司法書士の過去問
平成31年度
午前の部 問35
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問題
平成31年度 司法書士試験 午前の部 問35 (訂正依頼・報告はこちら)
商法上の仲立人に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものの組合せは、どれか。
ア 他人間の婚姻の媒介を行うことを業とする者は、商法上の仲立人ではない。
イ 商法上の仲立人は、その媒介した見本売買において当該見本売買の一方の当事者であって媒介の委託を受けていなかったものから見本を受け取り、これを保管したときは、当該当事者に対して保管に関する報酬を請求することができる。
ウ 商法上の仲立人は、その媒介した取引の成立前に当該取引の一方の当事者の氏名又は商号をその相手方に示さなかった場合であっても、当該取引の成立後相当の期間内に当該当事者の氏名又は商号を当該相手方に示したときは、当該相手方に対して自ら当該取引に係る債務を履行する義務を負わない。
工 商法上の仲立人は、その媒介した売買契約の代金を自ら売主に支払ったときは、売主に対し、当該売買契約に基づき、売買の目的物の引渡しを請求することができる。
オ 商法上の仲立人は、その媒介した取引の一方の当事者のみから媒介の委託を受けていた場合であっても、当該当事者の相手方に対してその報酬の半額を請求することができる。
ア 他人間の婚姻の媒介を行うことを業とする者は、商法上の仲立人ではない。
イ 商法上の仲立人は、その媒介した見本売買において当該見本売買の一方の当事者であって媒介の委託を受けていなかったものから見本を受け取り、これを保管したときは、当該当事者に対して保管に関する報酬を請求することができる。
ウ 商法上の仲立人は、その媒介した取引の成立前に当該取引の一方の当事者の氏名又は商号をその相手方に示さなかった場合であっても、当該取引の成立後相当の期間内に当該当事者の氏名又は商号を当該相手方に示したときは、当該相手方に対して自ら当該取引に係る債務を履行する義務を負わない。
工 商法上の仲立人は、その媒介した売買契約の代金を自ら売主に支払ったときは、売主に対し、当該売買契約に基づき、売買の目的物の引渡しを請求することができる。
オ 商法上の仲立人は、その媒介した取引の一方の当事者のみから媒介の委託を受けていた場合であっても、当該当事者の相手方に対してその報酬の半額を請求することができる。
- アウ
- アオ
- イウ
- イエ
- エオ
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この過去問の解説 (3件)
01
正解 2
ア 正しい
商法上の仲立人とは、他人間の商行為の媒介をすることを業とする者をいいます(商法543条)。
婚姻は、当事者双方にとって商行為ではないため、他人間の婚姻の媒介を行うことを業とする者は、商法上の仲立人にはあたりません。
イ 誤り
仲立人がその媒介に係る行為について見本を受け取ったときは、その行為が完了するまで、これを保管しなければなりません(商法545条)。
もっとも、見本の保管に関する報酬を請求できるとする規定は存在しません。
ウ 誤り
仲立人は、当事者の一方の氏名又は名称をその相手方に示さなかったときは、当該相手方に対して自ら履行をする責任を負います(商法549条)。
そして、当事者の一方の氏名又は名称は、その媒介した取引の成立前にその相手方に示す必要があります。
エ 誤り
仲立人は、当事者の別段の意思表示又は別段の慣習があるときを除き、その媒介により成立させた行為について、当事者のために支払その他の給付を受けることができません(商法544条)。
よって、本肢では、仲立人が売買の目的物の引渡しを受けることができないため、売主に対し、当該売買契約に基づき、売買の目的物の引渡しを請求することはできません。
オ 正しい
仲立人の報酬は、当事者双方が等しい割合で負担します(商法550条2項)。
よって、仲立人は、その媒介した取引の一方の当事者のみから媒介の委託を受けていた場合であっても、当該当事者の相手方に対してその報酬の半額を請求することができます。
以上から、正しい選択肢はアとオとなり、正解は2となります。
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02
ア:正
商法上の仲立人とは、他人間の商行為の媒介をすることを業とする者をいいます(商543)。仲立人による媒介の対象になる行為は、他人間の商行為に限られ、この商行為については、当事者の一方にとって商行為であれば足ります。婚姻は当事者のいずれにとっても商行為ではないので、他人間の婚姻の媒介を行うことを業とする者は商法上の仲立人ではありません。
イ:誤
仲立人がその媒介に係る行為について見本を受け取ったときは、その行為が完了するまで、これを保管しなければなりません(商545)。また、見本の保管についての報酬を請求することはできません。
ウ:誤
仲立人は、当事者の一方の氏名又は名称をその相手方に示さなかったときは、当該相手方に対して自ら履行をする責任を負います(介入義務 商549)。仲立人が取引の成立後相当の期間内に当事者の氏名又は商号を相手方に示したときであっても、当該相手方に対して自ら当該取引に係る債務を履行する義務を負います。
エ:誤
仲立人は、当事者の別段の意思表示又は別段の慣習があるときを除き、その媒介により成立させた行為について、当事者のために支払その他の給付を受けることができません(商544)。よって、本肢のように、仲立人が媒介した売買契約の代金を自ら売主に支払ったとしても、当該仲立人は売主に対して売買の目的物の引渡しを請求することができません。
オ:正
仲立人の報酬は、当事者双方が等しい割合で負担する(商550Ⅱ)ので、媒介した取引の一方の当事者のみから媒介の委託を受けていた場合であっても、当該当事者の相手方に対してその報酬の半額を請求することができます。
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03
ア:正
商法上の仲立人とは、「他人間の商行為の媒介をすることを業とする者」をいいます(商法543条)。他人間の婚姻は、いずれの当事者にとっても商行為とはなりませんので、他人間の婚姻の媒介を業とする者は、商法上の仲立人にあたりません。
よって、正しい記述です。
イ:誤
商法545条「仲立人がその媒介に係る行為について見本を受け取ったときは、その行為が完了するまで、これを保管しなければならない」と定め、商法512条は、「商人がその営業の範囲内において他人のために行為をしたときは、相当な報酬を請求することができる」と定めていますので、仲立人は保管に係る報酬を請求することができるとも考えられます。
しかし、商法550条1項は「仲立人は、第546条の手続を終了した後でなければ、報酬を請求することができない」と定め、546条は、「媒介に係る行為が成立した」ことを前提としています。
したがって、仲立人は、保管をしたのみでは、これに関する報酬を請求することができません。
よって、誤った記述です。
ウ:誤
商法549条は、「仲立人は、当事者の一方の氏名又は名称をその相手方に示さなかったときは、当該相手方に対して自ら履行をする責任を負う」と定めています。この義務は、契約が成立すれば直ちに生じ、この後に当事者の氏名又は商号を相手方に示したときであっても消滅しません。
よって、誤った記述です。
エ:誤
商法544条本文は、「仲立人は、その媒介により成立させた行為について、当事者のために支払その他の給付を受け取ることができない」と規定しています。
よって、誤った記述です。
オ:正
商法上の仲立人は、「商人がその営業の範囲内において他人のために行為をしたときは、相当な報酬を請求すること」ができます(商法512条)。
そして、「仲立人の報酬は、当事者双方が等しい割合で負担する」(商法550条2項)とされていますので、商法の仲立人は、その媒介した取引の一方の同時者の実から媒介の委託を受けていた場合であっても、当該当事者の相手方に対して報酬の半額を請求することができます。
よって、正しい記述です。
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