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司法書士の過去問 令和2年度 午後の部 問58

問題

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仮登記に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものの組合せは、どれか。

ア  AからBへの売買、更にBからCへの売買を登記原因とする所有権の移転の登記がされている場合において、AがBとの売買契約を詐欺により取り消したときは、Aは、真正な登記名義の回復を登記原因としてAを登記名義人とする所有権移転請求権の保全の仮登記を申請することができる。
イ  A及びBが離婚給付等契約公正証書を作成し、当該公正証書に「Aは離婚による財産分与として、A所有の甲不動産をBに譲渡する」と記載されていた場合には、Bは、A及びBの婚姻中に、財産分与予約を登記原因としてBを登記名義人とする所有権移転請求権の保全の仮登記を申請することができる。
ウ  A及びBが、Cが所有権の登記名義人である甲不動産について、売買予約による所有権移転請求権の保全の仮登記をした後、Aが当該所有権移転請求権を放棄した場合には、Bは、放棄を登記原因として、AからBへの所有権移転請求権の移転の登記を申請することができる。
エ  甲不動産の所有権の登記名義人であるAから売買予約を登記原因としてBを仮登記の登記権利者とする所有権移転請求権の保全の仮登記がされた後は、本登記がされるまでの間に、Aを権利者とする買戻しの特約の仮登記を申請することはできない。
オ  雇用契約における使用者A及び労働者Bは、Aが所有権の登記名義人である甲不動産を目的として、BがAに対して有する給料債権を被担保債権とする一般の先取特権の保存の仮登記を申請することができる。
   1 .
アイ
   2 .
アオ
   3 .
イエ
   4 .
ウエ
   5 .
ウオ
( 令和2年度 司法書士試験 午後の部 問58 )
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この過去問の解説 (3件)

7

正解は5です。


ア…誤りです。「真正な登記名義の回復」を登記原因とする場合、所有権移転仮登記(=1号仮登記)はできますが、所有権移転請求権の保全の仮登記(=2号仮登記)はできません(登記研究423号、574号)。「真正な登記名義の回復」とは、登記の記録と現実の名義が一致しない(=物権変動はすでに生じている)場合の原因であり、一方2号仮登記では物権変動がこれから生じるものであるため、仮登記の原因として意味をなさないからです。


イ…誤りです。婚姻中に、離婚の際の財産分与予約を原因とする所有権移転請求権の保全の仮登記の申請は認められていません(昭和57・1・6民三251号民事局長回答)。財産分与請求権は、離婚の効力発生時に生じるものであり、また離婚自体の予約が認められていないためです。


ウ…正しいです。所有権移転の登記については共同申請の原則があるため、共有持分の放棄に伴い、他の共有者に帰属することとなった持分の所有権移転登記の申請は、単独では認められず、共有持分を放棄した共有者と、放棄により共有持分を取得した共有者との共同申請が基本とされます(昭57・5・11民三3292号)。しかし、所有権移転請求権の仮登記が共有者AとBによってなされ、Aが当該請求権を放棄したときは、Bに対して、放棄を登記原因とするAの所有権移転請求権仮登記の移転の登記をすることができます(昭35・2・5民甲285号)。


エ…誤りです。所有権移転の登記については、買戻特約の登記は、当該所有権移転登記と同時に申請しなければなりません(昭35・3・31民甲712号)。しかし、所有権移転請求権の仮登記と、買戻特約の仮登記とは、所有権移転の効力が生じていないため、同時にする必要はありません(昭36・5・30民甲1257号)。ただしこの場合、当該所有権移転登記の本登記と同時に、買戻特約の本登記をする必要があります。


オ…正しいです。債権の発生後であれば、一般の先取特権の保存の仮登記は認められます。しかし、雇用契約における給料債権のように、一般の先取特権が発生する法律関係が成立しており、将来発生することが確実な債権についても、債権の発生後でなければ仮登記はできませんので、一般の先取特権の請求権の保全の仮登記は認められません。

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3

正解:5

<解説>

ア:誤りです。

真正な登記名義の回復を原因とする1号仮登記である所有権移転の仮登記はできますが、2号仮登記である所有権移転請求権及び停止条件付所有権移転の仮登記は申請することができません(登研423号126頁)。

したがって、本肢は誤りです。

イ:誤りです。

財産分与請求権は、離婚により生じる請求権であるから、離婚前に財産分与による所有権移転請求権保全の仮登記を申請することはできません(昭57・1・6民三251号)。

したがって、本肢は誤りです。

ウ:正しいです。

共有者の一人が、その持分を放棄したときは、その持分は、他の共有者に帰属します(民法255条)。

本肢では、売買予約による所有権移転請求権をBと共有するAが持分を放棄したのであるから、そのAの持分はBに帰属します。

よって、Bは、放棄を登記原因として、AからBへの所有権移転請求権の移転の登記を申請することができます。

エ:誤りです。

売買による所有権移転の登記と買戻し特約の登記は、同時に別個の申請をしなければならず(民法581条①、昭35・3・31民甲712号)、所有権移転登記後にされた買戻し特約の登記は無効となります(大決大15・10・19民集5・738)。

しかし、所有権移転又はその請求権の仮登記と買戻し特約の仮登記については、同時に申請することを要しません(昭36・5・30民甲1257号)。

よって、本肢の場合は、Aを権利者とする買戻し特約の仮登記を申請することができます。

したがって、本肢は誤りです。

オ:正しいです。

雇用関係の先取特権(民法308条)を含む一般先取特権(民法306条)については、保存の仮登記を申請することができます(不動産登記法105条⑴)。

したがって、本肢は正しいです。

以上により、正しいものは肢ウ・オであり、正解は5となります。

3

正解 5

ア 誤り
「真正な登記名義の回復」という権利の移転原因は存在しません。
したがって、真正な登記名義の回復に基づく請求権も存在しないことになるため、本肢において、Aを登記名義人とすう所有権移転請求権の保全の仮登記を申請することはできません。

イ 誤り
離婚の届出前において、財産分与請求権を観念することはできないため、財産分与予約を原因とする所有権の移転請求権の仮登記を申請することはできません。

ウ 正しい
共有者の一人が、その持分を放棄したときは、その持分は、他の共有者に帰属します(民法255条)。
本肢の場合、Aが放棄した当該所有権移転請求権は、Bに帰属することになります
したがって、本肢では、「持分放棄」を登記原因として、AからBへの所有権移転請求権の移転の登記を申請することができます。

エ 誤り
買戻特約の仮登記は、所有権に関する仮登記の申請後でも申請することができます。

オ 正しい
一般の先取特権は、保存の1号仮登記を申請することができます。

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