ア × 元本の確定前に債務者のために被担保債権の全部を弁済した者は、その債権について根抵当権を行使することはできません(民法398条の7第1項)。
元本確定前の根抵当権なら随伴性がないので第三者弁済をしたとしても根抵当権は移転しないので弁済者は根抵当権を行使できません。
ちなみに、元本確定前の根抵当権は付従性もありません。
しかし、元本確定後ならほぼ抵当権と同様(付従性、随伴性があります。)なので第三者弁済があれば根抵当権も移転します。
イ × 不動産登記法の記述においても最重要論点です。
元本の確定前にその債務者について相続が開始したときは、根抵当権者は、相続開始の時に存する債務のほか、根抵当権者と根抵当権設定者との合意により定めた相続人が相続の開始後に負担する債務を担保する(民法398の8Ⅱ)。
そして、当該合意について相続開始後6か月以内に合意の登記をしないときは相続開始の時に元本が確定したものとみなされる。(民法398の8Ⅵ)
よって本肢は、当然に確定するとする点が誤っています。
ウ 〇 元本確定前に債務者について合併があったときは、根抵当権設定者は、担保すべき元本の確定を請求することができる。ただし、債務者兼設定者の場合は元本確定請求できない。(自分自身が合併したのに、元本確定請求をするのは虫が良すぎる)
つまり、設定者が物上保証人なら元本確定請求できます。(民法398の9Ⅲ)
エ 〇 元本の確定後においては、根抵当権設定者は、その根抵当権の極度額を、現に存する債務の額と以後2年間に生ずべき利息その他の定期金及び債務の不履行による損害賠償の額とを加えた額に減額することを請求できる(民法398の21Ⅰ)
イメージとして、
設定者は元本確定後、箱(極度額)を小さくする変更登記をし、当該土地を担保にしてまた新たに担保権を設定しようとしているのです。
オ × 根抵当権設定者は、元本確定期日の定めがない場合、根抵当権の設定から3年を経過したときは、担保すべき元本の確定を請求することができる。
そして、担保すべき元本は、その請求の時から2週間を経過することによって確定する(民法398の19Ⅰ)。
よって本肢は、根抵当権の設定後いつでも、根抵当権者に対し、元本の確定を請求することができるとする点が誤っています。