司法書士の過去問
平成31年度
午後の部 問59

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問題

平成31年度 司法書士試験 午後の部 問59 (訂正依頼・報告はこちら)

共同担保としての根抵当権または抵当権の追加設定の登記の申請情報である前の登記に係る事項(以下「前登記事項」という。)に関する次のアからオの記述のうち、甲土地及び乙土地に共同担保として第1欄に掲げられた権利の設定の登記されたあと、第2欄に掲げられた土地に第一欄に掲げられた権利の追加の設定の登記を書面で申請するときの前登記事項が第3欄に過不足なく掲げられているものの組合せは、どれか。
なお、甲土地、乙土地及び丙土地はA登記所の管轄に、丁土地はB登記所の管轄に属するものとし、第3欄の各事項の内容に不備はないものとする。
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  • アウ
  • アエ
  • イエ
  • イオ
  • ウオ

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この過去問の解説 (3件)

01

正解は1です。共同抵当権も共同根抵当権も、設定の登記がなされると、その不動産を管轄する登記官の権限で共同担保目録が作成されます。共同担保目録には、すでに登記されている抵当権に関する事項が記載されています。また、不動産番号は、登記の申請書において、所在および地番などの代わりとして用いることができます。

ア…過不足はありません。上述の通り、すでに共同担保目録がある状態で、追加の抵当権の設定の申請をする際には、本問の前登記事項として、甲土地と乙土地の抵当権に関する共同担保目録の記号及び目録番号が必要十分です(不動産登記規則168条1項)。

イ…誤りです。すでに共同担保目録がある状態で、その目録を管轄する登記所とは異なる登記所から、追加の抵当権の設定の申請をする際には、共同担保目録が申請しようとする登記所にありません。したがって、本問の前登記事項は、共同担保目録の記号及び目録番号の代わりとして、①甲土地と乙土地の所在及び地番、②甲土地と乙土地にすでに登記されている抵当権の順位番号、が必要です(不動産登記規則168条1項)。

ウ…過不足はありません。共同根抵当権の追加設定を行う際には、共同抵当権の場合と異なり、共同担保目録があったとしても、前登記事項の内容として、共同担保目録の記号及び目録番号だけでは足りません。本問の前登記事項における不動産は土地なので、①甲土地と乙土地の所在及び地番(もしくは当該土地の不動産番号)、②甲土地と乙土地にすでに登記されている根抵当権の順位番号、③共同担保目録の記号及び目録番号、のすべてが必要です(不動産登記規則168条1項)。

エ…誤りです。すでに共同担保目録がある状態で、その目録を管轄する登記所とは異なる登記所から、追加の根抵当権の設定の申請をする際には、本問の場合、①甲土地と乙土地の所在及び地番(もしくは当該土地の不動産番号)、②甲土地と乙土地にすでに登記されている根抵当権の順位番号、のみを記載しますが、添付情報として、前の登記の登記事項証明書、または、共同担保目録の記載のあるもの、を提供します(不動産登記令別表、不動産登記事務取扱手続準則112条)。

オ…誤りです。上述の通り、この場合には、①甲土地と乙土地の所在及び地番、②甲土地と乙土地にすでに登記されている根抵当権の順位番号、③共同担保目録の記号及び目録番号、が必要です。

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02


正解 1

ア 過不足なく掲げられている
一又は二以上の不動産に関する権利を目的とする抵当権の設定の登記をした後、同一の債権の担保として他の一又は二以上の不動産に関する権利を目的とする抵当権の設定の登記を申請する場合において、申請を受ける登記所に当該前の登記に係る共同担保目録がある場合には、前登記事項として、共同担保目録の記号及び目録番号を申請情報として提供しなければなりません(不動産登記令別表55申請情報欄ハ)。
本肢の場合、申請を受けるA登記所に前登記に係る共同担保目録があるため、前登記事項として共同担保目録の記号及び目録番号を提供する必要があります。

イ 不足がある
一又は二以上の不動産に関する権利を目的とする抵当権の設定の登記をした後、同一の債権の担保として他の一又は二以上の不動産に関する権利を目的とする抵当権の設定の登記を申請する場合において、申請を受ける登記所に当該前の登記に係る共同担保目録がない場合には、前登記事項として、不動産の所在及び地番、そして、順位事項を提供しなければなりません(不動産登記令別表55申請情報欄ハ)。
本肢の場合、申請を受ける登記所に前登記に係る共同担保目録がないため、前登記事項として、甲土地及び乙土地の所在及び地番、そして、順位事項を提供しなければなりません。

