司法書士の過去問
令和2年度
午前の部 問23

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問題

令和2年度 司法書士試験 午前の部 問23 (訂正依頼・報告はこちら)

遺言に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものの組合せは、どれか。
ア  遺言者が死亡する前に、遺言者の過失によって遺言書が焼失した場合には、遺言は撤回されたものとみなされる。
イ  遺言者が、甲遺言をした後に、それを撤回する乙遺言をした場合には、乙遺言が強迫により取り消されたときであっても、甲遺言の効力が回復することはない。
ウ  遺言に停止条件が付されていた場合において、遺言者の死亡後に条件が成就したときは、条件が成就した時から、遺言の効力が生ずる。
エ  包括受遺者は、相続人と同一の権利義務を有する。
オ  負担付遺贈を受けた者がその負担した義務を履行しない場合において、相続人が相当の期間を定めて履行の催告をし、その期間内に履行がないときは、その相続人は、受遺者に対する意思表示によって負担付遺贈に係る遺言を取り消すことができる。

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この過去問の解説 (3件)

01

正解:4

<解説>

ア:誤りです。

遺言者が故意に遺言書を破棄したときは、その破棄した部分については、遺言を撤回したものとみなされますが(民法1024条)、過失によって破棄した場合には、遺言は撤回されたものとはみなされません。

したがって、本肢は誤りです。

イ:誤りです。

乙遺言によって甲遺言を撤回した場合、その撤回が詐欺や強迫によるもので、そのことを理由として乙遺言が取り消されたときには、甲遺言の効力を回復することができます(民法1025条ただし書き)。

したがって、本肢は誤りです。

ウ:正しいです。

遺言に停止条件が付されていた場合において、遺言者の死亡後にその条件が成就したときは、遺言は、条件が成就した時からその効力を生じます(民法985条②)。

したがって、本肢は正しいです。

エ:正しいです。

包括受遺者は、相続人と同一の権利義務を有します(民法990条)。

したがって、本肢は正しいです。

オ:誤りです。

負担付遺贈を受けた者がその負担した義務を履行しないときは、相続人は、相当の期間を定めてその履行の催告をすることができます。

この場合において、その期間内に履行がないときは、受遺者に対する意思表示ではなく家庭裁判所に請求することによって、その負担付遺贈に係る遺言の取消しをすることができます。

(民法1027条)

したがって、本肢は誤りです。

以上により、正しいものは、肢ウ・エであり、正解は4になります。

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02

正解 4

ア 誤り
遺言者が故意に遺言書を破棄したときは、その破棄した部分については、遺言を撤回したものとみなされます(民法1024条)。
このように、遺言を撤回したものとみなされるのは、あくまで「故意」に遺言書を破棄したことが必要であり、過失により遺言書を破棄した場合にまで、遺言を撤回したものとみなされるわけではありません。

イ 誤り
撤回された遺言は、その撤回の行為が、撤回され、取り消され、又は効力を生じなくなるに至ったときであっても、原則として、その効力を回復することはありません(民法1025条)。
もっとも、撤回の行為が強迫による場合は、例外的にその効力が回復します(同条但書き)。

ウ 正しい
遺言に停止条件を付した場合において、その条件が遺言者の死亡後に成就したときは、遺言は、条件が成就した時からその効力を生じます(民法985条2項)。

エ 正しい
包括受遺者は、相続人と同一の権利義務を有します(民法990条)。

オ 誤り
負担付遺贈を受けた者がその負担した義務を履行しないときは、相続人は、相当の期間を定めてその履行の催告をすることができます(民法1027条前段)。
この場合において、その期間内に履行がないときは、家庭裁判所への請求をもって、その負担付遺贈に係る遺言を取り消すことが可能です(同条後段)。

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03

正解は4です。


ア…誤りです。遺言者の故意によって遺言書が破棄された場合は、遺言が撤回されたとみなされますが(1024条)、過失によって遺言書が破棄された場合は、撤回の擬制はありません。


イ…誤りです。撤回された遺言は、原則として効力が復活することはありませんが、当該遺言撤回行為が、錯誤・詐欺又は強迫を理由として取り消されたときは、元の遺言の効力が復活します(1025条)。


ウ…正しいです。遺言に停止条件が付されていた場合において、その条件が遺言者の停止後に成就したときは、遺言は、条件が成就したときからその効力を生じます(985条2項)。


エ…正しいです。包括受遺者は、相続人と同一の権利義務を有します(990条)。しかし、相続と違い、遺留分や寄与分は認められません。また、代襲もできません。


オ…誤りです。負担付遺贈を受けた者がその負担した義務を履行しないときは、相続人は、相当の期間を定めてその履行の催告をすることができ、その期間内に履行がないときは、当該負担付遺贈に係る遺言の取消しを家庭裁判所に請求することができます(1027条)。負担付遺贈は条件や反対給付ではないので、このような条文が定められています。

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