正解:3
<解説>
ア:誤りです。
持分会社社員の破産手続開始の決定は退社をする事由として規定されています(会社法607条①⑸)。
それに対して、清算持分会社においては、その規定は適用されないため、当該社員の退社による変更の登記を申請しなければならないというわけではありません。
したがって、本肢は誤りです。
イ:正しいです。
本肢の場合、当該職務執行者が就任を承諾したことを証する書面を添付しなければなりません(商業登記法118条、97条①、94条⑵ハ)。
しかし、その書面に押印した印鑑につき市町村長の作成した証明書を添付することは要しません(商業登記規則92条、61条④参照)。
したがって、本肢は正しいです。
ウ:正しいです。
持分会社は、「社員が死亡したときは、その相続人が当該社員の持分を承継する。」旨を定款で定めることができ(会社法608条①)、死亡した場合には、その相続人(社員以外のものに限ります。)は、当該社員の持分を承継した時に、当該持分を有する社員となります(会社法608条①②③)。
相続人が数名いる場合について、共同相続人の遺産分割協議により、相続人の一人が社員の地位を承継することとなったときでも、当該相続人のみの加入の登記をすることはできず、一旦、共同相続人全員の加入の登記をした上で、相続人間における持分譲渡の登記をすべきとしています(昭38・5・14民甲1357号)。
したがって、Aのみの相続による加入を原因とする社員の変更の登記を申請できないとする本肢は正しいです。
エ:誤りです。
当該社員の職務執行者の氏名及び住所を記載しなければならないのは、当該社員が代表社員であるときです(会社法912条⑺)。
したがって、当該社員が代表社員でないときであってもこれを記載しなければならないとする本肢は誤りです。
オ:誤りです。
持分会社の社員が、⑴出資の義務を履行しないとき、⑵教行の禁止の規定に違反したとき、⑶業務を執行するに当たって不正の行為をし、又は業務を執行する権利がないのに業務の執行に関与したとき、⑷持分会社を代表するに当たって不正の行為をし、又は代表権がないのに持分会社を代表して行為をしたとき、⑸その他重要な義務を尽くさないときには、当該持分会社は、対象社員以外の社員の過半数の決議に基づき、訴えをもって対象社員の除名を請求することができます(会社法859条)。
そして、社員の除名の訴えに係る請求を認容する判決が確定した場合には、裁判所書記官、職権で、遅滞なく、会社の本店の所在地を管轄する登記所にその登記を嘱託しなければなりません(会社法937条①⑴ル)。
したがって、退社による変更登記を申請しなければならないとする本肢は誤りです。
以上により、正しいものは肢イ・ウであり、正解は3となります。