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司法書士の過去問 平成31年度 午前の部 問11

問題

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A、B及びCが各3分の1の持分の割合で甲建物を共有している場合に関する次のアからオまでの記述のうち、判例の趣旨に照らし正しいものの組合せは、どれか。

ア  甲建物の分割方法につき、AとBとの間にのみ争いがある場合において、Aが裁判による分割を請求するときは、AはBを相手方としてその訴えを提起すれば足りる。

イ  A、B及びCの間に共有物不分割の特約がある場合でも、Aは、B及びCの承諾を得ずに、自己の持分をDに譲渡することができる。

ウ  Aが死亡し、Aに相続人があることが明らかでない場合には、Aの持分は、その死亡により直ちにB及びCに帰属する。

エ  Aが自己の持分を放棄した後当該持分をDに譲渡した場合には、B及びCは、当該放棄に係る持分の移転の登記をしなければ、Dに対し、持分の取得を対抗することができない。

オ  共有物の分割によってAが単独で甲建物を取得した場合には、B及びCは、甲建物に隠れた瑕疵があっても、Aに対して担保の責任を負わない。
   1 .
アイ
   2 .
アウ
   3 .
イエ
   4 .
ウオ
   5 .
エオ
( 平成31年度 司法書士試験 午前の部 問11 )
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この過去問の解説 (3件)

7
正解は3です。共有物分割禁止の定めは、実務上はあまり使用されませんが、試験ではよく問われますので整理しておくことが必要です。

ア…誤りです。共有物分割請求訴訟を起こす場合、共有者全員が、原告と被告のいずれかにつかなければなりません(必要的共同訴訟)。各共有者の間で目的物の管理に対する認識を一致させるためです。本問の場合、CはAまたはBのうち、自己の意見と一致する方につく必要があります。

イ…正しいです。各共有者は、自己の持分を、他の共有者の許可を得ずとも、いつでも譲渡することができます。共有物不分割の特約があっても、共有物分割にあたる行為(現物分割・代金分割・価格賠償分割)ができないだけであって、持分に対する処分に制限が課されているわけではないからです。本問の場合、AからDに、「A持分全部移転」を目的とする所有権移転の登記をすることになります。

ウ…誤りです。共有者の一人が死亡し、その相続人が明らかでない場合でも、その持分が他の共有者に帰属するのは、その共有者の死後最低でも13カ月経過してからです。本問の場合、まず①「相続人不存在」を原因とし、登記名義人を「亡A相続財産」とする所有権登記名義人氏名変更の登記を申請します。その後、②特別縁故者の財産分与の審判の申立て期間満了の日の翌日、もしくは、当該審判の却下の決定の確定の日の翌日より後に、「特別縁故者不存在確定」を原因とし、登記義務者をBおよびCとする持分移転登記をします(H17過去問)。なお、もし特別縁故者が存在し、審判で認められた場合には、特別縁故者が共有者に優先して相続財産である共有持分を取得します(最判平元・11・24)。相続人不存在が確定するまで10カ月、特別縁故者からの財産分与請求の期間が満了するまで3カ月かかるので、登記原因日付は13カ月経過後のものになります(先例)。

エ…正しいです。共有者の一人が持分放棄をした場合、その持分は(残りの共有者の持分割合に応じて)残りの共有者に帰属します(255条)。本問の場合、Aから持分を譲渡されたDは第三者にあたるため、対抗要件である持分放棄の登記がされていなければ、BとCはDに対抗できません。

オ…誤りです。(注.2020(令和2)年4月の民法改正により、売買契約における売主は、瑕疵担保責任から契約不適合責任を負うものと変わったため、選択肢の正誤は変わりませんが、「隠れた(買主が契約時に発見できなかった)瑕疵」であるかどうかにかかわらず、契約の内容と違う不備が発見された場合には責任を負います(ただし、免責の特約がない場合に限ります)。以下、解説は改正民法によります)共有物分割において、各共有者は、他の共有者が分割によって取得したものについて、売主と同じく、その持分に応じて担保の責任を負います(261条)。したがって、本問におけるBとCは、売買契約における売主と同じく、引き渡された目的物が種類、品質又は数量に関して契約に適合しないものがあった場合には、Aに担保責任を負います(562条)。

