司法書士の過去問
令和2年度
午前の部 問29
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問題
令和2年度 司法書士試験 午前の部 問29 (訂正依頼・報告はこちら)
取締役の任期に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものの組合せは、どれか。
ア 監査等委員会設置会社においては、定款又は株主総会の決議によって、監査等委員である取締役の任期を選任後1年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までとすることはできない。
イ 会社法上の公開会社ではない監査等委員会設置会社においては、定款によって、取締役の任期を選任後10年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までとすることはできない。
ウ 会社法上の公開会社ではない監査役設置会社においては、定款によらず、株主総会の決議によって、取締役の任期を選任後10年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までとすることができる。
エ 会社法上の公開会社ではない監査役設置会社においては、個々の取締役ごとに異なる任期を定めることはできない。
オ 会社法上の公開会社である監査役設置会社において、取締役の任期を選任後1年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までとする定款の定めについて、取締役の任期を選任後2年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までとする定款の変更をした場合には、当該定款の変更の効力が生じた時に現に在任している取締役の任期は、当該定款の変更の後の定款で定めた任期となる。
ア 監査等委員会設置会社においては、定款又は株主総会の決議によって、監査等委員である取締役の任期を選任後1年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までとすることはできない。
イ 会社法上の公開会社ではない監査等委員会設置会社においては、定款によって、取締役の任期を選任後10年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までとすることはできない。
ウ 会社法上の公開会社ではない監査役設置会社においては、定款によらず、株主総会の決議によって、取締役の任期を選任後10年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までとすることができる。
エ 会社法上の公開会社ではない監査役設置会社においては、個々の取締役ごとに異なる任期を定めることはできない。
オ 会社法上の公開会社である監査役設置会社において、取締役の任期を選任後1年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までとする定款の定めについて、取締役の任期を選任後2年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までとする定款の変更をした場合には、当該定款の変更の効力が生じた時に現に在任している取締役の任期は、当該定款の変更の後の定款で定めた任期となる。
- アイ
- アオ
- イウ
- ウエ
- エオ
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この過去問の解説 (3件)
01
正解:4
<解説>
ア:正しいです。
取締役の任期は、選任後2年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までとされ、定款又は株主総会の決議によってその任期を短縮することができます(会社法332条①)。ただし、監査等委員である取締役については、定款又は株主総会の決議によってその任期を短縮することはできません(会社法332条④)。
したがって、本肢は正しいです。
イ:正しいです。
会社法上の公開会社でない株式会社(監査等委員会設置会社及び指名委員会等設置会社を除く。)においては、定款によって、取締役の任期を選任後10年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時まで伸長することができます(会社法332条②)。
この規定で、監査等委員会設置会社は除かれています。
したがって、本肢は正しいです。
ウ:誤りです。
会社法上の公開会社でない株式会社(監査等委員会設置会社及び指名委員会等設置会社を除く。)においては、定款によって、取締役の任期を選任後10年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時まで伸長することができます(会社法332条②)。
したがって、株主総会の決議ではなく定款によって伸長することができるので、本肢は誤りです。
エ:誤りです。
取締役の任期は、選任後2年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までとされ、定款または株主総会の決議によってその任期を短縮することができます(会社法332条①)。
したがって、会社法上の公開会社ではない監査役設置会社においても、個々の取締役ごとに異なる任期を定めることができるので、本肢は誤りです。
オ:正しいです。
定款の変更により、取締役の任期を変更した場合には、その変更の効力が生じた時に現に在任している取締役の任期にもその効力が及びます(昭30・9・12民甲1886号)。
したがって、本肢は正しいです。
以上により、誤っているものは肢ウ・エであり、正解は4となります。
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02
正解 4
ア 正しい
監査等委員会設置会社において、監査等委員である取締役の任期は、選任後2年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結までです(会社法332条1項)。
この任期は、定款又は株主総会の決議によって短縮することはできません(同条4項)。
イ 正しい
公開会社でない株式会社は、定款によって、取締役の任期を選任後10年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時まで伸長することが可能です(会社法332条2項)。
もっとも、監査等委員会設置会社は、同項括弧書きにより除外されています。
ウ 誤り
公開会社でない株式会社が、締役の任期を選任後10年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時まで伸長する場合には、定款による必要があります(会社法332条2項)。
エ 誤り
公開会社ではない監査役設置会社では、取締役の任期は、選任後2年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までとなり、この任期は、定款によって、伸長することも可能です(会社法332条2項)。
個々の取締役の任期につき、同一にしなければならないとする規定はないため、個々の取締役ごとに異なる任期を定めることも可能です。
オ 正しい
取締役の任期を変更する旨の定款変更の効力は、在任している取締役にも及ぶと解されています。
この場合、当該取締役の選任時を基準として、定款変更後の任期が適用されることになります。
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03
ア…正しいです。監査等委員会設置会社における監査等委員である取締役の任期は、選任後2年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までです(332条1項)。この任期は、定款または株主総会の決議によって短縮することができません(332条4項)。なお、当該会社において、監査等委員でない取締役の任期は、選任後1年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までであり、定款または株主総会の決議により、短縮が可能です(332条1項、3項)。
イ…正しいです。非公開会社で、監査等委員会設置会社でも指名委員会等設置会社でもないものにおいては、定款によって、取締役の任期を、選任後10年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時まで伸長することができます(332条2項)。監査等委員会設置会社では、伸長できません。
ウ…誤りです。選択肢イの通り、非公開会社で、監査等委員会設置会社でも指名委員会等設置会社でもないものにおいては、定款によって、取締役の任期を、選任後10年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時まで伸長することができます(332条2項)。株主総会の決議では任期伸長の決定はできません。
エ…誤りです。非公開会社で、監査役設置会社であるものにおいては、取締役の任期は、選任後2年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までです。この任期は、定款または株主総会の決議により短縮が可能であり(332条1項)、かつ定款により伸長が可能です(332条2項)。したがって短縮する場合には、株主総会で取締役ごとに任期を定めることができるので、同時に選任された取締役どうしでも、各取締役の任期を異なるものにすることができます。
オ…正しいです。定款の変更の効力は、在任中の取締役にも及ぶのが原則です。この場合、定款変更の効力が生じたときから任期を計算し直すのではなく、当該取締役が選任されたときを基準として任期を定めるため、本問と逆に、任期を短縮する場合は、定款変更後の任期がすでに満了している取締役がいる可能性もあり、そのような取締役については、定款変更日を退任日として、退任の登記をする必要があります。
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