ア 〇 共有不動産が不法に第三者名義で登記されている場合、各共有者は、単独で、第三者に対し、不法登記の抹消を請求することができる。
なぜなら、これは、保存行為に当たるからです。
よって、Aは単独で、無権利のDに対し、その所有権の移転の登記の抹消登記を求めることができます。
イ × 本肢は不動産登記法の知識も使えます。
不動産の共有者の一員が自己の持分を譲渡した場合における譲受人以外の他の共有者は民法177条の第三者に該当します。
よって、当該譲渡につき登記が存しないときには、譲受人は当該持分の取得をもって他の共有者に対抗することができません。
つまり、きちんと登記をして登記簿上も共有者A、B、EになっていないとEは共有物分割訴訟を提起できません。
登記官の立場になって考えれば理解できるはずです。
登記簿上はA、B、CなのになぜEが共有物分割請求してくるのか登記官には分からないはずです。
なぜなら、登記官は形式審査(書面をチェック)しかしませんから。
ウ × 本肢の解説は条文そのままの文言であります。
共有者の一人が、その持分を放棄した時は、その持分は他の共有者に帰属する。(民法255)
エ 〇 本肢の考え方としてはAをFとGが相続したのなら、A=F+Gと考えます。
つまり、FとGの二人でAなのです。
よって、B及びCはAの遺産についての遺産分割がされる前でも、FとGに対して共有物分割請求ができます。
FとGに対して、という所がミソです。
オ × 共有者の一人が共有不動産につき使用方法に関する合意なく単独で占有している場合、他の共有者は、当該共有者の一人に対し当然には当該不動産の明け渡しを請求することはできない。(最判昭和41.5.19)
車を例に考えてみましょう。
A、B、Cが持分1/3ずつで共有している車をAが単独で使用しても全く問題ないということであります。
つまり、Aは自己の持分は1/3だから車の1/3部分しか使えない。
なんてことはあるわけないですよね。
よって、自己の持分に基づいて使用しているAに対しBは明け渡しを請求することはできません。