司法書士の過去問
平成31年度
午後の部 問68

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問題

平成31年度 司法書士試験 午後の部 問68 (訂正依頼・報告はこちら)

清算人会設置会社でない株式会社の清算人の登記に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものの組合せは、どれか。
なお、租税特別措置法等の特例法による税の減免規定の適用はないものとする。

ア  最初の清算人を裁判所が選任した場合の当該選任による清算人の登記の申請書には、当該清算人に係る選任決定書のほか、定款も添付しなければならない。

イ  裁判所が選任した清算人が辞任した場合において、裁判所が後任の清算人を選任したときは、清算人が辞任したことを証する書面を添付して、清算人の辞任による変更の登記を申請することができる。

ウ  裁判所が選任した清算人を株主総会において解任する決議をした場合は、当該清算人の解任を決議した株主総会の議事録を添付して、清算人の解任による変更の登記を申請することができる。

工  裁判所が選任した清算人の任務が終了したものとして、当該清算人選任決定を裁判所が取り消したことにより当該会社の登記記録が閉鎖された後に、当該会社に残余財産があることが判明し、裁判所が別の清算人を新たに選任した場合に必要となる清算人の登記の登録免許税の額は、6000円である。

オ  定款に代表清算人は清算人の互選により選定する旨の定めがある場合において、裁判所が選任した複数名の清算人が代表清算人を互選したときは、当該定款及び当該清算人が代表清算人を互選したことを証する書面を添付して、代表清算人の選任の登記を申請することができる。
  • アエ
  • アオ
  • イウ
  • イエ
  • ウオ

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この過去問の解説 (3件)

01

ア 〇 株式会社が解散し最初に清算人の登記をする場合、定款の添付が必ず必要です。

なぜなら、清算人会の設置の有無を定款により確認する必要があるからです。

株式会社というところがキーワードです。

但し、持ち分会社や特例有限会社が解散し最初に清算人の登記をする場合は定款を添付するケースは次の2つです。

1.法定清算人(定款で清算人を定めていないことを立証するために定款を添付する。つまり、消極証明)

2.定款で定めるもの(定款で定めていることを証明するために定款を添付する。積極証明)

つまり、持分会社と特例有限会社は清算人会を設置できないので登記官が定款で確認する必要がないから定款が不要なケースがあります。

イ 〇 清算株式会社と清算人との関係は委任に関する規定に従っていますので、清算人はいつでも辞任することができます。

これは、裁判所の選任した清算人も含まれます。

よって、当該清算人が権利義務を有する場合を除き、清算人が辞任したことを証する書面を添付して、清算人の辞任による変更登記を申請することができます。

ウ × 原則として、清算株式会社はいつでも株主総会の決議により清算人を解任することができます。

しかし例外があります。

裁判所が選任した清算人は、株主総会の決議で解任することができません。

なぜなら、わざわざ裁判所が選任してあげた清算人を私人間で勝手に解任されてしまったら、裁判所が苦労して清算人を選んだ意味がなくなるからです。

よって、清算人の解任を決議した株主総会の議事録を添付して、清算人の解任による変更登記を申請することができるとする点が本肢の誤りです。

エ 〇 本肢は清算人の変更登記に当たります。

よって申請件数一件につき6000円である。

ちなみに解散と同時に清算人が就任するときは9000円。

清算決了して清算人の登記も含めて全て閉鎖するときは2000円。

覚え方としては「清算人は苦労人。9、6、2」と覚えておきましょう。

オ × 清算株式会社(清算人会設置会社を除く)は、定款の定めに基づく清算人の互選により代表清算人を定めることができます。

しかし裁判所が選任した清算人の互選によって代表清算人を定めることはできません。

つまり、裁判所が清算人を選任した場合、その清算人が代表清算人というわけです。

(せっかく裁判所が清算人を選任したのに主導権がない清算人だったら、わざわざ選任した意味がないからです。)

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02


正解 5

ア 正しい
裁判所が選任した者が清算人となった場合の清算人の登記の申請書には、定款及びその選任を証する書面を添付しなければなりません(商業登記法73条1項)。

イ 正しい
清算人の退任による変更の登記の申請書には、退任を証する書面を添付しなければなりません(商業登記法74条2項)。
よって、本肢では、清算人が辞任したことを証する書面を添付して、清算人の辞任による変更の登記を申請することができます。

ウ 誤り
重要な事由があるときは、裁判所は、一定の株主の申立てにより、清算人を解任することができます(会社法479条2項)。
このように、裁判所が選任した清算人については、裁判所のみが解任することができます。
よって、株主総会において解任することができるとしている点で、本肢は誤りです。

エ 正しい
清算人の登記の登録免許税の額は9,000円です(登録免許税法別表第一24(4)イ)。

オ 誤り
清算株式会社は、裁判所が選任した場合を除き、定款、定款の定めに基づく清算人の互選又は株主総会の決議によって、清算人の中から代表清算人を定めることができます(会社法483条3項)。
よって、裁判所が清算人を選任している本肢において、複数名の清算人が代表清算人を互選することはできません。

以上から、誤っている肢は、ウとオであり、5が正解となります。

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03

正解は5です。清算人については取締役に関する規定が準用されることに留意してください。

ア…正しいです。清算人の登記の申請書には、定款を添付しなければなりません(商業登記法73条1項)。

イ…正しいです。清算人の退任による変更の登記の申請書には、退任を証する書面を添付しなければなりません(同法74条2項)。

ウ…誤りです。裁判所に選任された清算人でも、重要な事由があるときは、条件を満たす株主の申立てにより、裁判所が解任できます(479条2項、3項)。直接解任の登記を申請できるわけではありません。

エ…正しいです。清算人の変更の登記にあたり、その費用は6,000円です。なお、清算人の登記の登録免許税は9,000円です(登税法別表)。

オ…誤りです。代表清算人の選定には、裁判所が選任したものでない限り、定款、定款に定めのある清算人どうしの互選、株主総会の普通決議のいずれの場合でも、代表清算人自身の就任承諾が必要です。

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