正解:1
<解説>
ア:正しいです。
第三者割当又は公募で公開会社が有利発行をする場合には、原則として株主総会の特別決議が必要ですが(会社法199条②、309条②)、株主割当の場合には、公開会社においては、有利発行か否かに関係なく、取締役会決議によって定められ(会社法199条①、202条①、同条③)、株主総会の特別決議を経る必要はありません。
したがって、本肢は正しいです。
イ:正しいです。
株式会社が株主に募集株式の割当てを受ける権利を与えた場合において、株主が募集株式の引受けの申込みを期日までにしないときは、株主は募集株式の割当てを受ける権利を失います(会社法204条④)。
したがって、本肢は正しいです。
ウ:誤りです。
募集株式の引受人がその引き受けた募集株式の株主となった場合に有することとなる議決権の数が、当該募集株式の引受人の全員がその引き受けた募集株式の株主となった場合における総株主の議決権の数の2分の1を超える場合には、金融商品取引法第4条第1項から第3項までの届出をしている場合その他の株主の保護に欠けるおそれがないものとして法務省令(会社法施行規則42条の3)で定める場合を除き(会社法206条の2③)、払込みの期日又は払込み期間の初日の2週間前までに、株主に対し、その引受人(特定引受人といいます。)の氏名又は名称及び住所、有することとなる議決権の数その他法務省令(会社法施行規則42条の2)で定める事項を通知しなければいけません(会社法206条の2①)。
この通知は、公告をもってこれに代えることができます(会社法206条の2②)。
そして、総株主(株主総会において議決権を行使することができない株主を除く。)の議決権の10分の1(定款でそれを下回る割合を定めた場合にはその割合)以上の議決権を有する株主が、この通知又は公告の日から2週間以内に、特定引受人による募集株式の引受けに反対する旨を公開会社に対し通知したときは、その公開会社は、払込みの期日または払込み期間の初日の前日までに、株主総会の決議によって、特定引受人に対する募集株式の割当てまたは特定引受人との間の総数引受契約の承認を受けなければいけません(会社法206条の2④)。
また、この場合の株主総会の決議は、議決権を行使することができる株主の議決権の過半数(3分の1以上の割合を定款で定めた場合には、その割合以上)を有する株主が出席し、出席した株主の議決権の過半数(これを上回る割合を定款で定めた場合には、その割合以上)をもって行わなければなりません(会社法206条の2⑤)。
以上のような反対をする通知があったような場合に決議が行われるのであって、そのような反対がない場合には決議は行われません。
そして、この場合に行われる決議は、以上より、議決権を行使できる株主の議決権の過半数を有する株主が出席し、出席した株主の議決権の3分の2以上をもって行う特別決議(会社法309条②)ではなく、議決権を行使できる株主の議決権の過半数を有する株主が出席し、出席した株主の議決権の過半数をもって行う普通決議(会社法309条①)です(ただし普通決議、特別決議はいずれも定款で別段に定めることができます。)。
したがって、本肢は誤りです。
エ:誤りです。
募集株式と引換えにする現物出資財産の給付の期間を定めた場合において、募集株式の引受人が当該期間内に現物出資財産の給付をしたときは、当該引受人は、出資の履行をした日に募集株式の株主となります(会社法209条①)。
当該期間の末日に株主となるわけではありません。
したがって、本肢は誤りです。
オ:誤りです。
払込みを仮装した引受人から募集株式を譲り受けた者は、その譲受人に悪意又は重過失がないときは、その募集株式についての株主の権利を行使することができます(会社法209条③)。
したがって、本肢は誤りです。
以上により、正しいものは肢ア・イであり、正解は1となります。