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司法書士の過去問 令和2年度 午後の部 問45

問題

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弁済供託に関する次のアからオまでの記述のうち、判例の趣旨に照らし正しいものの組合せは、どれか。

ア  持参債務の債務者が弁済期に弁済をしようとして、債権者の住居に在宅の有無を電話で問い合わせた場合において、家人から債権者が一時不在であるため受領できないとの回答があっただけでは、債務者は、受領不能を原因とする供託をすることはできない。
イ  受領拒絶を原因とする弁済供託をする場合には、供託者は、供託官に対し、被供託者に供託通知書を発送することを請求しなければならない。
ウ  建物の賃料の増額請求を受けた賃借人は、その増額について賃貸人との協議が調わない場合において、従来の賃料と同じ額を相当と認める額として賃貸人に弁済の提供をし、賃貸人からその受領を拒まれたときは、受領拒絶を原因として供託をすることができる。
エ  建物の賃貸人が死亡した場合において、賃借人が持参債務である賃料につき債権者不確知を原因として弁済供託をしようとするときは、当該建物の所在地の最寄りの供託所に供託をすることができる。
オ  賃料の支払日が「毎月末日」とされている建物の賃貸借契約において、賃借人が毎月末日に当月分の賃料につき弁済の提供をした場合において、賃貸人が3か月にわたりその受領を拒んでいるときは、賃借人は、その3か月分の賃料について、供託日までの遅延損害金を付すことなく供託をすることができる。
   1 .
アエ
   2 .
アオ
   3 .
イウ
   4 .
イエ
   5 .
ウオ
( 令和2年度 司法書士試験 午後の部 問45 )
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この過去問の解説 (3件)

4

正解 5

ア 誤り
判例(大審院昭和9年7月17日)は、本肢と同様の事案において、「債務者が弁済をしようとした時期に、債権者その他弁済を受領する権限を有する者が弁済の場所である債権者の住所にいないために弁済をすることができない場合は、その一時の不在であるか否かを問わず受領不能に当たり、債務者は弁済の目的物を供託して債務を免れることができると解するのが相当である。」としています。

イ 誤り
供託をした者は、遅滞なく、債権者に供託の通知をしなければなりません(民法495条3項)。
この場合、供託者は、供託官に対し、被供託者に供託通知書を発送することを請求することができますが(供託規則16条1項)、義務ではありません。

ウ 正しい
建物の借賃の増額について当事者間に協議が調わないときは、その請求を受けた者は、増額を正当とする裁判が確定するまでは、相当と認める額の建物の借賃を支払うことをもって足りるとされています(借地借家法32条2項)。
本肢では、相当と認める額の賃料を提供しているにもかかわらず、賃貸人がその受領を拒絶しているため、賃借人は受領拒絶を原因として供託することが可能です(民法494条1項1号)。

エ 誤り
供託は、債務の履行地の供託所にしなければなりません(民法495条1項)。
本肢の場合、賃借人が負っている債務は持参債務であるため、債務の履行地は債権者の住所地となります。

オ 正しい
債務の履行について確定期限があるときは、債務者は、その期限の到来した時から遅滞の責任を負います(民法412条1項)。
もっとも、弁済の提供をした場合は、その時から、債務を履行しないことによって生ずべき責任を免れるとされています(同492条)。
本肢の場合、賃借人は賃料の支払日である毎月末日に弁済の提供をしているため、遅滞の責任を負うことはありません。

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3

正解:5

<解説>

ア:誤りです。

判例は、債務者の電話による問合せに対し、家人が、債権者は一時不在で居場所が分からない旨を答えた場合も受領不能に当たるとしています(大判昭9・7・17民集13・1217、売買百選72)。

よって、本肢の場合、債務者は、受領不能を原因とする供託をすることができます。

したがって、本肢は誤りです。

イ:誤りです。

弁済供託により供託をした者は、遅滞なく、債権者に供託の通知をしなければなりません(495条③)。

そして、供託者が被供託者に供託の通知をしなければならない場合には、供託者は、供託官に対し、被供託者に供託通知書を発送することを請求することができるとしています(供託規則16条①)。

供託者は、供託官に対し、被供託者に供託通知書を発送することを請求しなければいけないのではなく、請求できるとしています。

したがって、本肢は誤りです。

ウ:正しいです。

建物の借賃の増額について当事者間の協議が調わないときは、その請求を受けた者は、増額を正当とする裁判が確定するまでは、相当と認める額の建物の借賃を支払うことをもって足りるとしています(借地借家法32条②)。

そして、債権者が弁済の受領を拒むときは、弁済者は、債権者のために弁済の目的物を供託してその債務を免れることができるとしています(民法494条)。

本肢の場合、従来の賃料と同じ額を相当と認める額として賃貸人に弁済の提供をし、賃貸人からその受領を拒まれたときは、受領拒絶を原因として供託をすることができます(昭38・5・18民甲1505号)。

したがって、本肢は正しいです。

エ:誤りです。

弁済供託は、債務の履行地の供託所にしなければなりません(民法495条①)。

本肢の場合の賃料は、債権者である貸主の住所で支払うことになっている持参債務であるから、債務の履行地は貸主の住所となり、供託はそこに所在する供託所(債務の履行地に供託所がない場合は、その最寄りの供託所)にすることができます。

したがって、当該建物の所在地の最寄りの供託所に供託をすることができるとする本肢は誤りです。

オ:正しいです。

債務者は、弁済の提供の時から、債務の不履行によって生ずべき一切の責任を免れます(民法492条)。

これにより、債務の弁済期までに弁済の提供をしていなかった場合には、履行遅滞の責任を負い、遅延損害金を付して供託することになります。

そして、債務者が、履行遅滞の責任を負うのは、債務履行の期限が到来した時からです(民法412条①)。

本肢の場合、賃借人は、賃料の支払日すなわち債務履行の期限である毎月末日に当月分の賃料につき弁済の提供をしているため、履行遅滞の責任は負いません。

したがって、賃借人は、その3か月分の賃料について、遅延損害金を付すことなく供託をすることができます。

したがって、本肢は正しいです。

以上により、正しいものは肢ウ・オであり、正解は5となります。

2
正解は5です。

ア…誤りです。持参債務においては、債権者または債権者に代わり受領の権限を有する者が一時的に不在であり、弁済の受領ができない場合でも、債務者は「受領不能」を原因として弁済供託をすることができます(大判昭9・7・17)。

イ…誤りです。受領拒絶を原因とする弁済供託をする場合には、供託者が、遅滞なく債権者に供託通知をしなければなりません(民法495条3項)。

ウ…正しいです。賃料について争いがあり、賃借人が賃料を供託しようとするとき、➀増額請求がされている場合は、賃借人が相当と考える額を、②減額請求がされている場合は、賃貸人が相当と考える額を供託する必要があります(借地借家法32条)。

エ…誤りです。債権者の死亡により、債権者が弁済を受領できなくなったためにする弁済供託は、債務の履行地の供託所にする必要があります(民法495条1項)。

オ…正しいです。(「毎月末日までに」ではなく)「毎月末日」払いの特約のある家賃は、当月末日に債権として発生するため(昭36・4・4民甲808号)、毎月末日に当月分の賃料につき弁済の提供をした場合、遅延損害金は発生しません。

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