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司法書士の過去問 平成31年度 午後の部 問51

問題

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権利能力なき社団と登記に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものの組合せは、どれか。

ア  権利能力なき社団であるA社団の構成員全員に総有的に帰属する甲土地について、その所有権の登記名義人がA社団の代表者であるBであったところ、CがA社団の代表者として追加で選任されたためBからCへの所有権の一部移転の登記がされたが、その後Cが代表者を辞任した場合には、委任の終了を登記原因として当該BからCへの所有権の一部移転の登記の抹消を申請することができる。

イ  権利能力なき社団であるA社団の構成員全員に総有的に帰属する甲土地について、その所有権の登記名義人がA社団の代表者であるBであったところ、A社団がCから金銭を借り人れ、その貸金債権を担保するためにCを抵当権者とする抵当権を甲土地に設定した場合において、当該抵当権の設定の登記を申請するときは、債務者としてA社団の名称を申請情報の内容とすることができる。

ウ  権利能力なき社団であるA社団の構成員全員に総有的に帰属する甲土地について、A社団の代表者であったBが死亡し新代表者としてCが選任されたが、甲土地の所有権の登記名義人がBのままであった場合において、CがA社団を代表して甲土地をDに売却したときは、売買を登記原因としてBからDへの所有権の移転の登記を申請することができる。

エ  Bが所有権の登記名義人である甲土地について、権利能力なき社団であるA社団がBから甲土地を買い受けたがその旨の登記が未了であるうちに、A社団が地方自治法第260条の2第1項の地縁による団体としての認可を受けた場合において、A社団と当該地縁による団体の同一性が認められるときは、売買を登記原因としてBから当該地縁による団体への所有権の移転の登記を申請することができる。

オ  権利能力なき社団であるA社団の構成員全員に総有的に帰属する甲土地について、その所有権の登記名義人がA社団の代表者であるBであったところ、A社団が地方自治法第260条の2第1項の地縁による団体としての認可を受けたため、Bから当該地縁による団体への所有権の移転の登記をBと当該地縁による団体とが共同して申請する場合には、登記原因証明情報として市町村長が作成した同条第12項に規定する証明書を提供すれば足りる。

(参考)地方自治法
第260条の2  町又は字の区域その他市町村内の一定の区域に住所を有する者の地縁に基づいて形成された団体(以下本条において「地縁による団体」という。)は、地域的な共同活動のための不動産又は不動産に関する権利等を保有するため市町村長の認可を受けたときは、その規約に定める目的の範囲内において、権利を有し、義務を負う。
2〜9(略)
10  市町村長は、第1項の認可をしたときは、総務省令で定めるところにより、これを告示しなければならない。(略)
11 (略)
12  何人も、市町村長に対し、総務省令で定めるところにより、第10項の規定により告示した事項に関する証明書の交付を請求することができる。この場合において、当該請求をしようとする者は、郵便又は信書便により、当該証明書の送付を求めることができる。
13〜17(略)
   1 .
アウ
   2 .
アオ
   3 .
イウ
   4 .
イエ
   5 .
エオ
( 平成31年度 司法書士試験 午後の部 問51 )
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この過去問の解説 (3件)

7

正解:4

<解説>

ア:誤りです。

本肢の場合、委任の終了を登記原因として当該BからCへの所有権の一部移転の登記の抹消を申請するのではなく、委任の終了を登記原因としてC持分全部移転の登記を申請するべきです。

したがって、本肢は誤りです。

イ:正しいです。

権利能力なき社団は登記名義人になることはできませんが、債務者としては登記することが認められています(昭31・6・13民甲1317号)。

したがって、本肢は正しいです。

ウ:誤りです。

権利能力なき社団の代表者名義で表題登記がされている不動産につき、当該代表者の死亡後、当該社団が第三者にその所有権を譲渡した場合、現在の代表者名義に所有権の移転の登記をしてから第三者名義に所有権の移転の登記をしなければなりません(平2・3・28民三1147号)。

したがって、亡旧代表者から第三者への所有権の移転の登記ができるとする本肢は誤りです。

エ:正しいです。

認可地縁団体への所有権移転登記申請に係る登記原因の日付が、地方自治法260条の2第1項の認可前である場合でも、所有権の移転の登記を申請することができます(平1612民二146号)。

したがって、本肢は正しいです。

オ:誤りです。

本肢の場合、登記原因は「委任の終了」、その登記原因の日付は市町村長の認可の日となります(平3・4・2民三2246号)。

登記名義人から認可地縁団体名義に登記名義を変更するためには、当該認可地縁団体が真の所有者であることが担保される必要があるので、申請の際に、当該登記名義の変更に必要な要件を具備した市町村の証明を提出しなければなりません。

