司法書士の過去問
令和2年度
午後の部 問59
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問題
令和2年度 司法書士試験 午後の部 問59 (訂正依頼・報告はこちら)
登記の単独申請に関する次の文章中の( 1 )から( 5 )までの空欄に次のアからオまでの語句の中から適切なものを選んで文章を完成させた場合に、( 1 )又は( 2 )に入る語句の組合せとして正しいものの組合せは、以下の選択肢のうちどれか。ただし、文章中( A )及び( B )には、「〔Ⅰ〕」又は「〔Ⅱ〕」の語句のうちいずれか適切なものが入るものとし、異なる数字には同一の語句は入らないものとする。
(文章)
「単独申請をすることができる権利に関する登記は、登記手続をすべきことを命ずる確定判決による登記及び代位による登記を除けば、以下の〔Ⅰ〕及び〔Ⅱ〕の2つに分類することができる。
〔Ⅰ〕登記義務者が現存するが、共同申請の例外としてその申請を必要としない登記
〔Ⅱ〕〔Ⅰ〕以外の登記
その具体例として、( A )に該当するものは、( 1 )及び( 2 )であり、( B )に該当するものは、( 3 )、( 4 )及び( 5 )である。」
ア 特例有限会社が商号を変更して株式会社へ移行したことにより当該株式会社が申請する商号変更を登記原因とする所有権の登記名義人の名称についての変更の登記
イ 権利取得裁決に係る収用により土地の所有権を取得した起業者が申請する収用を登記原因とする所有権の移転の登記
ウ 吸収合併契約に基づき吸収合併存続会社が申請する合併を登記原因とする所有権の移転の登記
エ 抵当権の設定の登記に記録された抵当権者の所在が知れない場合において当該登記の抹消に係る公示催告手続に係る権利についての除権決定に基づき当該登記がされた土地の所有権の登記名義人が申請する当該登記の抹消
オ 地上権の設定請求権の保全の仮登記の登記名義人の承諾を得て登記上の利害関係人が申請する解除を登記原因とする当該仮登記の抹消
(文章)
「単独申請をすることができる権利に関する登記は、登記手続をすべきことを命ずる確定判決による登記及び代位による登記を除けば、以下の〔Ⅰ〕及び〔Ⅱ〕の2つに分類することができる。
〔Ⅰ〕登記義務者が現存するが、共同申請の例外としてその申請を必要としない登記
〔Ⅱ〕〔Ⅰ〕以外の登記
その具体例として、( A )に該当するものは、( 1 )及び( 2 )であり、( B )に該当するものは、( 3 )、( 4 )及び( 5 )である。」
ア 特例有限会社が商号を変更して株式会社へ移行したことにより当該株式会社が申請する商号変更を登記原因とする所有権の登記名義人の名称についての変更の登記
イ 権利取得裁決に係る収用により土地の所有権を取得した起業者が申請する収用を登記原因とする所有権の移転の登記
ウ 吸収合併契約に基づき吸収合併存続会社が申請する合併を登記原因とする所有権の移転の登記
エ 抵当権の設定の登記に記録された抵当権者の所在が知れない場合において当該登記の抹消に係る公示催告手続に係る権利についての除権決定に基づき当該登記がされた土地の所有権の登記名義人が申請する当該登記の抹消
オ 地上権の設定請求権の保全の仮登記の登記名義人の承諾を得て登記上の利害関係人が申請する解除を登記原因とする当該仮登記の抹消
- アウ
- アエ
- イウ
- イオ
- エオ
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この過去問の解説 (3件)
01
正解:1
<解説>
ア:登記名義人の氏名若しくは名称又は住所についての変更の登記又は更生の登記は、登記名義人が単独で申請することができます(不動産登記法64条①)。
したがって、本肢は〔Ⅱ〕の具体例です。
イ:収用は公法上の処分であり、不動産の収用による所有権の移転の登記は、登記義務者である被収用者と共同申請をせずに、登記権利者である起業者が単独で申請することができます(不動産登記法118条①)。
したがって、本肢は〔Ⅰ〕の具体例です。
