司法書士の過去問
平成31年度
午後の部 問62
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問題
平成31年度 司法書士試験 午後の部 問62 (訂正依頼・報告はこちら)
工場抵当法第3条第2項の目録(以下「機械器具目録」という。)又は工場財団目録の記録の変更の登記に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものの組合せは、どれか。
なお、工場財団の登記手続について不動産登記法附則第6条第1項に規定する法務大臣の指定を受けた登記所(いわゆるオンライン庁)における登記手続であるものとする。
ア 工場抵当の目的となっている建物に工場の所有者が所有する機械を新たに備え付け、当該機械に工場抵当の効力が及んだことにより、機械器具目録の記録の変更の登記を申請するときは、変更後の表示を機械器具目録に記録するための情報を提供しなければならない。
イ 機械器具目録に記録された機械の一部が滅失したことにより、機械器具目録の記録の変更の登記を申請するときは、抵当権者の同意を証する情報又はこれに代わるべき裁判があったことを証する情報を提供しなければならない。
ウ 機械器具目録に記録された機械、器具等を全て廃止したときは、機械器具目録の記録の変更の登記を申請しなければならない。
工 所有権の保存の登記がされた工場財団に、当該工場財団の所有者が所有する機械を新たに所属させる旨の工場財団目録の記録の変更の登記を申請するときは、当該工場財団の所有権の登記名義人に通知された登記済証又は登記識別情報を提供しなければならない。
オ 工場財団目録に記録された土地を分築した結果、工場財団に属する土地の地番、形状及び長さに変更が生じたことにより、工場財団目録の記録の変更の登記を申請するときは、変更後の工場図面を提供しなければならない。
(参考)工場抵当法
第3条 工場ノ所有者力工場二属スル土地又ハ建物二付抵当権ヲ設定スル場合二於テハ不動産登記法(平成16年法律第123号)第59条各号、第83条第1項各号並二第88条第1項各号及第2項各号二掲ゲタル事項ノ外其ノ土地又ハ建物二備付ケタル機械、器具其ノ他工場ノ用二供スル物ニシテ前条ノ規定二依リ抵当権ノ目的タルモノヲ抵当権ノ登記ノ登記事項トス
2登記官ハ前項二規定スル登記事項ヲ明カニスル為法務省令ノ定ムルトコロニ依リ之ヲ記録シタル目録ヲ作成スルコトヲ得
3及び4(略)
なお、工場財団の登記手続について不動産登記法附則第6条第1項に規定する法務大臣の指定を受けた登記所(いわゆるオンライン庁)における登記手続であるものとする。
ア 工場抵当の目的となっている建物に工場の所有者が所有する機械を新たに備え付け、当該機械に工場抵当の効力が及んだことにより、機械器具目録の記録の変更の登記を申請するときは、変更後の表示を機械器具目録に記録するための情報を提供しなければならない。
イ 機械器具目録に記録された機械の一部が滅失したことにより、機械器具目録の記録の変更の登記を申請するときは、抵当権者の同意を証する情報又はこれに代わるべき裁判があったことを証する情報を提供しなければならない。
ウ 機械器具目録に記録された機械、器具等を全て廃止したときは、機械器具目録の記録の変更の登記を申請しなければならない。
工 所有権の保存の登記がされた工場財団に、当該工場財団の所有者が所有する機械を新たに所属させる旨の工場財団目録の記録の変更の登記を申請するときは、当該工場財団の所有権の登記名義人に通知された登記済証又は登記識別情報を提供しなければならない。
オ 工場財団目録に記録された土地を分築した結果、工場財団に属する土地の地番、形状及び長さに変更が生じたことにより、工場財団目録の記録の変更の登記を申請するときは、変更後の工場図面を提供しなければならない。
(参考)工場抵当法
第3条 工場ノ所有者力工場二属スル土地又ハ建物二付抵当権ヲ設定スル場合二於テハ不動産登記法(平成16年法律第123号)第59条各号、第83条第1項各号並二第88条第1項各号及第2項各号二掲ゲタル事項ノ外其ノ土地又ハ建物二備付ケタル機械、器具其ノ他工場ノ用二供スル物ニシテ前条ノ規定二依リ抵当権ノ目的タルモノヲ抵当権ノ登記ノ登記事項トス
2登記官ハ前項二規定スル登記事項ヲ明カニスル為法務省令ノ定ムルトコロニ依リ之ヲ記録シタル目録ヲ作成スルコトヲ得
3及び4(略)
- アイ
- アウ
- イオ
- ウエ
- エオ
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この過去問の解説 (3件)
01
ア 〇 工場財団に属しているものに変更を生じたり、新たに工場財団に属するものへの付加を行うために、目録の変更の登記を申請するときは、目録に記録するための情報を提供しなければなりません(工場抵当法39条)。
以上をふまえて登記官の立場に立って考えてみましょう。
変更登記の申請されましたが、どの部分が変更されたのかわからないのに登記申請を通すわけにはいきません。