しかし、本肢の市町村長が作成した地方自治法260条の2第12項に規定する証明書は、市町村長が地縁団体の認可を告知したことの証明書であるので、AからBへ所有権の移転の登記をするときの登記原因証明情報としての適格性は有していません。

したがって、本肢は誤りです。

以上により、正しいものは肢イ・エであり、正解は4となります。

付箋メモを残すことが出来ます。
6
正解は4です。権利能力なき社団とは、町内会など、一定の区域に住所を有する者はすべて加入できるもので、法人ではない団体をいいます。権利能力なき社団の総有になるものについては、構成員各自は直接には債務および責任はありません(最判昭48・10・9)。また、権利能力なき社団が不動産を購入した場合において、社団の総有になるものであっても、当該社団名義での登記はできません。

ア…誤りです。権利能力なき社団の代表者は複数いてもかまいません。本問において、BからCへの所有権移転登記は有効に成立していますので、所有権移転登記の抹消はできません。Cが代表者を辞任した場合には、Bを登記権利者、Cを登記義務者として、C持分全部移転登記が必要です。

イ…正しいです。権利能力なき社団は、法人格がないので、登記名義人にはなれませんが、債務者にはなれるため、社団を債務者とする抵当権設定の登記ができます(先例)。

ウ…誤りです。地縁団体としての認可を受ける前に当該団体の代表者が死亡し、名義変更をする前に当該団体が地縁団体としての認可を受けた場合、代表者名義で団体の総有であった不動産については、代表者の相続人を登記名義人、認可を受けた地縁団体を登記権利者として、所有権移転登記を申請できるとされています(先例)。

エ…正しいです。権利能力なき社団が認可を受けて地縁団体になると、同団体名義で登記を受けられるようになります。地縁団体が認可を受ける前に売買等で取得した不動産について、その売主等から直接、認可地縁団体名義に売買等を理由として所有権移転の登記をすることができます(先例)。

オ…誤りです。権利能力なき団体が地縁団体認可を受けたことによる所有権移転の登記は、当該地縁団体(本問のA)を登記権利者、前の名義人(本問のB)を登記義務者とする共同申請が原則です。このとき提出すべき書類として、住所証明情報と代表者資格証明情報がありますが、この二つの代わりとして本問でいう認可団体の証明書が提出できます(地方自治法施行規則18条、20条)。登記原因証明情報の代わりとできるのは、名義人の全部又は一部の所在が知れない場合で、地縁団体が単独申請をするときのみです(地方自治法260条の39第2項)。

3

正解 4

ア 誤り
判例は、「権利能力なき社団が所有する不動産の所有権の登記が代表者の名義でなされている場合において、代表者が交代したときは、「委任の終了」を登記原因とする新しい代表者への所有権の移転の登記をすることが相当である(昭和41年4月18日民甲1126号」としています。
よって、本肢の場合、委任の終了を登記原因としてCからBへの持分全部の移転登記を申請することになります。

イ 正しい
判例は、権利能力なき社団は、登記名義人になることはできませんが、債務者として登記することは認めています(昭和31年6月13日民甲1317号)。
よって、本肢の場合、債務者としてA社団の名称を申請情報の内容とすることは可能です。

ウ 誤り 
判例は、「権利能力なき社団の旧代表者の名義で所有権の登記がされている不動産を、当該権利能力なき社団が第三者に譲渡した場合には、現在の代表者名義に所有権の移転登記をした上で、当該第三者への所有権移転登記をすべきである(平成2年3月28日民三1147号)」としています。
よって、本肢の場合、Bから現在の代表者であるCに甲土地の所有権の移転登記をした上で、CからDへの所有権の移転の登記を申請することになります。

エ 正しい
判例は、「権利能力なき社団である地縁団体が、売買等により不動産を取得した後、所有権移転登記の申請前に地縁による団体としての認可を受けた場合、いったん代表者の個人名義に所有権の移転登記をすることなく、直接、地縁団体名義に所有権の移転登記をすることができる(平成16年1月21日民二145号)」としています。
よって、本肢の場合、売買を登記原因としてBから当該地縁による団体への所有権の移転の登記を申請することができます。

オ 誤り
認可を受けた地縁による団体が所有する不動産のうち、一定の要件を満たすものについては、市町村長が公告手続きを経て証明書を発行することにより、当該地縁団体は単独で当該地縁団体を登記名義人とする当該不動産の所有権の移転の登記を申請することができます。
このように、地方自治法260条の2第12項に規定する証明書は、認可を受けた地縁団体が単独で登記申請をする場合に適用されるものであり、本肢のように共同申請する場合に適用される規定ではありません。

以上から、正しい肢はイとエであり、4が正解となります。

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