司法書士の過去問
平成31年度
午後の部 問48

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問題

平成31年度 司法書士試験 午後の部 問48 (訂正依頼・報告はこちら)

次のアからオまでの情報のうち、相続又は合併を登記原因とする所有権の移転の登記の申請情報と併せて提供すべき登記原因証明情報とはなり得ないものの組合せは、どれか。

ア  所有権に関する被相続人名義の登記済証
イ  被相続人の戸籍の附票の写し
ウ  検認がされていない自筆証書による遺言書
工  相続人の欠格事由に該当する相続人が作成した当該欠格事由が存在する旨の証明書
オ  新設合併の当事者である会社が作成した新設合併契約書
  • アイ
  • アウ
  • イエ
  • ウオ
  • エオ

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この過去問の解説 (3件)

01


正解 4

ア なり得ます
相続を登記原因とする所有権の移転の登記の申請において、相続があったことを証する情報は登記原因証明情報となります。
この点、相続があった所有権の登記名義人である被相続人について、登記記録上の住所が戸籍謄本に記載された本籍地と異なる場合、市区町村長が職務上作成した相続を証する情報の一部として、被相続人の同一性を証する情報を提出する必要があります。
具体的には、住民票や戸籍の附票の写し、または所有権に関する被相続人名義の登記済証などが「被相続人の同一性を証する情報」にあたります(平成29年3月23日民二175号)。
よって、所有権に関する被相続人名義の登記済証は、本問にいう登記原因証明情報になり得ます。

イ なり得ます
アの解説のとおり、戸籍の附票の写しは、被相続人の同一性を証する情報として、相続を登記原因とする所有権の移転の登記の申請において、登記原因証明情報となり得ます(平成29年3月23日民二175号)。

ウ なり得ません
自筆証書による遺言書は、家庭裁判所による検認を経なければ、相続手続きに使うことはできません(民法1004条1項)。
よって、相続を登記原因とする所有権の移転の登記の申請において、検認がされていない自筆証書による遺言書は登記原因証明情報とはなり得ません。

エ なり得ます
相続を登記原因とする所有権の移転の登記の申請において、欠格事由に該当する相続人がある場合、当該相続人が作成した当該欠格事由が存在する旨の証明書は、登記原因証明情報となり得ます(昭和33年1月10日民甲4号)。

オ なり得ません
法人の合併による権利の移転の登記を申請する場合、登記原因証明情報として法人の合併を証する市町村長、登記官その他の公務員が職務上作成した情報を提供しなければなりません(不動産登記令別表22)。
よって、新設合併による所有権の移転の登記を申請する場合には、登記原因証明情報として、法人の合併を証する新設会社の登記事項証明書を提供しなければなりません。

以上から、本問にいう登記原因証明情報となり得ないものはウとオとなり、4が正解となります。

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02

正解:4

ア:なり得る
相続による所有権移転登記の申請において、所有権の登記名義人である被相続人の登記記録上の住所が戸籍の謄本に記載された本籍と異なる場合には、相続を証する市区町村長が職務上作成した情報の一部として、被相続人の同一性を証する情報の提出が必要であるところ、当該情報として、住民票の写し(ただし、本籍及び登記記録上の住所が記載されているものに限る。)、戸籍の附票の写し(ただし、登記記録上の住所が記載されているものに限る。)又は所有権に関する被相続人名義の登記済証の提供があれば、不在籍証明書及び不在住証明書など他の添付情報の提供がなくても被相続人の同一性を確認することができるので、当該申請に係る登記をすることができます(平29.3.23民二175号)。

イ:なり得る
戸籍の附票の写しは、被相続人の同一性を証する情報として、相続を登記原因とする所有権移転登記の登記原因証明情報となり得ます(平29.3.23民二175号)。

ウ:なり得ない
相続による所有権移転登記を申請する際、登記原因証明情報として自筆証書遺言書を提供する場合、当該自筆証書遺言書は検認が必要です。

エ:なり得る
共同相続人中に相続人の欠格事由に該当する者がある場合、その証明書としては、当該欠格者の作成した書面(当該欠格者の印鑑証明書の添付を要する)または確定判決謄本が該当します。(昭和33.1.10民甲4号)

オ:なり得ない
法人の合併による権利移転の登記を申請する場合、登記原因証明情報として法人の合併を証する登記官その他の公務員が職務上作成した情報を提供することを要します(不登令別表22)。新設合併による所有権移転登記の申請にあっては、合併の記載がある新設会社の登記事項証明書がこれに当たります。

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03

正解:4

<解説>

ア:登記原因証明情報となり得ます。

相続による所有権の移転の登記の申請において、所有権の登記名義人である被相続人の登記記録上の住所が戸籍の謄本に記載された本籍と異なる場合には、相続を証する市町村長が職務上作成した情報の一部として、被相続人の同一性を証する情報の提出が必要であるので、当該情報として、住民票の写し(本籍及び登記記録上の住所が記載されているものに限ります)、戸籍の附票の写し(登記記録上の住所が記載されているものに限ります)又は所有権に関する被相続人名義の登記済証の提供があれば、不在籍証明書及び不在住証明書など他の添付情報の提供を求めることなく被相続人の同一性を確認することができ、当該申請をすることができます(平29・3・23民二175号)。

したがって、本肢は登記原因証明情報となり得ます。

イ:登記原因証明情報となり得ます。

肢アのとおりです。

ウ:登記原因証明情報とはなり得ません。

裁判所の検認を受けていない自筆証書による遺言書を、相続を証する書面とすることはできません(平7・12・4民三4344号)。

したがって、本肢は登記原因証明情報とはなり得ません。

エ:登記原因証明情報となり得ます。

相続欠格者がいる場合には、登記証明情報として、公務員が職務上作成した戸籍謄本等のほかに、相続欠格を証する書面として、欠格事由を証する確定判決の謄本や欠格者自身が作成した欠格事由が存する旨を記した証明書を添付します(不動産登記令別表22、昭33・1・10民甲4号)。

したがって、本肢は登記原因証明情報となり得ます。

オ:登記原因証明情報とはなり得ません。

合併を登記原因とする権利の移転の登記における登記原因証明情報は、合併の登記がされた登記事項証明書です(不動産登記令別表22)。

合併契約書は登記原因証明情報とはなり得ません。

したがって、本肢は登記原因証明情報とはなり得ません。

以上により、登記原因証明情報とはなり得ないものは肢ウ・オであり、正解は4となります。

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