ア × 本肢は、直接取り立てることができるとする点が誤っています。
質権者は、質権の目的である債権を直接取り立てることができるのが原則ですが、
質入れ債権の目的物が金銭である場合、質入れ債権の弁済期が到来しても、質権の被担保債権の弁済期が到来するまでは、質権者は第三債務者に対して直接取り立てることはできません。
その代わりに供託を求めることができます。
(民法366Ⅰ 366Ⅲ)
イ × 少々わかりづらい肢ですが、具体例を挙げればご理解いただけると思います。
質権者自身に対する債権も質権の目的とすることができます。(大判昭和11.2.25)
上記の具体例として、
銀行の定期預金者が、その預金を担保として銀行から借り入れをすることができます。
よって本肢は、質権者自身に対する債権をその目的とすることができないとする点が誤っています。
ウ 〇 債権の目的物が金銭でないときは、質権者は、弁済として受けた物について質権を有する(民法366Ⅳ)
条文知識そのままの肢です。
エ × 原則として、譲渡を禁止する旨の意思表示をした債権を目的とする質権の設定は、その効力が妨げられることはありません。
つまり、譲渡禁止の特約のある債権であっても質権の設定は可能です。
よって、質権者が譲渡禁止の特約ある債権であることを知っていたときであっても、当該債権を目的とする質権は有効に成立します。
なお、質権者が譲渡制限の意思表示について悪意又は重過失であれば第三債務者は履行拒絶権が付与されます。
本肢は、無効であるとする点が誤っています。
オ 〇 債権を目的とする質権の設定は、第三債務者にその質権の設定を確定日付のある証書により通知し、又は第三債務者がこれを確定日付のある証書により承諾をすれば、第三者に対抗できる。(民法364・467Ⅱ)
よって、Bはその後に債権を差し押さえたAの他の債権者に対し質権の設定を対抗できます。