よって、どこが変更されたのかを証明するための情報を登記官に提供しなければならないのです。
イ 〇 目録の事項に変更を生じたための変更の登記を申請するときは、申請情報と併せて抵当権者の同意を証する書面又はこれに代わるべき裁判があったことを証する書面の添付が必要です(工場抵当法38条2項)。
以上をふまえて抵当権者の立場に立って考えてみましょう。
工場所有者の側で勝手に機械器具目録を変更されてしまうと抵当権者が把握している担保価値を工場所有者が勝手に減らすことが可能になってしまいます。
よって、機械器具目録を変更するには抵当権者に同意をもらわなければならないのです。
ウ × 機械器具目録に記録された機械、器具等を全て廃止した時は、機械器具目録の記録を抹消する抵当権の変更登記を申請することを要します。
つまり、工場抵当から、普通の抵当に格下げされるということです。
したがって、機械器具目録の記録の変更登記を申請しなければならないとする箇所が誤っています。
エ × 原則として単独申請の場合、登記識別情報の添付は不要です。
工場財団目録の記録の変更登記は工場所有者の単独申請です。
よって登記識別情報を提供することを要しません。
なぜなら、抵当権者の同意書を添付するからです。
オ 〇 工場財団目録の記録の変更を申請するとき、工場図面に変更が生じた場合は、変更後の工場図面を申請情報と併せて提供しなければなりません(工場抵当登記規則34条1項)。
以上をふまえて登記官の立場に立って考えてみましょう。
変更登記の申請が来ましたが、どの部分が変更されたのかわからないのに登記申請を通すわけにはいきません。
よって、どこが変更されたのかを証明するための情報を登記官に提供しなければならないのです。
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02
ア…正しいです。工場財団に属しているものに変更を生じたり、新たに工場財団に属するものへの付加を行うために、目録の変更の登記を申請するときは、目録に記録するための情報を提供しなければなりません(工場抵当法39条)。
イ…正しいです。目録の事項に変更を生じたための変更の登記を申請するときは、申請情報と併せて抵当権者の同意を証する書面又はこれに代わるべき裁判があったことを証する書面の添付が必要です(工場抵当法38条2項)。
ウ…誤りです。工場の所有者が、抵当権者の承諾を得て機械、器具等の備え付けをすべて廃止したときは、抵当権が消滅します(工場抵当法6条2項)。したがって抵当権抹消の登記が必要です。
エ…誤りです。工場財団目録の記録の変更の登記は、抵当権者の同意が必要ですが、所有権の登記名義人の単独申請でできます(工場抵当法38条1項、2項)。単独申請による登記については、原則として登記識別情報の提供は不要です。また、この場合の登録免許税は6000円となります(登税法別表)。
オ…正しいです。工場財団に抵当権を設定するための所有権保存の登記には、工作物の方位、形状などを記録した工場図面が必要です(工場抵当法22条、工場抵当登記規則21条)。工場財団目録の記録の変更を申請するとき、工場図面に変更が生じた場合は、変更後の工場図面を申請情報と併せて提供しなければなりません(工場抵当登記規則34条1項)。
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03
正解 4
ア 正しい
機械器具目録の記録の変更の登記を申請する場合、変更したもの又は新たに工場抵当の効力が及んだものを機械器具目録に記録するための情報を提供しなければなりません(工場抵当法3条4項、同39条)。
よって、本肢の場合、変更後の表示を機械器具目録に記録するための情報を提供しなければなりません。
イ 正しい
機械器具目録の記録の変更の登記を申請する場合、抵当権者の同意を証する情報又はこれに代るべき裁判があったことを証する情報を提供しなければなりません(工場抵当法3条4項、同38条2項)。
ウ 誤り
機械器具目録に記載された機械、器具等をすべて廃止したときは、登記権利者を工場所有者、登記義務者を抵当権者として、共同で、工場抵当を普通抵当とする抵当権の変更の登記を申請しなければなりません。
エ 誤り
工場財団目録に掲げた事項に変更を生じたときは、所有者は遅滞なく工場財団目録の記録の変更の登記を申請しなければなりません(工場抵当法38条1項)。この登記は、工場所有者が単独で申請することになるため、工場所有者に通知された登記済証又は登記識別情報を提供する必要はありません。
オ 正しい
工場財団目録に記録された土地を分筆した結果、工場財団に属する土地の地番、形状及び長さに変更が生じたことにより、工場財団目録の記録の変更の登記を申請するときは、変更後の工場図面を提供しなければなりません。
以上から、誤っている肢はウとエであり、4が正解となります。
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