司法書士の過去問
令和2年度
午後の部 問63
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問題
令和2年度 司法書士試験 午後の部 問63 (訂正依頼・報告はこちら)
次の対話は、商業登記制度に関する教授と学生との対話である。教授の質問に対する次のアからオまでの学生の解答のうち、誤っているものの組合せは、どれか。
教授:何人も、手数料を納付して、登記簿に記録されている事項を証明した書面の交付を受けることができる制度があります。例外として、登記簿に記録されている事項を証明した書面の交付を受けることができない場合はありますか。
学生:ア 例えば、登記簿に記録されている存続期間が満了しているにもかかわらず、解散の登記をしていない会社の代表者事項証明書は、交付を受けることができません。
教授:では、破産手続開始の登記がされた会社の破産手続開始の決定当時の代表者に係る代表者事項証明書の交付を請求した場合については、どうですか。
学生:イ 交付を受けることができません。
教授:次に、登記簿の附属書類の閲覧の制度について質問します。登記簿の附属書類の閲覧について利害関係を有する者は、手数料を納付して、その閲覧を請求することができますが、その際、閲覧しようとする部分について利害関係を証する書面を提示して、請求することができますか。
学生:ウ いいえ、利害関係を証する書面については、提示では足りず、添付をする必要があります。
教授:次に、会社の代表者がする不正登記防止申出について、委任による代理人が登記所に出頭してすることができますか。
学生:エ 会社の代表者が登記所に出頭することができないやむを得ない事情があると認められる場合には、委任による代理人が登記所に出頭して不正登記防止申出をすることができます。
教授:最後に、会社が本店を他の登記所の管轄区域内に移転した旨の本店移転の登記を申請した場合について、既に新所在地を管轄する登記所に申請書等が送付された後に当該登記の申請を取り下げるには、どのようにしなければなりませんか。
学生:オ 会社は、旧所在地を管轄する登記所に、取下書2通を提出しなければなりません。
教授:何人も、手数料を納付して、登記簿に記録されている事項を証明した書面の交付を受けることができる制度があります。例外として、登記簿に記録されている事項を証明した書面の交付を受けることができない場合はありますか。
学生:ア 例えば、登記簿に記録されている存続期間が満了しているにもかかわらず、解散の登記をしていない会社の代表者事項証明書は、交付を受けることができません。
教授:では、破産手続開始の登記がされた会社の破産手続開始の決定当時の代表者に係る代表者事項証明書の交付を請求した場合については、どうですか。
学生:イ 交付を受けることができません。
教授:次に、登記簿の附属書類の閲覧の制度について質問します。登記簿の附属書類の閲覧について利害関係を有する者は、手数料を納付して、その閲覧を請求することができますが、その際、閲覧しようとする部分について利害関係を証する書面を提示して、請求することができますか。
学生:ウ いいえ、利害関係を証する書面については、提示では足りず、添付をする必要があります。
教授:次に、会社の代表者がする不正登記防止申出について、委任による代理人が登記所に出頭してすることができますか。
学生:エ 会社の代表者が登記所に出頭することができないやむを得ない事情があると認められる場合には、委任による代理人が登記所に出頭して不正登記防止申出をすることができます。
教授:最後に、会社が本店を他の登記所の管轄区域内に移転した旨の本店移転の登記を申請した場合について、既に新所在地を管轄する登記所に申請書等が送付された後に当該登記の申請を取り下げるには、どのようにしなければなりませんか。
学生:オ 会社は、旧所在地を管轄する登記所に、取下書2通を提出しなければなりません。
- アウ
- アエ
- イウ
- イオ
- エオ
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この過去問の解説 (3件)
01
正解:4
<解説>
ア:正しいです。
登記簿上存立期間が満了している会社の代表者に関する登記事項証明書は、交付することができません(昭42・1・31民甲244号)。
したがって、本肢は正しいです。
イ:誤りです。
破産手続開始の登記がされた会社の破産決定手続開始の決定当時の代表者に係る代表者事項証明書又は印鑑証明書は、破産手続開始の登記がある旨を付記した上、交付することができます(平23・4・1民商816号)。
したがって、本肢は誤りです。
ウ:正しいです。
登記簿の附属書類の閲覧の申請書には、閲覧しようとする部分について利害関係を証する書面を添付しなければなりません(商業登記規則21条③)。
したがって、本肢は正しいです。
