司法書士の過去問
令和2年度
午後の部 問52
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問題
令和2年度 司法書士試験 午後の部 問52 (訂正依頼・報告はこちら)
登記名義人の氏名又は住所についての変更の登記又は更正の登記に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものの組合せは、どれか。
ア 判決による所有権の移転の登記を申請する場合において、登記義務者である被告の現在の住所が住所の移転により登記記録上の住所と相違しているときは、判決書正本に被告の現在の住所とともに登記記録上の住所が併記されているときであっても、前提として所有権の登記名義人の住所についての変更の登記を申請しなければならない。
イ 贈与を登記原因とする所有権の移転の登記を申請する場合において、所有権の登記名義人の住所が行政区画の名称の変更により「甲市乙町1473番地」から「甲市丙町1473番地」に変更されているときは、前提として所有権の登記名義人の住所についての変更の登記を申請しなければならない。
ウ 錯誤を登記原因としてAからBへの所有権の移転の登記の抹消を申請する場合において、Aが養子縁組したことにより現在の氏名と登記記録上の氏名とが相違しているときは、前提としてAの氏名についての変更の登記を申請しなければならない。
エ A及びBが所有権の登記名義人である土地について、Aが住所を移転し、後日、当該住所にBも住所を移転した場合は、Aの住所についての変更の登記とBの住所についての変更の登記は一の申請情報により申請することができる。
オ A及びBが所有権の登記名義人である土地について、前主からA及びBへの所有権の移転の登記をする際にAの住所とBの住所とを誤って逆に登記していたことが判明した場合は、A及びBの各住所についての更正の登記は一の申請情報により申請することができる。
ア 判決による所有権の移転の登記を申請する場合において、登記義務者である被告の現在の住所が住所の移転により登記記録上の住所と相違しているときは、判決書正本に被告の現在の住所とともに登記記録上の住所が併記されているときであっても、前提として所有権の登記名義人の住所についての変更の登記を申請しなければならない。
イ 贈与を登記原因とする所有権の移転の登記を申請する場合において、所有権の登記名義人の住所が行政区画の名称の変更により「甲市乙町1473番地」から「甲市丙町1473番地」に変更されているときは、前提として所有権の登記名義人の住所についての変更の登記を申請しなければならない。
ウ 錯誤を登記原因としてAからBへの所有権の移転の登記の抹消を申請する場合において、Aが養子縁組したことにより現在の氏名と登記記録上の氏名とが相違しているときは、前提としてAの氏名についての変更の登記を申請しなければならない。
エ A及びBが所有権の登記名義人である土地について、Aが住所を移転し、後日、当該住所にBも住所を移転した場合は、Aの住所についての変更の登記とBの住所についての変更の登記は一の申請情報により申請することができる。
オ A及びBが所有権の登記名義人である土地について、前主からA及びBへの所有権の移転の登記をする際にAの住所とBの住所とを誤って逆に登記していたことが判明した場合は、A及びBの各住所についての更正の登記は一の申請情報により申請することができる。
- アイ
- アオ
- イウ
- ウエ
- エオ
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この過去問の解説 (3件)
01
正解 2
ア 正しい
所有権の移転の登記を申請する場合において、登記義務者の氏名や住所等が登記記録上の記載と相違している場合、前提として登記義務者の氏名等変更(更正)登記をしなければならないのが原則です。
これは、判決書正本に被告(登記義務者)の新旧住所が併記されている場合であっても、同様です。
イ 誤り
登記名義人の氏名若しくは名称又は住所が登記記録と合致しないときは、その登記申請は却下されるのが原則です(不動産登記法25条7号)。
もっとも、登記名義人の住所が行政区画の名称の変更により変更されている場合は、その変更の登記がされていない場合であっても、行政区画の変更がすべて公知の事実であることからすれば、「登記名義人の住所が登記記録と合致しないとき」にあたらないと解されています(平成22年11月1日民二2759号)。
ウ 誤り
