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司法書士の過去問 平成31年度 午前の部 問10

問題

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次の対話は、添付に関する教授と学生との対話である。教授の質問に対する次のアからオまでの学生の解答のうち、判例の趣旨に照らし正しいものの組合せは、どれか。

教授:まず、動産同士の付合について考えてみましょう。Aの所有する甲動産とBの所有する乙動産とが、付合により、損傷しなければ分離することができなくなった場合において、その付合が、Aが権原によって乙動産に甲動産を結合させたために生じたものであるときは、合成物の所有権はどうなるのでしょうか。

学生:ア  乙動産が主たる動産であったとしても、Aが甲動産の所有権を失うことはありません。

教授:では、AがAの所有する甲動産をBに保管させ、Cのために指図による占有移転により質権を設定した場合において、BがBの所有する乙動産を甲動産に付合させて、合成物の所有権を取得したときは、Cの質権はどうなるのでしょうか。

学生:イ  Cの質権は消滅します。

教授:次に、混和について検討しましょう。Aの所有する甲液体とBの所有する乙液体とが混和して識別することができなくなった場合において、甲液体が主たる液体であったときは、混和した液体の所有権はどうなるのでしょうか。

学生:ウ  AとBが価格の割合に応じて混和した液体を共有します。

教授:では、動産の加工はどうでしょうか。Aが、Bの所有する甲動産にエ作を加えた場合において、Aが材料の一部を供したときは、加工物の所有権は、どうなるのでしょうか。

学生:エ  工作によって生じた価格が甲動産の価格を著しく超えるときに限り、Aがその加工物の所有権を取得します。

教授:建築途中の未だ独立の不動産に至らない建前に、第三者が材料を提供して工事を施し、独立の不動産である建物として完成させた場合の建物の所有権の帰属について、判例はどのように決定するとしているのでしょうか。

学生:オ  その建物の所有権が誰に帰属するかは、動産の付合の規定ではなく、加工の規定により決定するとしています。
   1 .
アウ
   2 .
アエ
   3 .
イウ
   4 .
イオ
   5 .
エオ
( 平成31年度 司法書士試験 午前の部 問10 )
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この過去問の解説 (3件)

12
正解:4

ア:誤
所有者を異にする数個の動産が、付合により、損傷しなければ分離することができなくなったときは、その合成物の所有権は、主たる動産の所有者に帰属します(民243前段)。
このことは、付合がAの権原によるものであったとしても、乙動産が主たる動産であったときは、合成物の所有権は、主たる動産の所有者Bに帰属し、Aは甲動産の所有権を失います。

イ:正
民法第242条から第246条までの規定により物の所有権が消滅したときは、その物について存する他の権利も、消滅します(民247Ⅰ 付合、混和又は加工の効果)。
よって、Bが合成物の所有権を取得したことによって、Aの甲動産の所有権は消滅し、その結果、甲動産に設定されていたCの質権は消滅することになります。

ウ:誤
所有者を異にする物が混和して識別することができなくなった場合についても、付合の場合と同様に、混和した物について主従の区別がつくときは、その混和した物の所有権は、主たる動産の所有者に帰属します(民243、245)。
よって、本肢について、混和した液体の所有権はAに帰属することになります。

エ:誤
他人の動産に工作を加えた者(以下、加工者)があるときは、その加工物の所有権は、材料の所有者に帰属しますが、工作によって生じた価格が材料の価格を著しく超えるときは、加工者がその加工物の所有権を取得します(民246Ⅰ)。
本肢のように、加工者(A)が材料の一部を供している場合は、その価格に工作によって生じた価格を加えたものが他人(B)の材料の価格を超えるときに限り、加工者(A)がその加工物の所有権を取得します(民246Ⅱ)。

オ:正
判例は、建築途中の未だ独立の不動産に至らない建前に第三者が材料を供して工事を施し独立の不動産である建物に仕上げた場合における建物所有権の帰属は、民法246条2項の規定(加工)に基づいて決定すべきである(最判昭54.1.25)としています。

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7
正解:4

ア:誤
民法243条は、「所有権を異にする数個の動産が、付合により、損傷しなければ分離することができなくなったときは、その合成物の所有権は主たる動産の所有者に帰属する」と定めています。
設例において、甲動産と乙動産とでは、Bが所有していた乙動産が主たる動産ですから、243条により付合により生じた物の所有権はBに帰属し、Aは所有権を失います。
よって、誤った記述です。

