の3分の2以上の多数で再び可決したときは、法律となる」と定めていますので、後段も正しいです。
よって、正しい記述です。

なお、上述の憲法59条2項の定める場合に、両院協議会の開催は任意的である(同条3項)ことにも注意しておきましょう。

エ:正
成文の法令が施行されるためには、その法令の内容が一般国民の知りうべき状態に置かれることが必要で、この方法として「公布の制度」を採用しているが、公布の方法は「原則としては官報によってなされる」とし、一般の希望者がその官報を閲覧・購読しようとした最初の時点において、「『一般国民の知り得べき状態に置かれ』たもの、すなわち公布されたものと解すべきである」としています(最大判昭和33年10月15日刑集12巻14号3313頁)。
したがって、新聞報道やニュース番組により、ある法律の内容について国民一般が事実上知り得る状態に置かれたとしても、当該法律の公布があったとはいえません。
よって、正しい記述です。

オ:誤
立法不作為も合憲性の判断が可能です。そして、国家賠償請求というかたちで実際に争われています。
判例では、在外選挙制度に関して、在外国民の選挙権を制限していたことを違憲とした最大判平成17年9月14日民集第59巻7号2087頁は、適切な立法措置をとらないという立法不作為の違憲を認めたものとみることができます。
よって、誤った記述です。

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