司法書士の過去問
平成31年度
午前の部 問34
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問題
平成31年度 司法書士試験 午前の部 問34 (訂正依頼・報告はこちら)
合併に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものの組合せは、どれか。
ア 2以上の株式会社が新設合併をする場合において、新設合併設立会社が株式会社であるときは、新設合併契約において、新設合併消滅株式会社の株主に対して、新設合併設立会社の株式に加え、金銭を交付することを定めることができる。
イ 株式会社と株式会社とが新設合併をする場合において、一方の株式会社が他方の株式会社の特別支配会社であるときは、当該他方の株式会社は、株主総会の決議によって、新設合併契約の承認を受けることを要しない。
ウ 吸収合併契約において定めた効力発生日に債権者の異議手続が終了していない場合には、効力発生日後に債権者の異議手続を終えたときであっても、吸収合併は、その効力を生じない。
工 吸収合併存続株式会社に対してされた株式買取請求に係る株式の買取りは、効力発生日に、その効力を生ずる。
オ 新設合併消滅株式会社がその株主に対してする新設合併をする旨並びに他の新設合併消滅会社及び設立会社の商号及び住所の通知は、新設合併契約の承認を受ける株主総会の決議後にしなければならない。
ア 2以上の株式会社が新設合併をする場合において、新設合併設立会社が株式会社であるときは、新設合併契約において、新設合併消滅株式会社の株主に対して、新設合併設立会社の株式に加え、金銭を交付することを定めることができる。
イ 株式会社と株式会社とが新設合併をする場合において、一方の株式会社が他方の株式会社の特別支配会社であるときは、当該他方の株式会社は、株主総会の決議によって、新設合併契約の承認を受けることを要しない。
ウ 吸収合併契約において定めた効力発生日に債権者の異議手続が終了していない場合には、効力発生日後に債権者の異議手続を終えたときであっても、吸収合併は、その効力を生じない。
工 吸収合併存続株式会社に対してされた株式買取請求に係る株式の買取りは、効力発生日に、その効力を生ずる。
オ 新設合併消滅株式会社がその株主に対してする新設合併をする旨並びに他の新設合併消滅会社及び設立会社の商号及び住所の通知は、新設合併契約の承認を受ける株主総会の決議後にしなければならない。
- アイ
- アウ
- イオ
- ウエ
- エオ
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この過去問の解説 (3件)
01
ア:誤
新設合併に際し、合併対価として新設合併消滅会社の株主や社員に新設合併設立会社の株式、社債などを交付することができます(会753Ⅰ)が、金銭を交付することは認められていません。たとえば新設合併設立会社が株式会社である場合に、合併対価を原則株式等に限定することで、当該新設合併設立株式会社に株主が存在しないといった状況を回避することができます。
イ:誤
新設合併を行う場合は、略式手続をすることができませんので、必ず株主総会の決議によって新設合併契約の承認を受けなければなりません(会804Ⅰ)。
本肢のように一方の株式会社が他方の株式会社の特別支配会社であるときであっても、当該他方の株式会社は、株主総会の決議によって新設合併契約の承認を受けなければなりません。
ウ:正
吸収合併の効力発生時期は、吸収合併契約で定めた効力発生日であって、たとえ当該効力発生日の時点で債権者異議手続きが終了しておらず、当該効力発生日後に債権者異議手続きを終えた場合であっても吸収合併の効力は生じません。
エ:正
吸収合併を行うに際し、反対株主による株式買取請求があった場合、当該株式買取請求に係る買い取りの効力は、吸収合併の効力発生日に生じます(会786Ⅵ)。
オ:誤
消滅株式会社等は、第804条第1項(新設合併等の承認)の株主総会の決議の日から2週間以内に、その株主に対し、新設合併等をする旨並びに他の新設合併消滅会社、新設分割会社又は株式移転完全子会社及び設立会社の商号及び住所を通知しなければなりません(会806Ⅲ本文)。
こちらが正解です。
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02