所有権の前登記名義人について、氏名等の変更登記をすることはできません。
本肢の場合、Aは所有権の前登記名義人にあたるため、Aの氏名について変更登記を申請することはできません。
エ 誤り
登記原因が異なる場合、一の申請情報により登記申請をすることはできません。
本肢の場合、AとBとでは、住所変更の登記原因が異なるため、これらを同一の申請情報で申請することはできません。
オ 正しい
共有者の各住所についての更正の登記は、一括して一の申請情報により申請することが可能です(昭和38年9月25日民甲2654号)。
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02
正解は2です。
ア…正しいです。判決によって所有権移転登記を申請する場合において、判決正本に登記義務者の住所として、現在の住所と登記記録上の住所が併記されているときであっても、前提として、登記名義人の住所移転または更正の登記を省略することはできません(登記研究611号)。
イ…誤りです。本問のように、地番変更のない行政区画変更がなされた場合、変更登記があったものとみなされ、登記官により登記内容の変更がされるので、所有権移転登記を行う前提としての住所変更登記は不要です(不動産登記規則92条)。これに対し、地番の変更のある住所区画変更があった場合は、登録免許税は不要ですが、住所変更登記は必要になります(登録免許税法5条5号)。
ウ…誤りです。抹消の登記を申請するにあたり、前所有者Aは登記権利者、現所有者Bは登記義務者になります。登記義務者に氏名変更が生じている場合、前提として氏名変更の登記が必要になりますが、登記権利者に氏名変更が生じている場合、登記名義人としての氏名変更を申請することはできないので、抹消登記の申請に、氏名変更を証する書面の添付で足ります。
エ…誤りです。登記の目的並びに登記原因及びその日付が同一であるとき、同一の管轄所にある一又は二以上の不動産について、登記名義人が同一である場合には、氏名もしくは名称または住所の変更または更正の登記を、一の申請情報ですることが認められます(不動産登記規則35条8号)。この「同一である」の解釈は個々の事例で異なります。同一の不動産の共有者甲(住所A)と共有者乙(住所B)が同一の日付で新たな同一の住所Cへ移転した場合、一の申請情報で変更を申請することができます(登記研究575号)。しかし、本問のように、別の日付でそれぞれの共有者が住所移転をした場合、移転先の住所が同じであっても、一の申請情報で申請できるとする先例はありません。
オ…正しいです。共有者である登記名義人の住所を誤って逆に登記していた場合、それぞれの更正の登記は一の申請情報によりすることができます(昭38・9・25民甲2654号回答)。
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03
正解:2
<解説>
ア:正しいです。
判決書に被告の住所とともに登記記録上の住所が併記されているときであっても、前提として所有権の登記名義人の住所についての変更の登記を申請しなければなりません(登研429号)。
したがって、本肢は正しいです。
イ:誤りです。
所有権の移転登記等を申請する場合において、所有権の登記名義人の住所に行政区画の名称の変更があっても、前提として所有権の登記名義人の住所についての変更の登記を申請する必要はありません(平22・11・1民二2759号)。
したがって、本肢は誤りです。
ウ:誤りです。
本肢の場合、養子縁組をして現在の氏名と登記記録上の氏名とが相違しているAは、AからBへの所有権移転登記の抹消を申請する時点では前登記名義人であるので、抹消登記の前提としてAの氏名についての変更の登記を申請することはできません。
したがって、本肢は誤りです。
エ:誤りです。
申請情報は、登記の目的及び登記原因に応じ、一の不動産ごとに作成して提供しなければならないとしています(不動産登記令4条)。
本肢の場合、Aの住所変更登記とBの住所変更登記は登記原因を異にするため、一の申請情報により申請することはできません。
したがって、本肢は誤りです。
オ:正しいです。
共有者の住所更生の登記を一括して1件で申請して差し支えありません(昭38・9・25民甲2654号 )。
したがって、本肢は正しいです。
以上により、正しいものは肢ア・オであり、正解は2となります。
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