問題
ア Aは、Bに対して暴行・脅迫を加えて手提げバッグを強取しようと考え、まずは、Bの足下に置かれていた当該手提げバッグを手に取り、次いで、Bに対し、その反抗を抑圧するに足りる程度の暴行・脅迫を加え、Bの反抗を抑圧して当該手提げバッグの奪取を確保した。この場合、Aには、強盗罪ではなく、事後強盗罪が成立する。
イ Aは、Bから麻薬購入資金として現金を預かっていたが、その返還を免れようと考え、Bに対し、その反抗を抑圧するに足りる程度の暴行・脅迫を加え、Bの反抗を抑圧し、その返還を免れた。この場合、Bは当該現金に関する法律上の請求権を有しなかったのであるから、Aには、強盗利得罪は成立しない。
ウ Aは、Bから金銭を借りていたが、その支払を免れようと考え、Bに対し、その反抗を抑圧するに足りる程度の暴行・脅迫を加え、Bの反抗を抑圧し、事実上債務の弁済請求ができない状態に陥らせた。この場合、Aには、強盗利得罪は成立しない。
エ 窃盗の未遂犯であるAは、当該犯行を目撃してAを取り押さえようとしたBに対し、逮捕を免れる目的で、その反抗を抑圧するに足りる程度の暴行・脅迫を加え、Bの反抗を抑圧し、逮捕を免れた。この場合、Aには、事後強盗既遂罪ではなく、事後強盗未遂罪が成立する。
オ Aは、怨恨からBを殺害したが、その直後に財物奪取の意思を生じて、Bの所持品を奪った。この場合、Aには、強盗殺人罪は成立しない。