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6
正解:3

ア:誤
共有物分割の訴えは、共有者の全員について合一に確定すべき法律関係であるので、固有必要的共同訴訟にあたります。
したがって、共有者の全員が訴訟の当事者となる必要があり、AがBを相手として訴えるのみでは足りません。
よって、誤った記述です。

イ:正
民法256条1項ただし書は「5年を超えない期間内は分割をしない旨の契約をすることを妨げない」と規定しています。
これは、共有物の分割をしないことを定めるのみであり、自己の持分の処分について制約を課すものでありません。そして、持分の譲渡は自由に行えるのが原則であって、共有物不分割の特約が持分の譲渡の自由に制約を課さずとも何ら不利益は生じません。したがって、共有者間に共有物不分割の特約がある場合でも、他の共有者の承諾を得ることなく自己の持分を、共有者でない者に譲渡することができます。
よって、正しい記述です。

ウ:誤
判例は、「共有者の一人が死亡し、相続人の不存在が確定し、相続債権者や受遺者に対する清算手続が終了したときは、その共有持分は、他の相続財産とともに、法958条の3の規定に基づく特別縁故者に対する財産分与の対象となり、右財産分与がされず、当該共有持分が承継すべき者のないまま相続財産として残存することが確定したときにはじめて、法255条により他の共有者に帰属することになる」としています(最判平成元年11月24日民集第43巻10号1220頁)。
すなわち、相続人の不存在の確定し、特別縁故者に対する財産分与がなされなかった場合に、持分は共有者に帰属することになるのです。
よって、誤った記述です。

エ:正
共有者の一人が自己の持分を放棄したときは、その持分は他の共有者に帰属します(民法255条)。このような物権変動も登記をしなければ、民法177条により第三者に対抗することができません。
したがって、B及びCは、Aの持分の放棄によるその持分の取得について、その登記をしなければ、Aの持分の譲渡を受けた第三者たるDに対して、対抗することができません。
よって、正しい記述です。

オ:誤
民法261条は、「各共有者は、他の共有者が分割によって取得した物について、売主と同じく、その持分に応じて担保の責任を負う」と定めています。
よって、誤った記述です。

4
正解:3

ア:誤
判例は、原告が共有者の一部のみを被告として共有物分割の訴えを提起した場合でも、原告が残りの者に訴えを提起し両訴の弁論が併合されれば適法な訴えとなる(大判大12.12.17)としています。
つまり、共有物分割請求訴訟は他の共有者全員を被告としなければならない固有必要的共同訴訟であり、本肢のAは、BだけでなくCをも含めた双方を相手方として訴えを提起する必要があります。

イ:正
共有者間で共有物不分割の特約を定めた場合であっても、各共有者は自分の持分について自由に処分することができます。
よって、Aは、B及びCの承諾を得ずに、自己の持分をDに譲渡することができます。

ウ:誤
判例は、共有者の一人が死亡し、相続人の不存在が確定し、相続債権者や受遺者に対する清算手続が終了したときは、その共有持分は、他の相続財産とともに、民法第958条の3の規定に基づく特別縁故者に対する財産分与の対象となり、当該財産分与がされず、当該共有持分が承継すべき者のないまま相続財産として残存することが確定したときにはじめて、民法第255条により他の共有者に帰属することになる(最判平元.11.24)としています。

エ:正
共有者のうちの1人が自己の持分を放棄した後、当該持分を第三者に譲渡した場合において、放棄されたことにより当該持分を取得するに至った他の共有者と当該第三者との関係は対抗関係に立ちます。
よって、B及びCは、当該放棄に係る持分の移転の登記をしなければ、Dに対し、持分の取得を対抗することができません。

オ:誤
各共有者は、他の共有者が分割によって取得した物について、売主と同じく、その持分に応じて担保の責任を負います(民261)。
よって、共有物分割によりAが単独で取得した甲建物に欠陥があった場合、B及びCはAに対して担保責任を負います。

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