司法書士の過去問
令和2年度
午後の部 問67

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問題

令和2年度 司法書士試験 午後の部 問67 (訂正依頼・報告はこちら)

解散した株式会社(特例有限会社を除く。)又は特例有限会社及び合同会社の登記に関する記述のうち、第1欄及び第2欄がいずれも正しい記述になっているものは、どれか。
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この過去問の解説 (3件)

01

正解 2

1 いずれも誤っている
定款の添付が必要となるのは、定款で清算人を定めた場合です。
これは、特例有限会社であっても合同会社であっても同じです。
本肢では、株主総会の決議および社員の過半数の同意により清算人を選任しているため、定款の添付は不要です。

2 いずれも正しい
特例有限会社の清算人については、氏名及び住所が登記事項とされています(会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律43条2項)。
これに対し、合同会社の清算人については、氏名又は名称及び住所が登記事項とされています(会社法928条2項1号)。

3 第1欄のみ正しい
特例有限会社は、いつでも、株主総会の決議によって清算人(裁判所が選任したものを除く。)を解任することができます(会社法479条1項)。
これに対し、合同会社は、定款の定めがある場合を除き、いつでも、社員の過半数をもって清算人を解任することができます(同648条2項)。

4 第1欄のみ正しい
株式会社は、株主総会の決議によって、株式会社を継続することができます(会社法473条)。
これに対し、合同会社は、社員の全部又は一部の同意によって、持分会社を継続することができます(同642条1項)。

5 第1欄のみ正しい
清算株式会社は、清算の目的の範囲内において、清算が結了するまではなお存続するものとみなされます(会社法476条)。
そのため、清算の目的の範囲内であれば、募集株式を解散後に発行することも可能です。
これに対し、合同会社は、解散後に社員を加入させることはできません(同674条1号)。

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02

正解:2

<解説>

1:いずれも誤りです。

特例有限会社においては、定款の添付が常に必要な株式会社(商業登記法73条①)とは異なり、株主総会の決議により清算人を選任したときは、定款の添付を要しません。

また、合同会社を含む持分会社は、定款に清算人の選任方法を定めている場合は、定款の添付が必要ですが、そうでない場合は定款の添付を要しません。

したがって、本肢はいずれも誤りです。

2:いずれも正しいです。

特例有限会社の清算人の登記の申請書には、清算人の氏名及び住所を記載しなければなりません(整備法43条②)。

一方、合同会社を含む持分会社の清算人の登記の申請書には、清算人の氏名又は名称及び住所を記載しなければなりません(会社法928条②)。

したがって、本肢はいずれも正しいです。

3:第1欄のみ正しいです。

特例有限会社の清算人(裁判所が選任したものを除く。)の解任(会社法479条)は株主総会で決議されるため、解任による変更の登記の申請書には、株主総会の議事録を添付しなければなりません。

これに対し、持分会社の清算人(裁判所が選任したものを除く。)は、総社員の過半数により解任できるので、総社員の過半数の同意があったことを証する書面を添付すればよく、本肢第2欄の総社員の同意とするのは誤りです(会社法648条②)。

したがって、本肢は第1欄のみ正しいです。

4:第1欄のみ正しいです。

株式会社の継続の登記の申請書には株主総会の議事録を添付しなければなりません。

これに対して、合同会社を含む持分会社は、社員の全部又は一部の同意によって継続することができるから(会社法642条①)、総社員又は一部の社員の同意書でよく、必ずしも総社員の同意書を添付しなければいけないわけではありません。

したがって、本肢は第1欄のみ正しいです。

5:第1欄のみ正しいです。

株式会社は、清算の目的の範囲内において、募集株式を解散後に発行したことによる変更の登記も申請することができます(会社法476条)。

これに対し、合同会社は、社員が解散後に加入することも、社員の加入によって資本金の額を増加させることもできないため、それに伴う変更の登記を申請することもできません(会社法674条⑴)。

したがって、本肢は第1欄のみ正しいです。

以上により、第1欄及び第2欄がいずれも正しい記述になっているものは肢2であり、正解は2となります。

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03

正解は2です。


1.…第1欄、第2欄ともに誤りです。特例有限会社は、原則として株式会社と同様の扱いを受けますが(会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(以下、整備法)2条1項)、例外事項のうちの一つとして、最初の清算人の就任の登記において必ずしも定款の添付を必要としません(H20過去問)。清算人を定款で定めている場合には、清算人の選任を証する書面として定款の添付が必要となりますが、本問では株主総会の決議によって清算人を定めていますので、定款は不要であり、かわりに株主総会議事録の添付が必要です(商業登記法46条2項)。また、合同会社が清算を開始し、➀業務執行社員が清算人となった場合、及び、②定款で定める者が清算人となった場合、は定款の添付が必要ですが(商業登記法99条1項1号、2号)、③社員の過半数の同意によって清算人が決定した場合は、社員の過半数の一致を証する書面(商業登記法93条)、及び、清算人の就任承諾書(商業登記法99条1項3号)の添付が必要になります(商業登記法118条)。


2.…第1欄、第2欄ともに正しいです。特例有限会社の清算人の登記事項は、(特例有限会社には清算人会を置くことができないため(整備法33条))➀清算人の氏名及び住所、②代表清算人の氏名(特例有限会社を代表しない清算人がある場合に限る。)、のみです(整備法43条2項)。また、持分会社の清算人の登記事項は、➀清算人の氏名または名称及び住所、②代表清算人の氏名又は名称(清算持分会社を代表しない清算人がある場合に限る。)、③代表清算人が法人であるときは、清算人の職務を行うべき者の氏名及び住所、です(会社法928条2項)。


3.…第1欄は正しく、第2欄は誤りです。特例有限会社において、裁判所が選任した者以外の清算人は、いつでも、株主総会の普通決議によって解任することができます(会社法479条1項)。よって当該解任には株主総会議事録の添付が必要です(商業登記法46条2項)。一方、持分会社においても、裁判所の選任した者以外の清算人を、いつでも解任できますが、定款に特別の定めがある場合を除き、社員の過半数の同意が必要です(会社法648条1項、2項)。したがって「総社員の過半数の同意を証する書面」の添付が必要です(商業登記法118条、93条)。


4.…第1欄は正しく、第2欄は誤りです。株式会社を解散後も清算が結了するまで継続させたい場合、株主総会の特別決議で継続できます(会社法473条、309条2項11号)。よって当該決議があったことを示すために株主総会の議事録の添付は必要です(商業登記法46条2項)。一方、持分会社を継続する場合には、社員の全部又は一部の同意を必要とします(会社法642条1項)。したがって、「継続に同意した社員の同意を証する書面」の添付が必要であり(商業登記法118条、93条)、同意しなかった社員は当該持分会社が継続することとなった日に退社します(会社法642条2項)。


5.…第1欄は正しく、第2欄は誤りです。清算株式会社は、現金を調達して清算を円滑に進めるため、募集株式の発行が認められています(会社法487条2項1号参照)。一方、清算持分会社は、➀社員の加入、②社員の死亡または合併以外の理由での退社、③計算書類の新たな作成・資本金の額の減少・利益の配当・出資の払戻しに係る事項、➃清算中の当該合名会社または当該合資会社からの合同会社への組織変更、を行うことができません(会社法674条)。したがってこれらに関する変更の登記も行えません。

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