ア 誤り
新設合併をする場合において、新設合併により設立する会社が株式会社であるときは、新設合併契約において、新設合併消滅株式会社の株主に対して、新設合併設立会社の株式(会社法753条1項6号)、社債等を交付することを定めなければなりません(同項8号)。
しかし、本肢のように金銭を交付することを定めることはできません。
イ 誤り
消滅株式会社等は、株主総会の決議によって、新設合併契約の承認を受けなければなりません(会社法804条1項)。
これは、一方の株式会社が他方の株式会社の特別支配会社であるときであっても同じです。
ウ 正しい
吸収合併契約において定めた効力発生日に債権者の異議手続きが終了していない場合、効力発生日後に債権者の異議手続を終えたときであっても、吸収合併は、その効力を生じません。
なぜなら、このような場合に吸収合併の効力を認めてしまうと、債権者の異議手続きを設けることに意味がなくなってしまうからです。
エ 正しい
株式買取請求に係る株式の買取りは、効力発生日に、その効力を生じます(会社法786条6項)。
オ 誤り
消滅株式会社等は、新設合併等の承認を受ける株主総会の決議の日から二週間以内に、その株主に対し、新設合併等をする旨並びに他の新設合併消滅会社及び設立会社の商号及び住所を通知しなければなりません(会社法806条3項)。
こちらが正解です。
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03
ア:誤
新設合併をする場合に新設合併消滅会社の株主に対して交付することができる対価は、設立される会社の株式の他には「当該新設合併設立株式会社の社債等」に限られています(753条1項6号から9号)。ここでいう「社債等」は、会社法746条1項7号ニかっこ書において「社債及び新株予約権をいう。以下この編において同じ。」と定義されており、この編とは上述の会社法753条を含む「第5編組織変更、合併、会社分割、株式交換及び株式移転」を指しますから、753条の社債等には、金銭は含まれません。
吸収合併の場合には、「金銭等」の交付も可能であることが定められている(会社法749条1項2号)のとは異なります。なお、「金銭等」とは、会社法151条かっこ書で「金銭その他の財産をいう。以下同じ」と定義されています。
したがって、新設合併契約において、新設合併消滅株式会社の株主に対して、新設合併設立会社の株式に加え、金銭を交付することを定めることはできません。
よって、誤った記述です。
イ:誤
会社法の定める略式手続は、既存の会社が権利義務を承継する組織再編についてのみであり、新設型組織再編には略式手続はありません。
したがって、各会社の株主総会の特別決議による承認を受けることが必要です(会社法783条1項[「消滅株式会社等」の定義について782条1項かっこ書参照]、795条1項[「存続株式会社等」の定義について794条1項かっこ書参照])。
よって、誤った記述です。
ウ:正
吸収合併は、合併契約で定めた効力発生日(会社法749条1項6号)に効力を生じるのが原則です(同法750条1項)。しかし、同法750条6項は、799条の規定による手続、すなわち債権者の異議手続が終了していない場合には、750条1項から5項までの規定を適用しないと定めています。つまり、合併契約で定めた効力発生日に債権者異議手続が終了していない以上、この効力発生日に吸収合併の効力が生じることはありません。
よって、正しい記述です。
エ:正
会社法786条6項「株式買取請求に係る株式の買取りは、効力発生日に、その効力を生ずる」と定めています。
よって、正しい記述です。
オ:誤
会社法806条3項は、「消滅株式会社等は、第804条第1項の株主総会の決議の日から2週間以内に、その株主に対し、新設合併等をする旨並びに他の新設合併消滅会社、新設分割会社又は株式移転完全子会社(以下この節において「消滅会社等」という。)及び設立会社の商号及び住所を通知しなければならない」と定めています。
この規定は、「株主総会の決議の日から2週間以内に」「通知をしなければならない」とはしていますが、この通知が決議の後にされなければならないとまでは定めていません。
よって、誤った記述です。
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