司法書士の過去問
令和2年度
午前の部 問14

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問題

令和2年度 司法書士試験 午前の部 問14 (訂正依頼・報告はこちら)

根抵当権に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものの組合せは、どれか。

ア  根抵当権者と根抵当権設定者が元本の確定前に根抵当権の担保すべき債権の範囲を変更するときは、後順位の抵当権者の承諾を得なければならない。
イ  根抵当権者と根抵当権設定者が根抵当権の極度額を減額するときは、利害関係を有する者の承諾を得なければならない。
ウ  根抵当権者と根抵当権設定者は、後順位の抵当権者の承諾を得ることなく、根抵当権の担保すべき元本の確定すべき期日を変更することができる。
エ  根抵当権者は、元本の確定前において、根抵当権設定者の承諾を得ることなく、その根抵当権を他の債権の担保とすることができる。
オ  根抵当権者は、元本の確定前において、根抵当権設定者の承諾を得ることなく、その根抵当権を譲り渡すことができる。
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この過去問の解説 (3件)

01

ア × 元本の確定前においては、根抵当権の担保すべき債権の範囲の変更をすることができます。(民法398の41前段)

そして、根抵当権の担保すべき債権の範囲の変更をするには、後順位の抵当権者その他の第三者の承諾は必要ありません。

なぜなら、元本確定前の根抵当権は極度額の範囲内なら、当事者である設定者と根抵当権者の自由だからです。

イ 〇 根抵当権の極度額の減額は、利害関係を有する者の承諾を得なければすることができない。(民法398の5)

なぜなら、極度額を当てにしている者がいるからです(転抵当権者、根抵当権の被担保債権の差押権者、確定後の根抵当権から順位譲渡を受けた者 等)

つまり、根抵当権の極度額変更は常に付記登記でなされるため必ず利害関係人の承諾が必要となります。

ウ 〇 根抵当権の担保すべき元本については、その確定すべき期日を定め又は変更することができる(民法398の6Ⅰ)。

そして、根抵当権の確定日付の変更をするには、後順位の抵当権者その他の第三者の承諾は必要ありません。

なぜなら、元本確定前の根抵当権は極度額の範囲内なら、当事者である設定者と根抵当権者の自由だからです。

エ 〇 根抵当権者は、元本の確定前においては、根抵当権の処分にあたる行為ができませんが、当該根抵当権を他の債権の担保とすることはできます(民法398条の11第1項)。

つまり、元本確定前でも後でも転抵当や、転根抵当を設定することができます。

併せて元本確定前後を問わずすることができるものも押さえておきましょう。

1.相続、合併による包括承継

2.転抵当、転根抵当

3.極度額の変更

4.順位変更

オ × 根抵当権の全部譲渡・一部譲渡・分割譲渡は、根抵当権設定者の承諾を得れば、元本の確定前に、することができます(民法398条の12、398条の13)。

必ず設定者の承諾が必要です。

これは設定者中心主義という考え方です。

よって、根抵当権者は、元本確定前において、根抵当権者の承諾を得ることなく、その根抵当権を譲り渡すことはできません。

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02

正解 2

ア 誤り
元本の確定前において、根抵当権の担保すべき債権の範囲の変更をする場合、後順位の抵当権者の承諾を得ることは不要です(民法398条の4第2項)。

イ 正しい
根抵当権の極度額は、利害関係を有する者の承諾を得なければ、変更することができません民法398条の5)。

ウ 正しい
根抵当権の担保すべき元本の確定期日は、後順位の抵当権者の承諾を得ずに変更することができます(民法398条の6第2項)。

エ 正しい
元本の確定前においては、根抵当権者は、根抵当権の処分(民法376条1項)をすることはできませんが、根抵当権を他の債権の担保とすることは可能です(同398条の11第1項)。

オ 誤り
民法398条の12第1項は、「元本の確定前においては、根抵当権者は、根抵当権設定者の承諾を得て、その根抵当権を譲り渡すことができる」と規定し、同398条の13は、一部譲渡について同様の規定を置いています。

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03

正解は2です。

ア…誤りです。根抵当権の担保すべき債権の範囲は、根抵当権者と根抵当権設定者によって、元本の確定前であれば、変更することができます(398条の4第1項)。この場合、後順位の抵当権者その他の利害関係人の承諾は要しません(398条の4第2項)。

イ…正しいです。根抵当権の極度額の変更は、根抵当権者と根抵当権設定者によって、元本の確定前後にかかわらず、変更することができますが、利害関係を有する者の承諾が必ず必要です(398条の5)。

ウ…正しいです。根抵当権の元本の確定期日は、後から期日の変更および期日の設定ができます(398条の6第1項)。利害関係人の承諾は要しません(398条の6第2項)。しかし、変更前の元本の確定期日が到来する前に変更しなければ、変更前の元本の確定期日がそのまま有効となり、変更前の期日において元本が確定します(398条の6第4項)。

エ…正しいです。根抵当権者は、元本の確定前においては、根抵当権の処分にあたる行為ができませんが、当該根抵当権を他の債権の担保とすることはできます(398条の11第1項)。

オ…誤りです。根抵当権の全部譲渡・一部譲渡・分割譲渡は、根抵当権設定者の承諾を得れば、元本の確定前に、することができます(398条の12、398条の13)。

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