エ:正しいです。
不正登記防止申出は、登記の申請人となるべき者又はその代表者若しくは代理人(委任による代理人を除く。)が登記所に出頭してしなければなりません。
ただし、その者が登記所に出頭することができないやむを得ない事情があると認められる場合には、当該登記の申請人となるべき者の委任による代理人が登記所に出頭してすることができます。
(商業登記等事務取扱手続準則49条①)
よって、会社の代表者が登記所に出頭することができないやむを得ない事情があると認められる場合には、委任による代理人が登記所に出頭して不正登記防止申出をすることができます。
したがって、本肢は正しいです。
オ:誤りです。
本店移転の登記をする場合、旧所在地を管轄する登記所において、本店移転の登記の申請がなされ、旧所在地を経由して(商業登記法51条①)、新所在地を管轄する登記所に申請書等が送付されます(商業登記法52条②)。
その後に当該登記の申請を取り下げるには、会社は、新所在地を管轄する登記所に、取下書2通を提出しなければなりません(昭39・8・6民甲2712号)。
したがって、旧所在地を管轄する登記所に提出しなければならないとする本肢は誤りです。
以上により、誤っているものは肢イ・オであり、正解は4となります。
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02
正解 4
ア 正しい
登記記録上存続期間が満了している会社の代表者については、代表者事項証明書の交付を受けることはできません。
イ 誤り
破産手続開始決定の登記がされた会社については、代表者事項証明書の交付を受けることができます。
ウ 正しい
登記簿の附属書類の閲覧の申請書には、閲覧しようとする部分について利害関係を証する書面を添付する必要があります(商業登記規則21条3項2号)。
エ 正しい
不正登記防止申出は、登記の申請人となるべき者又はその代表者若しくは代 理人(委任による代理人を除く。)が登記所に出頭して行う必要があります(商業登記等事務取扱手続準則49条1項)。
もっとも、 その者が登記所に出頭することができないやむを得ない事情があると認められる場合 には、 当該登記の申請人となるべき者の委任による代理人が登記所に出頭してすることが可能です(同項但書)。
オ 誤り
本店を他の登記所の管轄区域内に移転した場合において、本店移転登記の申請を取り下げる場合は、新所在地を管轄する登記所に申請書が送付された後は、新所在地の管轄登記所に、当該登記申請の取下書を2通提出する必要があります(昭和39年8月6日民甲2712号)。
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03
正解は4です。
ア…正しいです。存立期間が満了している会社が解散の登記をしていない場合、当該会社の代表者事項証明書の交付はできません(昭42・1・31民甲244号民事局長回答)。
イ…誤りです。会社の破産手続開始によっても、当該会社の破産手続開始の決定当時の代表者はその地位を当然には失わず、会社の組織に係る行為などについてはその権限を行使しうる(最判平21・4・17)ことから、当該代表者に係る代表者事項証明書の発行は、破産手続開始の登記がある旨を付記した上で、認められるとされています(平23・4・1民商816号民事局長回答)。
ウ…正しいです。登記事項証明書はだれでも閲覧できますが、登記簿の附属書類については、利害関係を有する者しか閲覧を請求できません(商業登記法10条1項、11条の2)。登記簿の附属書類について閲覧を請求する場合には、申請書に利害関係を明らかにする事由を記載するほか、添付書類として利害関係を証する書面が必要です(商業登記規則21条2項3号、3項2号)。
エ…正しいです。不正登記防止申出は、原則として登記名義人本人が登記所に出頭して行わなければならず、委任による代理は一般的な手続ではありません。しかし、その者が登記所に出頭することができないやむを得ない事由があると認められる場合には、委任による代理人が登記所に出頭してすることができます(不動産登記事務取扱手続準則33条1項)。
オ…誤りです。本店がいわゆる管轄外移転を行う場合、旧所在地を管轄する登記所での本店移転の登記申請と、新所在地を管轄する登記所での本店移転の登記申請が必要であり(会社法916条)、新所在地を管轄する登記所への申請は、必ず旧所在地を管轄する登記所を経由してしなければなりません(商業登記法51条1項、2項)。したがって旧所在地を管轄する登記所が新所在地を管轄する登記所に当該申請書を送付した後に、申請者が当該登記の申請を取り下げようとする場合には、新所在地を管轄する登記所への取下書2通が必要とされています(昭39・8・6民甲2712号)。
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