ウ:相続又は法人の合併による権利の移転の登記は、登記権利者が単独で申請することができます(不動産登記法63条②)。
本肢の場合は、吸収合併存続会社が単独申請をする場合ですので、登記義務者は吸収合併消滅会社であるので、現存していません。
したがって、本肢は〔Ⅱ〕の具体例です。
エ:登記権利者は、登記義務者の所在が知れないため登記義務者と共同して権利に関する登記の抹消を申請することができないときは、公示催告の申立てをすることができ、それに係る除権決定があったときは、登記権利者は単独で登記の抹消を申請することができます(不動産登記法70条)。
したがって、本肢は〔Ⅰ〕の具体例です。
オ:仮登記の抹消は、仮登記の登記名義人が単独で申請することができ、仮登記の登記名義人の承諾がある場合における仮登記の利害関係人も単独申請することができます(不動産登記法110条)。
したがって、本肢は〔Ⅰ〕の具体例です。
以上により、(A)は〔Ⅱ〕、(B)は〔Ⅰ〕であり、⑴又は⑵に入る組合せは肢ア・ウとなるから、正解は1となります。
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02
正解 1
アからオのうち、登記義務者が現存するが、共同申請の例外としてその申請を必要としない登記は、権利取得裁決に基づき登記権利者が申請する収用による所有権の移転の登記(イ)、除権決定に基づき登記権利者が申請する抵当権の抹消の登記(エ)、仮登記名義人の承諾を得て利害関係人が申請する仮登記の抹消の登記(オ)の3つです。
したがって、(ア)と(ウ)が、「それ以外の登記」となり、1が正解となります。
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03
正解は1です。不動産登記は共同申請が原則なのに対し、商業登記は単独申請が基本です。
ア…〔Ⅱ〕に該当します。不動産を所有する特例有限会社が株式会社に移行した場合、法人格の同一性は保持されていると考えられるため、当該不動産については、商号変更を登記原因とする所有権の登記名義人の変更の登記のみが必要です(登記研究700号)。登記名義人の名称変更は、単独申請です(不動産登記法64条1項)。
イ…〔Ⅰ〕に該当します。起業者に対し、土地の所有権(または使用権)を認めるが、現所有者や利害関係人に土地の補償金を支払う必要がある権利取得裁決(土地収用法48条)が出た場合は、起業者が、➀裁決書の正本、②現在の土地所有者への補償金の支払いを証する書面(権利消滅を証する書面)、を添付の上、単独で所有権移転登記を申請するか、もしくは、登記官に所有権移転登記を嘱託します(不動産登記法118条1項、2項、不動産登記令別表74)。この場合、登記原因は「収用」です。登記義務者である土地所有者は存在していますが申請人にならないため、〔Ⅰ〕に該当します。
ウ…〔Ⅱ〕に該当します。吸収合併が行われた場合、吸収合併消滅会社は存在しなくなり、吸収合併存続会社は包括承継をします(会社法750条)。したがって相続と同様に、合併にともなう権利移転の登記も、吸収合併存続会社の単独申請になります。
エ…〔Ⅰ〕に該当します。登記義務者の所在が知れないために、登記権利者が登記義務者と共同して権利登記の抹消を申請することができない場合に、登記権利者が非訟事件手続法に基づいた公示催告を行い、期間経過後に除権決定を得たときは、単独でその権利の抹消にかかる申請ができます(不動産登記法70条1項、2項、非訟事件手続法99条、106条)。
オ…〔Ⅰ〕に該当します。仮登記の抹消申請も、当該仮登記を申請した登記権利者と登記義務者による共同申請が原則です。ただし、仮登記は予備的登記なので、➀仮登記名義人による登記識別情報の提供がある場合、②利害関係人が登記名義人の承諾を得てする場合、には仮登記抹消の単独申請が認められます(不動産登記法110条)。
よって(A)は〔Ⅱ〕、(B)は〔Ⅰ〕となります。
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