司法書士の過去問
平成31年度
午後の部 問57
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問題
平成31年度 司法書士試験 午後の部 問57 (訂正依頼・報告はこちら)
抹消された登記の回復に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものの組合せは、どれか。
なお、登記官の職権による登記の回復については考慮しないものとし、また、租税特別措置法等の特例法による税の減免規定の適用はないものとする。
ア 賃借権の設定の登記の回復を申請するときには、当該賃借権の設定の登記の登記事項を申請情報の内容としなければならない。
イ 地上権の変更の登記により抹消された地代の定めの回復の登記は、付記登記によってされる。
ウ 解除を登記原因として抹消された根抵当権の設定の登記の回復を申請する場合には、当該根抵当権の設定の登記の抹消がされる前から設定の登記がされている後順位抵当権があるときであっても、当該後順位抵当権の登記名義人の承諾を証する情報又は当該後順位抵当権の登記名義人に対抗することができる裁判があったことを証する情報を提供することを要しない。
工 所有権を目的とする地上権の設定の登記の回復を申請する場合において、登記権利者と登記義務者とが共同して申請するときは、登記義務者の印鑑に関する証明書を提供することを要しない。
オ 所有権の登記を回復する登記の登録免許税は、不動産1個につき1000円である。
なお、登記官の職権による登記の回復については考慮しないものとし、また、租税特別措置法等の特例法による税の減免規定の適用はないものとする。
ア 賃借権の設定の登記の回復を申請するときには、当該賃借権の設定の登記の登記事項を申請情報の内容としなければならない。
イ 地上権の変更の登記により抹消された地代の定めの回復の登記は、付記登記によってされる。
ウ 解除を登記原因として抹消された根抵当権の設定の登記の回復を申請する場合には、当該根抵当権の設定の登記の抹消がされる前から設定の登記がされている後順位抵当権があるときであっても、当該後順位抵当権の登記名義人の承諾を証する情報又は当該後順位抵当権の登記名義人に対抗することができる裁判があったことを証する情報を提供することを要しない。
工 所有権を目的とする地上権の設定の登記の回復を申請する場合において、登記権利者と登記義務者とが共同して申請するときは、登記義務者の印鑑に関する証明書を提供することを要しない。
オ 所有権の登記を回復する登記の登録免許税は、不動産1個につき1000円である。
- アイ
- アエ
- イオ
- ウエ
- ウオ
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この過去問の解説 (3件)
01
正解 4
ア 正しい
抹消された登記の回復を申請をする場合、回復する登記の登記事項を申請情報の内容としなければなりません(不動産登記令別表27申請情報)。
よって、賃借権の設定の登記の回復を申請する場合、当該賃借権の設定の登記の登記事項を申請情報の内容とする必要があります。
イ 正しい
登記事項の一部が抹消されている場合においてする抹消された登記の回復は、付記登記によって行われます(不動産登記規則3条3号)。
本肢の場合、地上権の変更の登記により抹消された地代の定めの回復の登記は、登記事項の一部であるため、この登記を回復する場合は、付記登記によって行われることになります。
ウ 誤り
抹消された登記の回復は、登記上の利害関係を有する第三者がある場合には、当該第三者の承諾があるときに限り、申請することができます(不動産登記法72条)。この場合、当該第三者の承諾を証する当該第三者が作成した情報又は当該第三者に対抗することができる裁判があったことを証する情報を提供しなければなりません(不動産登記令別表27添付情報)。
本肢でいう「後順位抵当権の登記名義人」は、抹消された根抵当権の設定の登記の回復について登記上の利害関係を有する第三者にあたるため、当該後順位抵当権の登記名義人の承諾を証する情報又は当該後順位抵当権の登記名義人に対抗することができる裁判があったことを証する情報を提供する必要があります。
エ 誤り
登記義務者は登記の回復によって不利益を受ける者であるため、登記義務者の印鑑に関する証明書を提供しなければなりません。
オ 正しい
抹消された登記の回復の登記を申請する場合の登録免許税は、不動産1個につき1000円です(登録免許税法別表一(14))。
よって、所有権の登記を回復する登記の登録免許税は、不動産1個につき1000円です。
以上から、誤っている肢はウとエであり、4が正解となります。
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02
ア…正しいです。抹消回復登記の申請をする際には、回復すべき登記の内容すべてを申請情報に記載します。
イ…正しいです。登記事項の一部のみを回復する場合は、付記登記によって実行されます(不動産登記規則3条3号)。なお、すべての登記を回復するときは、主登記によって実行されます。
ウ…誤りです。抹消回復登記を申請するときも、登記上の利害関係人が存在するときは、その者の承諾情報、又はその者に対抗できる裁判があったことを証する情報が必要です(不動産登記法72条、不動産登記令別表)。また、抹消登記がなされた時点ですでに登記されている後順位の登記名義人は、すべて利害関係人となります(先例)。
エ…誤りです。回復すべき登記の申請形態に応じて、共同申請か単独申請かが決まります。登記義務者は登記の回復によって実際に不利益を被る者なので、申請人の印鑑証明書は必要です。
オ…正しいです。抹消回復登記の登録免許税は、不動産1個につき1000円です(登税法別表)。
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03
正解:4
<解説>
ア:正しいです。
抹消された登記の回復をするときは、回復する登記の設定の登記における登記事項を申請情報の内容としなければなりません(不動産登記規則155条参照、不動産登記令別表27申請情報欄)。
したがって、本肢は正しいです。
イ:正しいです。
登記事項の一部が抹消されている場合においてする抹消された登記の回復は、付記登記によってします(不動産登記規則3条⑶)。
地代の定めは、地上権の登記事項の一部であり、これに該当します。
したがって、本肢は正しいです。
ウ:誤りです。
先順位の根抵当権について、解除を原因として抹消登記された後、その抹消回復登記をする場合、抹消当時から設定登記がされている後順位根抵当権者があるときはその者の承諾を要します(昭52・6・16民三2932号)。
したがって、本肢は誤りです。
エ:誤りです。
本肢における登記義務者は、所有権の登記名義人であり、本肢の登記にあたっては原則通りその者の印鑑証明書を添付しなければなりません(不動産登記令16条②、18条②、不動産登記規則48条、49条②)。
したがって、本肢は誤りです。
オ:正しいです。
抹消された登記の回復の登記の登録免許税は、不動産1個につき1,000円です(登録免許税法別表第一1(14))。
したがって、本肢は正しいです。
以上により、誤っているものは肢ウ・エであり、正解は4となります。
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