司法書士の過去問
令和2年度
午後の部 問46

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問題

令和2年度 司法書士試験 午後の部 問46 (訂正依頼・報告はこちら)

担保(保証)供託に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものの組合せは、どれか。

ア  営業上の保証供託における担保の効力は、その目的物である供託金の元本のほか、供託金利息にも及ぶ。
イ  裁判上の担保供託は、担保を立てるべきことを命じた裁判所の所在地を管轄する地方裁判所の管轄区域内のいずれの供託所にもすることができる。
ウ  営業上の保証供託において有価証券を供託している事業者が主たる事務所を移転したときは、当該事業者は、移転前の主たる事務所の最寄りの供託所に対して営業上の保証供託に係る保管替えの請求をすることができる。
エ  供託された営業保証金について、官庁又は公署が配当を実施するときは、当該官庁又は公署は、配当金の支払をするため、被供託者として供託金の還付請求をすることができる。
オ  保全命令に係る担保供託について、担保の事由が消滅し、その供託物の取戻請求をするときは、供託者は、供託物払渡請求書に担保取消決定正本及びその確定証明書又はこれに代えて供託原因の消滅を証する裁判所の証明書を添付しなければならない。
  • アイ
  • アウ
  • イオ
  • ウエ
  • エオ

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この過去問の解説 (3件)

01

正解は3です。

ア…誤りです。営業上の保証供託において、担保の効力は、供託金利息には及ばず、供託者のみが払渡請求できることになります(昭7・5・3民事局会議決定、供託規則34条2項)。保証供託の場合、損害の担保は元本のみで十分になされていると考えられるからです。

イ…正しいです。裁判上の担保供託において、供託をするには、担保を立てるべきことを命じた裁判所または執行裁判所の所在地を管轄する地方裁判所の管轄区域内の裁判所にしなければなりません(民事訴訟法405条1項)。

ウ…誤りです。事業者が宅地建物取引業者の場合、「宅地建物取引業者は、その主たる事務所を移転したためその最寄りの供託所が変更した場合において、金銭のみをもって営業保証金を供託しているときは、法務省令・国土交通省令の定めるところにより、遅滞なく、費用を予納して、営業保証金を供託している供託所に対し、移転後の主たる事務所の最寄りの供託所への営業保証金の保管替えを請求し、その他のときは、遅滞なく、営業保証金を移転後の主たる事務所の最寄りの供託所に新たに供託しなければならない(宅地建物取引業法29条)」などとある通り、営業上の保証供託において保管替えの請求ができるのは金銭が供託されている場合に限られ、その他の場合は事業者自身が供託金を新しい最寄りの供託所に預ける必要があります(宅地建物取引業法29条、割賦販売法22条の2第1項、2項、旅行業法18条1項、2項)。

エ…誤りです。特定の営業保証金について、官庁又は公署が配当を実施するときは、担保権者が官庁等に権利実行の申立てをし、当該官庁等が配当表を作成の上、支払委託書を供託所に送付し、同時に、債権者に配当を受ける者である旨の配当証明書を交付します。官庁が被供託者になるわけではありません。

オ…正しいです。供託物の取戻請求をしようとする供託者は、供託物払渡請求書に、取戻をする権利を有することを証する書面を添付しなければなりません(供託規則25条1項)。保全命令に係る担保供託について、担保の事由が消滅し、その供託物の取戻請求をするときは、供託原因消滅証明書として、担保取消決定書の正本及びその確定証明書等が必要とされています。

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02

正解 3

ア 誤り
保証として金銭を供託した場合には、毎年、供託した月に応当する月の末日後に、同日までの供託金利息を払い渡すことができるとされています(供託規則34条2項)。
したがって、営業上の保証供託における担保の効力は、供託金利息には及びません。

イ 正しい
裁判上の担保供託は、担保を立てるべきことを命じた裁判所又は執行裁判所の所在地を管轄する地方裁判所の管轄区域内であれば、いずれの供託所にもすることが可能です(民事訴訟法405条1項)。

ウ 誤り
供託物に係る保管替えの請求は、供託物が金銭または振替国債でなければすることができません(供託規則21条の3、同21条の6)。

エ 誤り
官庁または公署が配当によって供託物の払渡しをすべき場合、当該官庁又は公署は、供託物の種類に従い、供託所に支払委託書を送付し、被供託者に証明書を交付することとされています(供託規則30条1項)。
この場合、被供託者が証明書を還付して供託物の還付請求を行うことになります。

オ 正しい
供託物の取戻しをしようとする者は、供託物払渡請求書に取戻しをする権利を有することを証する書面を添付しなければなりません(供託規則25条1項)。
保全命令に係る担保供託について、担保事由が消滅したことにより供託物の取戻請求をする場合、担保取消決定正本とその確定証明書(または、供託原因消滅証明書)を添付する必要があります。

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03

正解:3

<解説>

ア:誤りです。

営業上の保証供託における担保の効力は、その元本のみに及び、供託利息金には及びません。

また、保証として金銭を供託した場合には、毎年、供託した月に応当する月の末日後に、同日までの供託金利息を払い渡すことができます(供託規則34条②)。

したがって、本肢は誤りです。

イ:正しいです。

裁判上の担保供託は、担保を立てるべきことを命じた裁判所又は執行裁判所の所在地を管轄する地方裁判所の管轄区域内の供託所にしなければならないとしています(民事訴訟法405条①)。

したがって、本肢は正しいです。

ウ:誤りです。

営業上の保証供託に係る保管替えの請求は、その供託物が金銭又は振替国債である場合にすることができます(供託規則21条の3、21条の6)。

したがって、本肢は誤りです。

エ:誤りです。

供託された営業保証金について、官庁又は公署が配当を実施するときは、官庁又は公署は、供託所に対して支払委託書を送付し、債権者には証明書を交付して、債権者がその証明書を添付して還付請求をします(供託規則30条)。

本肢のように官庁又は公署が被供託者として供託金の還付請求をすることはできません。

したがって、本肢は誤りです。

オ:正しいです。

供託物の取戻しをしようとする者は、供託物払渡請求書に取戻しをする権利を有することを証する書面を添付しなければなりません(供託規則25条)。

すなわち本肢の場合には、供託物払渡請求書に担保取消決定正本及びその確定証明書又はこれに代えて供託原因の消滅を証する裁判所の証明書を添付しなければなりません。

したがって、本肢は正しいです。

以上により、正しいものは肢イ・オであり、正解は3となります。

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