司法書士の過去問
平成31年度
午後の部 問44
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問題
平成31年度 司法書士試験 午後の部 問44 (訂正依頼・報告はこちら)
弁済供託の受諾に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものの組合せは、どれか。
ア 被供託者が供託所に対し、口頭で供託を受諾する旨を申し出ているにすぎない場合には、供託者は、供託物の取戻しをすることができる。
イ 被供託者が供託所に対し、書面によって供託物還付請求権の譲渡の通知をした場合であっても、その通知に供託を受諾する旨が積極的に明示されていない限り、供託者は、供託物の取戻しをすることができる。
ウ 被供託者の債権者であって債権者代位権の行使として供託物の還付請求をすることができるものは、債権者代位権の行使として供託を受諾することができる。
工 被供託者は、供託物の還付請求をするまでの間は、供託所に対してした供託受諾の意思表示を撤回することができる。
オ 金額に争いのある債権について、債務者が債務の全額に相当するものとして弁済供託をした場合には、債権者は、債権の一部弁済として受領する旨の留保を付して供託を受諾することはできない。
ア 被供託者が供託所に対し、口頭で供託を受諾する旨を申し出ているにすぎない場合には、供託者は、供託物の取戻しをすることができる。
イ 被供託者が供託所に対し、書面によって供託物還付請求権の譲渡の通知をした場合であっても、その通知に供託を受諾する旨が積極的に明示されていない限り、供託者は、供託物の取戻しをすることができる。
ウ 被供託者の債権者であって債権者代位権の行使として供託物の還付請求をすることができるものは、債権者代位権の行使として供託を受諾することができる。
工 被供託者は、供託物の還付請求をするまでの間は、供託所に対してした供託受諾の意思表示を撤回することができる。
オ 金額に争いのある債権について、債務者が債務の全額に相当するものとして弁済供託をした場合には、債権者は、債権の一部弁済として受領する旨の留保を付して供託を受諾することはできない。
- アウ
- アエ
- イウ
- イオ
- エオ
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この過去問の解説 (3件)
01
正解 1
ア 正しい
被供託者は、供託を受諾する旨を申し出る場合、供託を受諾する旨を記載した書面などを供託所に提出する方法によらなければなりません(供託規則47条)。
よって、被供託者が供託所に対し、口頭で供託を受諾する旨を申し出ているにすぎない場合には、供託者は、供託物の取り戻しをすることができます。
イ 誤り
書面によって供託物還付請求権の譲渡の通知をした場合の供託受諾の効力について、判例は、「供託物還付請求権が譲渡通知書によって供託所に通知されたときは、当該通知書において供託受諾の意思表示が明示されていない場合であっても、供託受諾の意思表示があったものとみなす(昭和33年5月1日民甲917号)」としています。
ウ 正しい
債権者代位権の行使としての供託受諾の可否について、判例は、「供託金還付請求権の譲受人、差押債権者、転付債権者及び債権者代位権を行使する一般債権者も供託受諾の意思表示をすることができる(昭和38年2月4日民甲351号)」としています。
エ 誤り
供託受諾の意思表示の撤回の可否について、判例は、「供託受諾の意思表示は、撤回することができない(昭和37年10月22日民甲3044号)」としています。
オ 誤り
判例は、「金額に争いのある債権について、債務者が債務の全額に相当するものとして弁済供託をした場合には、債権者は、債権の一部弁済として受領する旨の留保を付して供託を受諾することができる(最判昭和36年7月20日)」としています。
以上から、正しい選択肢はアとウとなり、1が正解となります。
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02
正解:1
<解説>
ア:正しいです。
供託の受諾は、供託書に供託受諾書を提出してするので(供託規則47条)、口頭で供託を受諾する旨を申し出ているに過ぎない場合には、供託者は供託物の取戻しをすることができます(昭36・4・4民甲808号)。
したがって、本肢は正しいです。
イ:誤りです。
債権者が供託を受諾すると、弁済者の取戻請求権は消滅します(民法496条①)。
その際の受諾の意思表示は、書面でしなければなりませんが(供託規則47条)、その様式に特に定めはなく、供託が受諾する旨が積極的に明示されていなくても、その記載内容から供託を受諾する旨の意思表示があったと認められるような場合には、供託受諾の意思表示があったものとして扱われ、供託者は取戻しを請求することができなくなります(昭37・12・11民甲3560号)。
したがって、本肢は誤りです。
ウ:正しいです。
供託受諾は、被供託者の一般債権者が債権者代位権を行使してすることができます。
その他、供託受諾できる者は、還付請求権の譲受人、転付債権者、差押債権者(仮差押債権者はできません)など、供託の還付請求権を現実に行使できる者に限られます(昭38・2・4民甲351号)。
したがって、本肢は正しいです。
エ:誤りです。
被供託者は、供託所に対してした供託受諾の意思表示を撤回することができません(昭37・10・22民甲3044号)。
したがって、本肢は誤りです。
オ:誤りです。
債務者が債務の全額に相当するものとして弁済供託したものを、債権者は、債権の一部弁済として受領する旨の留保を付して供託を受諾することができます(昭35・3・30民甲775号)。
したがって、本肢は誤りです。
以上により、正しいものは肢ア・ウであり、正解は1となります。
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03
ア:正
弁済供託の受諾の意思表示は書面をもってしなければなりません(供規47)。よって、被供託者が供託所に対して供託受諾の意思表示を口頭でしたにすぎない場合には、供託者は供託物の取り戻しをすることができます。
イ:誤
供託物還付請求権が譲渡通知書によって供託所に通知されたときは、当該通知書において供託受諾の意思表示が明示されていない場合であっても、供託受諾の意思表示があったとみなされます(昭33.5.1民甲917号)。
ウ:正
供託金還付請求権の譲受人、差押債権者(仮差押債権者は除く)、転付債権者及び債権者代位権を行使する一般債権者も供託受諾の意思表示をすることができます(昭38.2.4民甲351号)。
エ:誤
供託受諾の意思表示は、撤回することができません(昭37.10.22民甲3044号)。
オ:誤
金額に争いのある債権につき、債務者が債務全額の弁済であることを供託原因中に指摘して供託した場合において、債権者は、供託金は債権の一部弁済であるとして受領する旨の留保を付して供託を受諾することができます(最判昭36.7.20)。
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