問題
ア 権利能力なき社団であるA社団の構成員全員に総有的に帰属する甲土地について、その所有権の登記名義人がA社団の代表者であるBであったところ、CがA社団の代表者として追加で選任されたためBからCへの所有権の一部移転の登記がされたが、その後Cが代表者を辞任した場合には、委任の終了を登記原因として当該BからCへの所有権の一部移転の登記の抹消を申請することができる。
イ 権利能力なき社団であるA社団の構成員全員に総有的に帰属する甲土地について、その所有権の登記名義人がA社団の代表者であるBであったところ、A社団がCから金銭を借り人れ、その貸金債権を担保するためにCを抵当権者とする抵当権を甲土地に設定した場合において、当該抵当権の設定の登記を申請するときは、債務者としてA社団の名称を申請情報の内容とすることができる。
ウ 権利能力なき社団であるA社団の構成員全員に総有的に帰属する甲土地について、A社団の代表者であったBが死亡し新代表者としてCが選任されたが、甲土地の所有権の登記名義人がBのままであった場合において、CがA社団を代表して甲土地をDに売却したときは、売買を登記原因としてBからDへの所有権の移転の登記を申請することができる。
エ Bが所有権の登記名義人である甲土地について、権利能力なき社団であるA社団がBから甲土地を買い受けたがその旨の登記が未了であるうちに、A社団が地方自治法第260条の2第1項の地縁による団体としての認可を受けた場合において、A社団と当該地縁による団体の同一性が認められるときは、売買を登記原因としてBから当該地縁による団体への所有権の移転の登記を申請することができる。
オ 権利能力なき社団であるA社団の構成員全員に総有的に帰属する甲土地について、その所有権の登記名義人がA社団の代表者であるBであったところ、A社団が地方自治法第260条の2第1項の地縁による団体としての認可を受けたため、Bから当該地縁による団体への所有権の移転の登記をBと当該地縁による団体とが共同して申請する場合には、登記原因証明情報として市町村長が作成した同条第12項に規定する証明書を提供すれば足りる。
(参考)地方自治法
第260条の2 町又は字の区域その他市町村内の一定の区域に住所を有する者の地縁に基づいて形成された団体(以下本条において「地縁による団体」という。)は、地域的な共同活動のための不動産又は不動産に関する権利等を保有するため市町村長の認可を受けたときは、その規約に定める目的の範囲内において、権利を有し、義務を負う。
2〜9(略)
10 市町村長は、第1項の認可をしたときは、総務省令で定めるところにより、これを告示しなければならない。(略)
11 (略)
12 何人も、市町村長に対し、総務省令で定めるところにより、第10項の規定により告示した事項に関する証明書の交付を請求することができる。この場合において、当該請求をしようとする者は、郵便又は信書便により、当該証明書の送付を求めることができる。
13〜17(略)