問題
なお、甲土地、乙土地及び丙土地はA登記所の管轄に、丁土地はB登記所の管轄に属するものとし、第3欄の各事項の内容に不備はないものとする。
正解:1
<解説>
ア:前登記事項が第3欄に過不足なく掲げられています。
甲土地及び乙土地には既に抵当権の設定登記がされており、A登記所には共同担保目録が備えられています。
丙土地は、甲土地及び乙土地と同じA登記所の管轄です。
申請を受ける登記所に当該前の登記に係る共同担保目録がある場合には、共同担保目録の記号及び目録番号のみを前登記事項とすれば良いとされています(不動産登記令別表55申請情報欄ハ、不動産登記規則168条①)。
したがって、本肢は前登記事項が第3欄に過不足なく掲げられています。
イ:前登記事項が第3欄に過不足なく掲げられていません。
追加される丁土地は、既に登記されている甲土地及び乙土地とは別の登記所の管轄であり、抵当権の追加設定をする場合における前登記事項は、甲土地及び乙土地の所在及び地番並びに順位事項です(不動産登記令別表55申請情報欄ハ、不動産登記規則168条①)。
本肢第3欄には順位事項がないので、前登記事項が第3欄に過不足なく掲げられていません。
ウ:前登記事項が第3欄に過不足なく掲げられています。
追加される丙土地は、既に登記されている甲土地及び乙土地と同じA登記所の管轄にあり、A登記所には共同担保目録があることから、本肢の前登記事項は、甲土地及び乙土地の所在、地番、順位事項並びに共同担保目録の記号及び目録番号です(不動産登記令別表56申請情報欄ニ、不動産登記規則168条①)。
本肢では、第3欄に不動産番号とありますが、これは不動産規則令6条1項に規定する不動産識別事項のことであり(不動産登記規則34条②)、不動産識別事項、すなわち、不動産番号を申請情報の内容としたときは、土地の所在及び地番を申請情報の内容とすることを要しません(不動産登記令6条①⑴)。
したがって、本肢は前登記事項が第3欄に過不足なく掲げられています。
エ:前登記事項が第3欄に過不足なく掲げられていません。
追加される丁土地は、既に登記されている甲土地及び乙土地とは異なる登記所の管轄であり、本肢における前登記事項は、甲土地及び乙土地の所在、地番及び順位事項です(不動産登記令別表56申請情報欄ニ、不動産登記規則168条①)。
土地の所在及び地番については、肢ウ同様、不動産番号を申請情報の内容としたときは、申請情報の内容とすることを要しません(不動産登記令6条①⑴)。
以上より本肢第3欄には、順位事項が足りません。
したがって、本肢は前登記事項が第3欄に過不足なく掲げられていません。
オ:前登記事項が第3欄に過不足なく掲げられていません。
本肢の前登記事項は、肢ウ同様、甲土地及び乙土地の所在、地番、順位事項並びに共同担保目録の記号及び目録番号です(不動産登記令別表56申請情報欄ニ、不動産登記規則168条①)。
以上より、本肢第3欄には共同担保目録の記号及び目録番号が不足しています。
したがって、本肢は前登記事項が第3欄に過不足なく掲げられていません。
以上により、前登記事項が第3欄に過不足なく掲げられているものは肢ア・ウであり、正解は1となります。