なお、243条の適用において、権原の有無は問題とならないことに注意してください。

イ:正
Bが、Bの所有する乙動産を甲動産に付合させて、所有権を取得していますので、Aの甲動産の所有権は付合により消滅します(民法243条)。そして、247条1項は、付合により物の所有権が消滅したときは、その物について存する他の権利も消滅すると定めていますので、甲動産に設定されていたCの質権も消滅します。
よって正しい記述です。

ウ:誤
混和とは、所有者の異なる物が混ざり合って識別不能になったことをいいます。この場合について、民法245条「前2条の規定は、所有者を異にする物が混和して識別することができなくなった場合について準用する」と規定していますので、付合に関する同法243条・244条が準用されます。そして、243条は「所有者を異にする数個の動産が、付合により、損傷しなければ分離することができなくなったときは、その合成物の所有権は主たる動産の所有者に帰属する」と定めています。
設例では、Aの所有する甲液体とBの所有する乙液休とが混和して識別することができなくなっていますので混和が生じています。この場合において、Aの所有する甲液休が主たる液体ですから、混和した液体の所有権は、Aに帰属します。
よって、誤った記述です。

エ:誤
他人の動産に工作を加えられた場合、その加工物の所有権は、材料の所有者に帰属するのが原則です(民法246条1項本文)。ただし、「工作によって生じた価格が材料の価格を著しく超えるときは、加工者がその加工物の所有権を取得」します(同項ただし書)。この場合に、「加工者が材料の一部を供したときは、その価格に工作によって生じた価格を加えたものが他人の材料の価格を超えるときに限り、加工者がその加工物の所有権を取得する」(同条2項)と規定しています。工作によって生じた価格のみではなく、これに加工者が提供した材料の価格を合計した価格が、材料となった動産の価格を超えれば、加工者が加工物の所有権を取得します。
Aが、Bの所有する甲動産に工作を加えた場合において、Aが材料の一部を供したときは、工作によって生じた価格のみではなく、加工者が提供した材料の価格と工作によって生じた価格との合計価格が、Bの所有する甲動産の価格を超えれば、Aによる加工物の所有権取得が認められます。したがって、「工作よって生じた価格が甲動産の価格を著しく超えるときに限り」というのは誤っています。
よって、誤った記述です。

オ:正
判例は、「建物の建築工事請負人が建築途上において未だに独立の不動産に至らない建前を築造したままの状態で放置していたのに、第三者がこれに材料を提供して工事を施し、独立の不動産である建物に仕上げた場合に」この不動産の所有権が誰に帰属するかは、243条ではなく、246条2項により決定すべきとしています。
このような場合は「動産に動産を単純に附合させるだけでそこに施される工作の価値を無視してよい場合とは異なり、」「材料に対して施される工作が特段の価値を有し、仕上げられた建物の価格が原材料のそれよりも相当程度増加するような場合には、むしろ民法の加工の規定に基づいて所有権の帰属を決定するのが相当であるから」です(最判昭和54年1月25日民集33巻1号26頁)。
よって、正しい記述です。

6
正解は4です。ほぼ条文通りの問題です。

ア…誤りです。所有者を異にする数個の動産が、付合により、損傷しなければ分離できなくなったときは、その合成物の所有権は、主たる動産の所有者に帰属し(243条)、主従の区別のないときは、各動産の所有者が付合のときにおける価格の割合に生じて合成物を共有します(244条)。したがって本問において乙動産が主たる動産であったときは、Aは所有権を失います。なお、本文は不動産の付合(242条)については正しいです。

イ…正しいです。付合、混和または加工に関する規定により、物の所有権が消滅したときは、その物について存する他の権利も消滅します(247条1項)。Cの質権は甲動産について設定されており、甲動産と乙動産の合成物に所有権を有しているのはBなので、甲動産の所有権は消滅しており、Cの質権も消滅します。

ウ…誤りです。混和については、付合と同様の規定が適用されます(245条)。したがって、主たる動産が判明している以上、合成物の所有権は主たる動産の所有者に帰属します(243条)。本問ではAが合成液体を所有することになります。

エ…誤りです。加工者が材料の一部を提供したときは、その材料の価格に、工作によって生じた価格を加えた価格が、他人の提供した材料の価格を上回る場合に限り、加工者が所有権を取得します(246条2項)。

オ…正しいです。判例によれば、建築途中の未だ独立の不動産に至らない建前に第三者が材料を供して工事を施し独立の不動産である建物に仕上げた場合における建物所有権の帰属は、246条2項(=加工物に加工者が材料の一部を提供した場合)の規定に基づいて決定すべきであるとされました(最判昭54・1・25)。

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