司法書士の過去問
平成31年度
午後の部 問66

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問題

平成31年度 司法書士試験 午後の部 問66 (訂正依頼・報告はこちら)

新株予約権の登記に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものの組合せは、どれか。

ア  定款にA種類株式とB種類株式を発行する旨の定めのある会社が、募集新株予約権を発行する場合において、当該新株予約権の内容として、当該新株予約権の目的である株式の種類及び種類ごとの数をA種類株式1株及びB種類株式2株と定めたときは、当該定めを登記することができる。

イ  新株予約権の内容として、当該新株予約権に係る新株予約権証券を発行する旨の定めがある場合であっても、募集新株予約権の発行による変更の登記の申請書には、登記すべき事項として当該定めを記載することを要しない。

ウ  新株予約権の内容として、金銭以外の財産を当該新株予約権の行使に際してする出資の目的とする定めがある場合であっても、募集新株予約権の発行による変更の登記の申請書には、登記すべき事項として当該財産の価額を記載することを要しない。

工  取得条項付新株予約権を発行している会社が、当該新株予約権を取得した場合は、取得した新株予約権の消滅による変更の登記を申請しなければならない。

オ  新株予約権の行使の条件を定めた場合において、当該条件が成就しないことが確定し、当該新株予約権の全部を行使することができなくなったときの当該新株予約権の消滅による変更の登記の申請書には、当該新株予約権が消滅したことを証する書面を添付しなければならない。
  • アイ
  • アエ
  • イウ
  • ウオ
  • エオ

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この過去問の解説 (3件)

01

ア 〇 新株予約権の行使によってA種類株式を1株及びB種類株式を2株交付するとする内容の定めをすることができ、当該定めを登記することができます。

つまり、非常にお得な新株予約権を発行することができるということです。

イ 〇 新株予約権の内容として、新株予約券証券を発行する旨を定めた場合であっても、当該定めは登記事項になりません。(但し新株予約権付社債は証券発行の旨が登記事項となります。)

また、新株予約権に譲渡制限が付された場合でもその内容は登記事項とならないことも併せて押さえてきましょう。

本肢は新株予約権についての登記事項を知っていますか?という試験委員からのメッセージです。

残念ながらこれは暗記するしかありません。

ウ × 金銭以外の財産(現物出資)を新株予約権の行使に際してする出資の目的とするときは、その旨並びに当該財産の内容及び価額が新株予約権の内容となります(会社法236条1項3号)。

そして、新株予約権の内容として、金銭以外の財産(現物出資)を当該新株予約権の行使に際してする出資の目的とする旨を定めた場合には、当該定めは登記事項となります。

先ほどのイの肢と同じく本肢は新株予約権についての登記事項を知っていますか?という試験委員からのメッセージです。

残念ながらこれは暗記するしかありません。

エ × 取得条項付新株予約権を発行している会社が、当該新株予約権を取得した場合であっても、当該新株予約権は自己新株予約権になるにすぎず消滅しません。

これは株式の場合であっても同様です。

会社が取得すると自動的に消滅すると勘違いしている人が多いので注意しておきましょう。

したがって、取得した新株予約権の消滅による変更の登記を申請しなければならないとする点で本肢は誤っています。

オ × 新株予約権者がその有する新株予約権を行使することができなくなったときは、当該新株予約権は、消滅します(会社287)。

新株予約権の行使の条件を定めた場合、当該条件が成就しないことが確定した時は、新株予約権を行使できなくなったときに当たり、新株予約権は消滅します。

ちなみに、記述では、

登記事由 新株予約権消滅

登記すべき事項 年月日新株予約権消滅 

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02

正解は1です。募集株式と募集新株予約権との違いをよく整理しておくことが必要です。

ア…正しいです。募集新株予約権の募集事項には、募集新株予約権の内容及び数(種類発行株式会社では株式の種類および種類ごとの数)を定めるべきであり(236条1項)、種類株式の内容は定款にも違反していないので、登記することができます。

イ…正しいです。新株予約権の発行による変更の登記において、新株予約権証券に関する書面は必要とされていません(商業登記法65条)。また、新株予約権者から請求があるときまでは、新株予約権証券を発行しないことができます(会社法288条2項)。

ウ…誤りです。募集株式の場合と異なり、新株予約権と引換えにする払込みが現物(金銭以外の財産)給付であるときでも、検査役の調査が不要となりますが、払込みの価額自体が不要なわけではありません。

エ…誤りです。自己新株予約権の処分について、自己株式の処分や募集新株予約権の発行の場合と異なり、取締役の決定(取締役会設置会社においては取締役会決議)で、消却する自己新株予約権の内容及び数を決定するだけです(276条1項、2項)。

オ…誤りです。新株予約権者がその所有する新株予約権を行使することができなくなったときは、当該新株予約権は自動的に消滅します(287条)。ただし、新株予約権の内容等に変更が生じるので、新株予約権の消滅の登記が2週間以内に必要ですが、添付書面は特に必要ありません(915条1項)。

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03


正解 1

ア 正しい
株式会社が新株予約権を発行するときは、当該新株予約権の目的である株式の数(種類株式発行会社にあっては、株式の種類及び種類ごとの数)を新株予約権の内容としなければなりません(会社法236条1項1号)。
本肢の場合、株式の種類及び種類ごとの数が定められているので、当該定めを登記することができます。

イ 正しい
新株予約権の発行による変更の登記申請において、当該新株予約権に係る新株予約権証券を発行する旨の定めを証する書面の添付は必要とされていません(商業登記法65条参照)。

ウ 誤り
金銭以外の財産を新株予約権の行使に際してする出資の目的とするときは、その旨並びに当該財産の内容及び価額が新株予約権の内容となります(会社法236条1項3号)。
募集新株予約権の発行による変更の登記申請において、新株予約権の内容は登記事項とばっているため、本肢では、当該財産の価額を記載しなければなりません。

エ 誤り
株式会社は、消却する自己新株予約権の内容及び数を定めて、自己新株予約権を消却することができます(会社法276条1項)。この規定は、任意規定であるため、必ずしも取得した自己新株予約権を消却しなければならないわけではありません。

オ 誤り
新株予約権者がその有する新株予約権を行使することができなくなったときは、当該新株予約権は、消滅します(会社法287条)。この場合、新株予約権の内容に変更が生じるため、新株予約権の消滅による変更の登記が必要ですが(同915条1項)、添付書面は特に必要ありません。

以上から、正しい肢はアとイであるから、1が正解となります。

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