ウ 過不足なく掲げられている
一の不動産に関する権利を目的とする根抵当権の設定の登記又は二以上の不動産に関する権利を目的とする根抵当権の設定の登記をした後、同一の債権の担保として他の一又は二以上の不動産に関する権利を目的とする根抵当権の設定の登記を申請する場合において、申請を受ける登記所に共同担保目録があるときは、前登記事項として、不動産の所在及び地番、順位事項に加え、共同担保目録の記号及び目録番号を提供しなければなりません(不動産登記令別表56申請情報欄ニ)。
ただし、不動産を識別するために必要な事項として不動産番号を申請情報の内容としたときは、不動産の所在及び地番を申請情報の内容とする必要はありません(同6条2項8号)。
本肢の場合、申請を受けるA登記所に前登記に係る共同担保目録があるため、前登記事項として、甲土地及び乙土地の所在及び地番(不動産番号)、順位事項に加え、共同担保目録の記号及び目録番号を提供する必要があります。

エ 不足がある 
一の不動産に関する権利を目的とする根抵当権の設定の登記又は二以上の不動産に関する権利を目的とする根抵当権の設定の登記をした後、同一の債権の担保として他の一又は二以上の不動産に関する権利を目的とする根抵当権の設定の登記を申請する場合において、申請を受ける登記所に共同担保目録がないときは、前登記事項として、不動産の所在及び地番、そして、順位事項を提供しなければなりません(不動産登記令別表56申請情報欄ニ)。
ただし、不動産を識別するために必要な事項として不動産番号を申請情報の内容としたときは、不動産の所在及び地番を申請情報の内容とする必要はありません(同6条2項8号)。
本肢の場合、申請を受ける登記所に前登記に係る共同担保目録がないため、前登記事項として、甲土地及び乙土地の所在及び地番(不動産番号)、順位事項を提供しなければなりません。

オ 不足がある
ウの解説のとおり、不動産番号を提供しない場合は、前登記に係る不動産の所在及び地番を前登記事項として提供しなければなりません。
本肢では、甲土地及び乙の所在及び地番、順位事項、そして、共同担保目録の記号及び目録番号を提供する必要があります。

よって、過不足なく掲げられている肢はアとウであり、1が正解となります。

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03

正解:1

<解説>

ア:前登記事項が第3欄に過不足なく掲げられています。

甲土地及び乙土地には既に抵当権の設定登記がされており、A登記所には共同担保目録が備えられています。

丙土地は、甲土地及び乙土地と同じA登記所の管轄です。

申請を受ける登記所に当該前の登記に係る共同担保目録がある場合には、共同担保目録の記号及び目録番号のみを前登記事項とすれば良いとされています(不動産登記令別表55申請情報欄ハ、不動産登記規則168条①)。

したがって、本肢は前登記事項が第3欄に過不足なく掲げられています。

イ:前登記事項が第3欄に過不足なく掲げられていません。

追加される丁土地は、既に登記されている甲土地及び乙土地とは別の登記所の管轄であり、抵当権の追加設定をする場合における前登記事項は、甲土地及び乙土地の所在及び地番並びに順位事項です(不動産登記令別表55申請情報欄ハ、不動産登記規則168条①)。

本肢第3欄には順位事項がないので、前登記事項が第3欄に過不足なく掲げられていません。

ウ:前登記事項が第3欄に過不足なく掲げられています。

追加される丙土地は、既に登記されている甲土地及び乙土地と同じA登記所の管轄にあり、A登記所には共同担保目録があることから、本肢の前登記事項は、甲土地及び乙土地の所在、地番、順位事項並びに共同担保目録の記号及び目録番号です(不動産登記令別表56申請情報欄ニ、不動産登記規則168条①)。

本肢では、第3欄に不動産番号とありますが、これは不動産規則令6条1項に規定する不動産識別事項のことであり(不動産登記規則34条②)、不動産識別事項、すなわち、不動産番号を申請情報の内容としたときは、土地の所在及び地番を申請情報の内容とすることを要しません(不動産登記令6条①⑴)。

したがって、本肢は前登記事項が第3欄に過不足なく掲げられています。

エ:前登記事項が第3欄に過不足なく掲げられていません。

追加される丁土地は、既に登記されている甲土地及び乙土地とは異なる登記所の管轄であり、本肢における前登記事項は、甲土地及び乙土地の所在、地番及び順位事項です(不動産登記令別表56申請情報欄ニ、不動産登記規則168条①)。

土地の所在及び地番については、肢ウ同様、不動産番号を申請情報の内容としたときは、申請情報の内容とすることを要しません(不動産登記令6条①⑴)。

以上より本肢第3欄には、順位事項が足りません。

したがって、本肢は前登記事項が第3欄に過不足なく掲げられていません。

オ:前登記事項が第3欄に過不足なく掲げられていません。

本肢の前登記事項は、肢ウ同様、甲土地及び乙土地の所在、地番、順位事項並びに共同担保目録の記号及び目録番号です(不動産登記令別表56申請情報欄ニ、不動産登記規則168条①)。

以上より、本肢第3欄には共同担保目録の記号及び目録番号が不足しています。

したがって、本肢は前登記事項が第3欄に過不足なく掲げられていません。

以上により、前登記事項が第3欄に過不足なく掲げられているものは肢ア・ウであり、正解は1となります。

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